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むらかみみさと

むらかみみさと

1986年生まれ。大学卒業後、市場調査会社、IT企業のハウスエージェンシー、スタートアップアクセラレーターを経て、現在はロボットとデザインを扱う会社に勤務。会社員兼フリーランスとしてライティングとコミュニケーションを軸に仕事をおこなう。「好きなことは続けていけば仕事になる」の実践中。

2020年1月23日

女性に人気の一般職、働き方改革でどう変わる?就活生が身につけるべきスキルと考え方

女性に人気の一般職、働き方改革でどう変わる?就活生が身につけるべきスキルと考え方

人手不足倒産が増加するなど、売り手市場が続く2020年。しかし、一般職は就職、転職ともに高い競争率が続いています。本格的に進む働き方改革により、一般職を取り巻く環境は大きな転換期を迎えているといえます。

いま一般職を選ぼうとするあなたには、就活対策だけでなく、将来のリスク把握と、備えが必要です。

一般職はいまだに女子大生に根強い人気

一般職は総合職のサポート業務を担う

女性活用が推進されるなか、働く環境の改善が進み、性別に関係なく活躍のチャンスが増えています。同時に、一般職はいまだに根強い人気があります。

一般職と総合職の違い

一般職とは、一般事務などの定型的な業務を担う職種で、総合職の補助的な役割を担います。転勤を伴う異動がないことがメリットですが、総合職と比較し、基本給が安く抑えられていることが一般的です。そのため、給料カーブが緩やかであったり、昇進・昇給が頭打ちとなる仕組みになっている企業が大半です。福利厚生にも差が出る場合があるため、長い目で見ると大きな差が付いていくでしょう。

また、最近は一般職と総合職の中間に当たる「限定総合職(エリア総合職)」が金融・保険業界を中心に広まっています。転勤がない総合職という位置づけですが、待遇は総合職より劣るのが通常です。

一般職が女性に人気の理由

プライベートを犠牲にしない働き方を目指したい

このように、給与面などの条件としては総合職に劣る一般職ですが、根強い人気があります。大きな理由はワークライフバランスが取りやすいことです。一昔前は、「結婚まで一般職で働いて寿退社」という風潮もありました。ほどほどに働きたい女性が一般職を選ぶケースもあるでしょうが、最近は「働き続けるために一般職」を選択する女性も増加しています。

残業による長時間労働かつ、転勤がある勤務スタイルが基本の総合職は、結婚・出産・子育てとの両立に大きなハードルとなります。そのため、無理せず長く働こうとすると、一般職のほうが魅力的に感じてしまうのです。

厚生労働省による平成30年(2018年)度雇用均等基本調査によれば、女性の正社員・正職員に占める各職種の割合は、一般職が46.5%と最も高くなっており、総合職33.8%、限定総合職11.9%を合わせた割合よりも高い状況です。

人手不足だが一般職の需要は減少

売り手市場でも、一般職の求人は競争率が高い

一般職志望の就活生、転職希望者が減らない中でも、一般職の求人は減少傾向が見られます。一般職を取り巻く環境はどう変化しているのでしょうか。

採用減、一般職の廃止

一般職の需要減少は実数値としても現れています。転職サイトdodaの『転職求人倍率レポート』によれば、2019年11月全体の求人倍率は2.81倍で、売り手市場が続いています。しかし、事務・アシスタント職の求人倍率は0.32倍と、需要が供給を遥かに上回っている状況です。

実際に、新卒の一般職採用動向にも変化が見られます。総合商社の三井物産、損害保険大手の東京海上日動などは従来の一般職枠を廃止しました。また完全に廃止をしていなくとも、採用枠を絞る企業が増加しているのです。新卒の一般職枠廃止は、中小企業や地方企業でも拡大しており、今後継続していくと見込まれています。

また、大手商社・豊田通商は2017年度から、総合職と一般職をなくし、転勤の有無で職種を分ける制度に変更しました。一般職として入社したとしても、今後人事制度の変更で総合職としての働きが求められる可能性は十分あります。

企業が一般職を減らす理由

長引く景気低迷の中で、効率化と人員削減が進む

長く続く景気停滞により、企業は経費削減と経営の効率化に迫れています。そのため、これまで一般職が担っていたような、マニュアルがあれば誰でもできるような定型的・補助的な仕事は、人件費の安い派遣社員やパートを利用したり、アウトソースする動きが強まっています。

同時にIT技術の発達により、作業の効率化が進み、これまでより少ない人数でも業務を進められるようになりました。

各企業で、より創造性の高い業務の優先度が増している中で、「総合職の補助」としての一般職の重要性が低下しているのです。

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働き方改革で同一労働同一賃金が導入。一般職だと年収が下がる可能性

雇用形態ではなく、業務内容とスキルが評価の軸になる

働き方改革は、正社員の一般職にも影響があります。そのなかでも、同一労働同一賃金は一般職にどのような影響を与えるのでしょうか。

同一労働同一賃金の趣旨と一般職への影響

働き方改革のなかで、2020年4月から施行される同一労働同一賃金に関する法改正。この趣旨は、正規労働者とパートや派遣など非正規労働者との格差是正です。企業は同じ業務をしている人に、同じ賃金を支払うことが求められます。

これは職能型(メンバーシップ型)から業務型(ジョブ型)への転換でもあります。

日本は業務内容や業務量ではなく、採用形態、役職、年次により給料が決められるのが一般的です。このような職能型の給与体系は、景気が安定し、企業の成長が続いていた時期はうまく機能していました。しかし、経済のスピード感と競争が増すなかで、能力と給料が一致しない仕組みは人件費効率の悪化を引き起こしているのです。

一般職の給料が下がる、昇進が止まる可能性

利益を生まないサポート業務は評価されにくくなる可能性も

日本では、勤続年数や年齢により給料が上がっていく年功序列が一般的で、いまも残っています。しかし、労働と給料がイコールになる制度では、勤続年数が異なっていも、同じ仕事をしていれば給料は上がらないことになります。

一般職の仕事は定型業務が中心のため、年次による昇給が抑えられる可能性があるのです。部署によって給料格差がある場合、配属によっては給料が下がる、上がらないといったケースも考えられます。

一般職が派遣と置き換えられるリスクは?

派遣社員の給料が安い企業が、正規雇用と非正規雇用の格差是正をおこなった場合、派遣社員の賃金がアップし、企業の人件費負担は増額します。そのため、派遣社員利用を抑制する可能性はあります。

また、派遣社員の方が給料が高いケースで、正社員の給料を上げない場合、派遣で人を採用しにくくなる可能性があります。

よって、一般職の仕事を派遣社員に置き換える動きが加速するとはいえませんが、派遣社員を減らした分の穴埋めを一般職がさせられるかもしれません。給料はそのまま、業務量が増える可能性があるのです。

一般職はコスト削減の対象になりやすく、副業時代にも不利

一般職の業務は、市場価値の高いスキルを身につけにくい傾向がある

企業がより一層業務効率化を進める中で、一般職を取り巻く状況も過酷になっていきます。一般職はいざ会社を飛び出そうとしたときも、壁にぶつかる可能性があるのです。

アウトソースの促進やAIへの置き換えで一般職の仕事が減る

多くの企業で、効率化・人件費削減のための省人化が進んでいます。マニュアル通りの業務が、安い労働力、もしくは機械に置き換えられる中で、一般職の価値は減少していくでしょう。

IT化のためのシステム投資ができない中小企業や零細企業では、「コストが安い」という理由で事務職が残る可能性はあります。しかし、そのような企業自体の競争力が低いため、将来性に不安があるでしょう。個人のスキル面でも、単純労働にキャリアを費やすことはメリットがあるとはいえません。

一般職廃止など、環境変化のリスク

一般職でも自分に付加価値を付ける時代が到来

一般職と総合職が統合された場合、業務範囲を広げたい、より高度で責任がある仕事をしたいと思っている一般職の人にとってはチャンスとなり、さらなる昇給や昇進を目指すことも可能になります。

しかし、一般職だった社員も転勤を伴う異動の対象になる可能性が出てきます。また、本来総合職に求められていた資格取得や昇進試験を、一般職も課されるかもしれません。

現在の働き方を変えたくない人にとっては、異動を断ったり、スキルアップできないことで社内での評価が下がり、待遇の悪化や、人員整理の対象になるリスクも生まれます。

一般職の定型業務をこなすスキルは市場で評価されにくい

いざ転職や副業を考えたときでも、「マニュアル通りのことができる」人は市場評価が低い状況です。仕事があったとしても、正社員と同じように稼ぐのは難しい可能性が高いでしょう。

自分で仕組みを作ったり、成果を生み出す経験がないまま時間を過ごしてしまうと、市場で評価されない人材になってしまうのです。

一般職を希望しているあなたが取るべき選択肢

一般職、総合職関係なく、自分のキャリア設計は不可欠

一般職の場合は現実に労働力の置き換えが進んでいるので、内定を得たから、就職したからといって安心はできません。常に、一般職の現実と、リスクを回避する働き方を意識する必要があります。

一般職でも市場価値向上に繋がるスキルアップをおこなう

「一般職で働きたい」と考える人は、どのような準備が必要なのでしょうか。一般職から職種転換しなくても、市場価値を高めることは可能です。

・定型業務以外のスキル習得に時間を使う
・マニュアル化されない能力を磨く
・専門性を高める

などが方法として考えられます。

たとえば、マニュアルをつくり効率化する側に回る。マネジメントスキルを身に付けるなどです。また、業務をマニュアル通りにこなすのではなく、一つひとつの業務の意味を考えたり、関係する法律や制度の勉強をすることで専門性を高めていくことができます。

総合職と比べ、転勤がなく、労働時間が短いことを活用し、スキルアップや仲間づくりに時間を使うことも効果的です。

一般職の業務範囲だけでなく、市場価値の高いスキルを身につけることに時間を使う

主体的な働き方が将来の可能性を広げる

一般職は、社内の事務作業を効率的におこなうことが求められます。会社内の仕組みには最適化できるけれど、それは社外に通用するスキルではありません。自分のスキルが社外でも通用するか定期的に自己評価した上で、自分の得意なこと、改善が必要なことを洗い出して、スキルアップや自己研鑽をはかっていきましょう。

市場価値が高い人は、会社内でも評価されます。指示を待つのではなく、主体的に仕事を作ることができる人を会社も求めています。市場価値を上げることで、転職だけでなく昇進などの可能性を高めることができるのです。

一般職にこだわらないことも重要

一般職というポジション自体が、変化のタイミングに来ています。総合職・一般職といっても、待遇や業務内容は会社により異なります。漠然と「一般職になりたい」と希望するのではなく、どんな働き方をしたいのか、どんな人生を送りたいのかをイメージした上で、働き方を決めていくようにしましょう。

まとめ

自分の働き方を自ら作っていくことが重要になる

「総合職」「一般職」という区別が古いものになっていくように、働き方自体が多様化し、その流れはさらに大きくなっていくでしょう。就活や転職活動では、いまあるなかで最適な選択肢を選ぶのではなく、どんな変化にも対応できるマインドを持ち、スキルを高めることが重要になっていきます。

より自分らしく働き、生きるためにも、自らキャリアをつくっていきましょう。

出典:平成30年度雇用均等基本調査
出典:転職求人倍率レポート(2019年11月)
出典:高学歴でも一般職を選択する女性が多い
出典:同一労働同一賃金とキャリア
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むらかみみさと

むらかみみさと

1986年生まれ。大学卒業後、市場調査会社、IT企業のハウスエージェンシー、スタートアップアクセラレーターを経て、現在はロボットとデザインを扱う会社に勤務。会社員兼フリーランスとしてライティングとコミュニケーションを軸に仕事をおこなう。「好きなことは続けていけば仕事になる」の実践中。

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