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伊藤璃帆子

伊藤璃帆子

芸術大学で美術、写真を学び、ITマーケティング会社を経て、独立。現在フリーでライター、編集、撮影、イラスト、フードスタイリングなどを手掛ける。

2020年4月14日

企業の真価は不況時に出る。就活の企業研究でIR情報を見るポイント

2020年度就活生の内定率が過去最高になったという話題の後、新型コロナウイルス感染症の影響で企業から内定取り消しの通知が多数送られているという事実は衝撃的です。しかし、企業選びの観点からみれば千載一遇の機会かもしれません。なぜなら、本当に良質で体力のある企業を見極められる情報(IR情報や決算説明会情報など)が提示され、重要な判断基準となり得るからです。

内定がまだなくても、複数もらっていても、たとえ内定取り消しの通知を受け取ったとしても、企業が公開を義務付けられている情報を見ることで今後の就活を有利にしていきましょう。

IR情報とは? 企業を見極めるデータを知ろう

企業は情報公開が義務づけられています

就活生には馴染みがなく、情報を読み解くのが難しいのでは? と思うかもしれませんが、さほど知識がなくても、数字を見れば企業の実情がわかってきます。
まず、多くの人に馴染みのないであろうIR情報の基本についてご紹介していきます。

IR情報とは?

IR(インベスター・リレーションズ=Investor Relations)とは、企業が投資家に対して行う広報活動のことです。IR情報は企業が資金調達のために株主や投資家に向けて公開する情報で、いわば「企業自身のプレゼン資料」といっても過言ではありません。Webサイトに詳細なIR情報のページを設けて国内外の投資家に情報発信している企業もあります。
また、資金調達目的の用途だけでなく、顧客や地域社会への貢献度(経営方針に含まれる)やその成果を伝える役割も果たしています。

IR情報には、以下のような内容が列記されています。

  • 売上高
  • 営業利益
  • 経営利益
  • 経営方針(経営計画)
  • 事業状況の説明 など

IR情報を理解できれば、会社説明会ではほとんどわからない企業の詳細な現状がわかります。あらゆる株主、投資家に向けて理解しやすく記載されているため、就活生にも有益な情報です

IR情報で企業の現状から未来予想図まで把握

企業の経営状況、財務状況、業績動向……。こうした情報を見比べていくと、専門用語を知らなくても他企業と比較したり、過去数年にわたる決算書や財務諸表の数値を比較してみたりすると見えてくるものがあります。また、この情報に疑義や虚偽がある場合は、企業にとってたいへんなリスクとなるため、正確で、常にタイムリーな情報であることにも意味があるのです。

IR情報の見方を覚えておけば、職種の異なる企業であっても経営状態や将来性を分析することができます。就活するうえで企業を比較検討する場合に有用です

IR情報分析はココをおさえる

  1. 売上収益や財務指標(前年度との比較と変化を把握する)
    →好調か低調かの確認
  2. 経営方針(企業の今後の動きを把握する)
    →発展性の有無の確認
  3. プレスリリース(業績予想の修正報告、株主総会の情報を把握する)
    →経営問題の有無の確認
  4. 決算説明会資料(業績や今後の方針を把握する)
    →実情の把握と発展性の有無の確認

就活時にIR情報の把握は必須!

「知る」ことは「力」になる!

企業の素顔が見えるIR情報を把握しておけば、会社説明会でも面接でも冷静な判断ができるようになります。応募する会社の実情を詳細に知って、あなたの強みにしていきましょう。また、インターンシップで担当者の記憶に残るような質問が積極的にできるかもしれません。エントリーシートの応募動機でポジティブな内容を記載するヒントにもなりそうです。

IR情報に振り回される必要はありませんが、少なくとも応募しようとする会社が上昇傾向なのか、下降傾向なのか、現状維持ができている程度なのかくらいは理解しておきましょう。IR情報を見て、就職を希望する会社のイメージがこれまでとは違うものになるようなら、一考を要するということです。

いまの時期にIR情報が好調だとすれば、それは不況にも強い企業だと考えられます。少なくとも上場企業は、証券取引所から「何らかの変動(企業運営に関わる一定の事実)が発生した時には公表すること」を義務付けられているので、良いことも悪いことも適時に更新、開示されています。就活生にとっても信頼のおける貴重な情報です

就活時に知っているという強み

公開されている一般的な会社の情報や会社説明会などで得られる情報は、就活生なら誰もが入手できるので特段のメリットはないともいえます。一歩抜きんでるためには、IR情報を活用することをおすすめします。

比較的容易にアクセスできる情報ですが、財務諸表などを見たことがない場合も多いので苦手意識が働き敬遠してしまうかもしれません。しかし、ほかに企業が本当の姿を公表しているものはないと考えてみたらどうでしょうか。企業の現状や課題、将来性まで把握でき、場合によっては同業種の全体的な動向まで認識することができます。就活には欠かせないものといえるでしょう。IR情報を多少なりとも分析していれば、希望する会社についての知識量が格段にレベルアップします。

どんなに人気の企業でも将来性は……?

あなたの志望企業は将来大丈夫?

就職するなら将来性のある企業を選択するのは自明ですが、人気のある企業なら安全だと思い込んでしまうのは危険です。就職倍率が高い有名企業でも将来性があるのか考える必要はあります。社会は常に変化しており、人々のニーズやマーケットの動向が大きく変わる場合もあります。人気企業上位にある企業でも、数年後、どうなるかはわからないのです。

IR情報の結果が良好なら安心して応募できますし、逆にあまり良くない結果の会社に応募しようとしていたのなら、もう一度よく考えてみましょう。

IRには将来に向けての企業戦略情報が必ず記載されています。決算内容についてのパブリックコメント、ここ数年間の業績推移も確認できます。業種自体の将来性も考慮すべきですし、業種に関わらず、多少の不況に負けない底力があるなら、たとえ弱小に見えていても将来性という観点からは外せないところかもしれません

IRで各企業・各業種の実力を見極める

今回のパンデミックは全世界的に危機的状況になっていますが、実はこうした有事のときこそ企業や業種の実力、将来性を見極める絶好の機会です。

IR情報は、概ね四半期毎に更新されますし、年度末で決算を迎える企業が多くあります。もし業績が悪化していても公表せざるを得ないのです。ここで業績悪化が著しいと判断できる場合は、企業規模に関係なく相当厳しい状況に陥っている可能性があります。パンデミックの影響で決算説明会を中止する企業も少なくありませんが、IR情報は更新されます。

危機感を抱かずに上昇気流に乗るだけだった場合や資金調達に傾向して将来の展望や戦略を見誤ってきた場合など、主たる経営者の能力や力量が影響していることもあるでしょう。企業の本当の実力が、はっきりとした差となってIR情報に現れてきます。

内定の有無にかかわらず、IR情報をチェックしよう

内定取り消しで良いこともあると思いましょう

内定をもらえなくて焦っている、または内定を取り消されてショックを受けている方も中にはいると思います。しかし、逆にこれで良かったと思い直すきっかけにもなります。

内定取り消しをする企業の実態

パンデミック宣言以前にも、早々に内定取り消しを行う企業、募集人数を減らす企業、採用を見送る企業が雨後の竹の子のように出現しています。今回のことは社会的にも経済的にもたいへんな危機ですが、「簡単なところ“弱者”から切る」という安直な姿勢が透けて見えるともいえます。
ですから、不安定な会社に就職せずに済んだ、良い結論を得た、と逆の発想をしていきましょう。内定は一種の契約です。契約を一方的に破棄する会社は、早晩危機的な状況に陥る可能性もあります。

複数の内定をもらっている時は、企業見極めのチャンス

複数の内定をもらっていて選択に迷っている場合には、IR情報を確認・比較してください。多少の業績悪化があっても、今後の方針や戦略に意義を見出すことができれば問題ありません。ただ慌てふためき、今後の対応等に一定の良い兆しがみられない場合には、少し考えましょう。

これまでの業績や成長等は評価しません。一時的に減益になっていても、危機的状況に対してフレキシブルに戦略を組みなおそうという姿勢があれば、一定の評価ができるでしょう。

内定がない場合でも今後のためにIR情報を見ておこう

現在内定がなくてもいろんな企業のIR情報をチェックしてみましょう。今後、生き残っていく企業・業種はどこなのかを見極めることができます。希望する業種の動きはどうか、会社の実績はどの程度のダメージかといった多くの貴重な情報を入手でき、今後の志望先を決める有効な判断基準となります。

プレスリリースなどでも、現時点でどのような状況か、迅速な対応ができる企業なのかが明確にわかる場合があります。外出の自粛などで自宅にいる時間が多い今こそ、ネットで入手できる情報を収集して分析して就活にいかしましょう

不況の時ほどIR情報に現れる企業の実態

公開される情報の数値に敏感になろう

世の中、良い時も悪い時もあります。現在、不況の真っ只中。日本中、世界中が不況の時だからこそ企業の実態を把握することができると考えてみましょう。

IR情報と同じくらい有用な決算説明会情報

投資家や専門家、アナリストを主なターゲットとして、上場企業が企業の業績や今後の方針を説明するのが決算説明会です。新型コロナの影響で決算説明会が中止になる企業も少なからずあるようですが、IR情報にはこれまでの決算説明会のデータが蓄積されている場合があります。

決算説明会で配布される資料には、売り上げ収益、事業収益、現状報告書、今後の方針などが記載されています。具体的な数値やグラフなどでていねいに記述されているので比較的簡単に理解できるでしょう。その見方について少しピックアップします。

  • 売上収益(営業利益)
    →各事業の成長度を比較
  • 事業収益(各事業ごとの収益を比較)
    →各事業の特性を把握したうえで全体の傾向を分析
  • 現状報告(現在の実態)
    →プラス材料、マイナス材料とも公平に分析
  • 今後の戦略(これからの取り組み)
    →不調事業への改善案、好調事業への拡大戦略を分析

投資家になったつもりで企業を見極める

本来、IR情報は株主や投資家に向けて発信されているものですが、投資家を募っているわけではありません。あくまで情報をもとに自己責任での判断を促しているものです。つまり、就活生も同じようにその企業の実力や将来性の判断基準に組み込むことができます

投資家は、自身の利益のため、緻密にIR情報を分析・比較検討するのですが、就活生も投資家ほど専門的ではなくても、自身のために企業を見極めるポイントを精査することが可能です。これまで経験したことのない脅威にさらされた時、企業はどのような対応、対策をするのか。それを知る機会にもなっています。

IR情報、決算説明会の情報入手は比較的容易です

IR情報は、各企業のWebサイトで専用のページがあったり、情報のアーカイブを設置して自由にダウンロードできるようになっていたりします。こうした情報へのアクセスに制限が設けられていることはほとんどありません。また、データのダウンロードに関してメールアドレス等の個人情報を求められることもありません。あなたが応募しようと思う企業のIR情報にぜひアクセスして、就活に必ず役立つ情報を入手しましょう。

IR情報を読み解く力をつけて強くなろう!

IR情報を読み解いて明るい将来を手に入れましょう!

IR情報というと一般的には馴染みがないことが多いのですが、「企業研究」という理念からは、非常に興味深いものです。決算書等の財務諸表は、見慣れていないとどこを見たらいいのかわからないかもしれません。財務諸表を見るポイントをひとつだけお教えします。「利益が出ているか」これです。な~んだ、と思われるかもしれませんが、これが一番大事なことです。
財務諸表の見方についても、Webで確認することができますし、一度覚えておけば一生役立ちます。

混沌としている世の中の状況だからこそ、しっかりと企業を分析する力を養い、就活に役立てていってください。

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