この記事を書いたライター

大橋 さやか

大橋 さやか

大学卒業後、食品メーカーに勤務し管理部門を5年経験する。 学生時代はスポーツクラブのインストラクターやバーテンダーなどを経験。 20代の長期休暇は、日本各地の神社仏閣を巡る一人旅や、友人と海外食い倒れ旅行を満喫。 得意分野は食品・生活・教育・歴史。趣味は読書、旅行。

2019年10月1日

社会人基礎力とは?なぜ必要?企業が求める背景を解説

[就活豆知識]必要なスキル

「身につけておいて欲しい能力水準」に企業と学生では大きな意識の差があります。「粘り強さ」「チームワーク力」「主体性」「コミュニケーション力」について、学生の認識は「出来ている」、一方の企業の認識は「不十分」という見解です。

このような両者の認識の違いを埋めるため、職場や地域社会などで仕事をしていく上で重要となる基礎的な能力=「社会人基礎力」の向上を目的とした動きがあります。ここでは社会人基礎力がなぜ必要とされるのか、詳細と具体的な背景を説明します。

この記事のポイント
  • ①経産省が定義した社会人基礎力は企業が求める能力水準にとどまらず、人生を通じての活躍のための力を指す
  • ②「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つが社会人基礎力の基礎
  • ③「どう活躍するか(目的)」「どのように学ぶか(組み合わせ)」「何を学ぶか(学び)」を学生のうちから考えてみよう

社会人基礎力の提唱、背景は企業と学生の認識の違い

「身につけておいてほしい能力水準」に企業と学生では大きな意識の差があります。経済産業省による「大学生の『社会人観』の把握と『社会人基礎力』の認知度向上実証に関する調査」(平成21年)では、「粘り強さ」「チームワーク力」「主体性」「コミュニケーション力」について、学生の認識は「十分できている」でしたが、企業の認識は「まだまだ足りない」という結果でした。

一方で、「ビジネスマナー」「語学力」「業界の専門知識」「PCスキル」について、学生の認識は「まだまだ足りない」でしたが、企業の認識は「できている(これからでよい)」という結果でした。

企業と学生間で、必要とされる能力水準にギャップがある

企業と学生間で、必要とされる能力水準にギャップがある

このようなギャップを改善するため、2006年から経済産業省を主体として、粘り強さ、チームワーク力、主体性、コミュニケーション力、などの「学問で得られる専門知識やスキル以外に、仕事などで必要になる力」を育てる動きが始まりました。

この力は「社会人基礎力」と言われており、具体的には「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されています。

社会人基礎力とは具体的に何?

「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つを社会人基礎力の核とし、その3つの力はさらに12の能力要素に分けて考えられます。

参考:経済産業省「社会人基礎力 3つの能力/ 12の能力要素」

参考:経済産業省「社会人基礎力 3つの能力/ 12の能力要素」
http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/

「前に踏み出す力」(アクション)

「一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力」学校の勉強では解答欄に書く答えは一つでした。しかし仕事をしていくと答えは一つではありません。もしかすると答えを間違ってしまうこともあるでしょう、そんな失敗をしてもくよくよせずに、次へと自ら試行錯誤していく力が必要となります。「前に踏み出す力」は3つの能力要素が含まれています。

主体性
「物事に進んで取り組む力」
働きかけ力
「他人に働きかけ巻き込む力」
実行力
「目標を設定し確実に行動する力」

「考え抜く力」(シンキング)

「考え抜く力」は「課題発見力」「計画力」「創造力」の3つの要素から成る

「考え抜く力」は「課題発見力」「計画力」「創造力」の3つの要素から成る

「疑問を持ち、考え抜く力」-問題意識を持って課題を見つけます。その課題を解決していく過程をしっかりと考え抜く力が必要となります。「考え抜く力」は3つの能力要素が含まれています。

課題発見力
「現状を分析し目的や課題を明らかにする力」
計画力
「課題の解決に向けたプロセスを明らかにし準備する力」
創造力
「新しい価値を生み出す力」

「チームで働く力」(チームワーク)

ビジネスでは多様な価値観の人々を巻き込んでチームを前に進める力が重要

ビジネスでは多様な価値観の人々を巻き込んでチームを前に進める力が重要

「多様な人々とともに、目標に向けて協力する力」-大きな仕事を最後まで完成するには、色々な人とゴールへ向かって協力し合っていかなくてはいけません。そのためには、自分の意見を分かりやすく伝えつつも、他の人々の考えも受け入れることが大切です。「考え抜く力」は6つの能力要素が含まれています。

発信力
「自分の意見を分かりやすく伝える力」
傾聴力
「相手の意見を丁寧に聴く力」
柔軟性
「意見の違いや立場の違いを理解する力」
情況把握力
「自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力」
規律性
「社会のルールや人との約束を守る力」
ストレスコントロール力
「ストレスの発生源に対応する力」

社会人基礎力はなぜ必要とされる?

先進国では社会人基礎力に相当するスキルを伸ばす教育が始まっている

先進国では社会人基礎力に相当するスキルを伸ばす教育が始まっている

IT化の進む現代では、刻々と変化する社会に対応するために、今までの知識を見直したり、組み合わせを変えたりしながら、新たな価値を創出し続ける人材が、世界中で求められています。既にイギリス・アメリカなどの先進的な諸外国では、社会人基礎力に相当する能力に着目した教育プログラムが始まっています。

日本では社会人としての基礎力は、子どもが大人へと成長していく中で自然に備わり、社会に出てからより強化していけばよいと考えられてきました。

しかし、核家族化や地域コミュニティが崩壊し、周りの大人たちや兄弟間での密な関わりは失われました。また少子化により高学歴化が進むことで、かつての専修学校のような職業教育を受ける学生は減りました。さらには終身雇用制度が崩れたことで会社内の研修によって行われていた人材育成の機会は減り、研修を受けていない非正規雇用者が増えるなど、従来の日本の雇用環境は大きく変わりました。

社会人基礎力育成の必要性は大学でも意識され始めた

社会人基礎力育成の必要性は大学でも意識され始めた

このように基礎力を育む環境が失われたことを問題と考え、経済産業省が主導のもと、大学や企業での社会人基礎力育成の活動が始まっています。具体的には、大学生がゼミや研究室で、授業を通じ、どの程度社会人基礎力が伸びたかチームで発表、その成長を競う「社会人基礎力育成グランプリ」を2008年から開催しています。過去の大賞は以下の様です。

        

  • 2019年 創価女子短期大学:文通による不登校支援~Let’sアナログマジック~
  • 2018年 福岡女学院大学:世界一の非売品 エアライン業界実践研修 CLASS J
  • 2017年 拓殖大学:広島県呉市の三角島活性化を目的とした地方創生活動
  • 2016年 大阪工業大学:未来エネルギー機器開発で学生チームが世界の強豪に挑戦
  • 2015年 創価大学:男女が共に働き、共に育む社会へ~イクメン通信簿プロジェクト~
  • 2014年 中京大学:地元の化粧品製造企業との産学連携プロジェクト
  • 2013年 大阪工業大学:なにわの町工場で鍛えられた社会人基礎力
  • 2012年 福岡女学院大学:学内における最良な飲食施設の提案
  • 2011年 多摩大学:日本大好きプロジェクト
  • 2010年 流通科学大学:産学連携弁当開発を通じた社会人基礎力の学び
  • 2009年 大阪工業大学:人工衛星の開発を通じた社会人基礎力の育成
  • 2008年 山梨学院大学:地域ブランドの企画提案

人生100年時代に求められる社会人基礎力

社会人基礎力はロングスパンでの活躍を意識した力に定義が変化していっている

社会人基礎力はロングスパンでの活躍を意識した力に定義が変化していっている

これまで説明してきた社会人基礎力は学生から社会人へのスムーズに移行することを目的としていましたが、2018年2月には「人生100年時代の社会人基礎力」が新たに発表されました。

これは就学前からシニアといわれる中高年の社会人にまで、幅広い年代を対象とした考え方で、「これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力」と定義しています。考え方は、3つの能力と12の能力要素は変わらず、新たに3つの視点が加わりました。

ここでの3つの視点とは以下に着目しています。

  • どう活躍するか(目的)自己実現や社会貢献に向けて行動すること
  • どのように学ぶか(組み合わせ)多様な体験・経験、能力、キャリアを組み合わせ統合する
  • 何を学ぶか(学び)学び続けることを学ぶ

3つの視点では、働きながら、生涯を通じて学び続けていく姿勢(リカレント教育)が重要となってきます。

参考:社会人基礎力協議会事務局:「社会人基礎力」の定義 (3つの能力・12の能力要素)

参考:社会人基礎力協議会事務局:「社会人基礎力」の定義 (3つの能力・12の能力要素)
https://www.mda.ne.jp/kisoryoku/index11.html

できる社会人は学び続けるもの。内定後こそその習慣を身につけるチャンスです。こちらの記事で解説しています。

【まとめ】社会人基礎力は学生時代から磨くことができる

学生のうちから一生使える社会人基礎力を意識してみよう

学生のうちから一生使える社会人基礎力を意識してみよう

社会で必要とされるソーシャルスキル、社会人基礎力」。生涯を通じて働くために必要な学習をし、キャリアを構築し続けることが「人生100年時代の社会人基礎力」と言うことができるでしょう。

就職は学生のゴールではありません。あくまで社会人としてのスタートです。その前に、社会人基礎力のスキルは学生のうちからでも磨くことができます。そして生涯を通じて磨き続けていくことで、自分のキャリアをより確固たるものに築きあげることが可能です。自分のキャリアを創り上げるのは自分自身だということを忘れず、新たな一歩を踏み出してみてください。

社会人基礎力診断で能力と適職がまる分かり

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大橋 さやか

大橋 さやか

大学卒業後、食品メーカーに勤務し管理部門を5年経験する。 学生時代はスポーツクラブのインストラクターやバーテンダーなどを経験。 20代の長期休暇は、日本各地の神社仏閣を巡る一人旅や、友人と海外食い倒れ旅行を満喫。 得意分野は食品・生活・教育・歴史。趣味は読書、旅行。

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