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トイアンナ

トイアンナ

慶應義塾大学卒。P&Gジャパン、LVMHグループでマーケティングを担当。独立後は主にキャリアや恋愛について執筆しつつマーケターとしても活動。新著『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』が2万部を突破。 ブログ:「トイアンナのぐだぐだ」 http://toianna.hatenablog.com/ Twitter: https://twitter.com/10anj10

2020年1月29日

転職回数は多いけれど、無能ではなかった…。天職まで転び続けた仕事道・前編 【キャリアの傷痕】第10回

トイアンナさんによる連載「キャリアの傷痕」第10回。この連載では「キャリアに傷がない人間なんていない。でもそこから得る“ジョイ”があるはず」という観点で分析・取材を進めていきます。

今回は、一般的にキャリアで「傷」扱いを受ける複数の転職を経て、4社目で天職に就いた真鍋 里沙さん(仮名)に伺ったお話を前後編に分けてご紹介します。

好きだから行った会社。向き不向きを後回しにした

「石の上にも三年」、そのセオリーはキャリアでも広く言われているが

「石の上にも三年」という言葉がある。石ですら3年も座っていれば温まることから、辛い場所でも耐えれば花開く、ということを表すことわざだ。この派生かは知らないが、キャリア設計でも「とりあえず3年勤めろ」とはよく言われてきた。

今回お話を伺った真鍋さんは、その3年を待たずに1社目を辞めた。新卒で旅行代理店に入り、1年で退職。それから法律事務所の事務を担当するが、さらに流れて外資系企業へ。

そこで契約終了を宣言されて心を壊しかけるも、長期休暇を取ってからいまの法人向け商材を扱うメーカーへ転職。33歳になるまでに4社を経験した彼女が、それまでの経緯を教えてくれた。

――さっそくですが、新卒で大手旅行代理店を選ばれた理由はなんでしたか?

真鍋里沙さん(以下、真鍋):1対1で人とお話しするのが好きだったからですね。大学時代にボランティアで老人ホームへ訪問したんですが、まだ体が動いたときに行った旅行の思い出を楽しそうにお話しされる方が多かったのが印象的で。そんなふうに後から思い出して、人生の記憶に残るような旅行を届ける立場になりたいなあ、って思って志望しました。

でも、いま思うと「自分が好きなこと」ばかりで、その仕事に「向いているか」はきちんと考えきれてなかったと思います。

――初対面ですが、真鍋さんは旅行代理店で接客をされるより、銀行のコンプライアンス部門だとか保健室の先生のように、「大事なことを静かにお話されるタイプ」と感じました。

真鍋:私もいまはそう思います(笑)。 ボランティアでも、おじいちゃん、おばあちゃんとまったり過ごすのが好きでしたね。就職するまでは窓口で旅行代理店を利用したことがなくって。実家の地域にあった窓口はお客様も少なくて、のんびりした空気だったんです。

ですが、研修が終わってから配属されたのは忙しい方の営業窓口で、とにかく数字、数字、数字の世界でした。

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1社目で3年頑張れなかった私

3年以内の離職。でも、当時は何も思わなかった

数字を作るためにあえて高額な海外旅行プランに誘導しなくちゃいけなかったり、天災で飛んだプランの分、売上を作らなくちゃいけなかったり……。

でも、旅行ってブームで人気が出たり、逆に災害で一気に冷え込んだり、努力でどうにもならない要素も大きいんですね。そこを根性、気合でカバーしなくちゃいけない。

ただ、旅行代理店の窓口は自分から営業にも行けないんです。

――旅行代理店って、基本的には問い合わせてきたお客様の対応ですもんね。

真鍋:そう。だから、お客様がいらっしゃるまでは何もできない「受け身営業」なんです。営業のスキルが身につかないんですね。それに、私のいた支店は1~2時間待たされるケースも多くて、担当した時点でお客様がイライラしているわけです。ですが、利益の上がりにくいプランをご希望されるお客様は、さっさと捌かないといけないので……さらにお客様の満足度が悪くなりやすい。

この状況でマニュアルがほとんどなかったのが、辛かったです。上司に相談しましたが「やる気が足りない」と叱られるだけで、どうすればよくなるかのアドバイスは貰えませんでした。それも仕方ない面もあって、上司も激務で、私にかまうどころではなかったんです。

それで「ここに長くいたらダメだ」って転職を決意しました。

――早期離職されたことに、何か特別な感情は抱きましたか?

楽しかった外資のお仕事。しかし落とし穴は思わぬところにあった

真鍋:辞めたことに後悔はなかったです。むしろ早く辞めたおかげで第二新卒の採用に間に合ったので。あのままダラダラ3年いたら「スキルなし中途」になっていたと思うと、その方が怖いですね。

それに、2つめの勤め先は弁護士事務所だったんですが、ワーク・ライフ・バランスがしっかりしてて、すごく働きやすかったんです。でも、そこでも同じ失敗をしてしまって。できる・できないより、好き・嫌いで仕事を選んでしまったんです。

弁護士事務所って「そつないフォロー」が要求される職場で。クライアントの立場を一瞬で見抜いて上役からそつなくお茶を出すとか、弁護士先生のお電話を小耳にはさんで、ほかのお約束の時間と、事務所に帰るまでの移動時間が重なっていないか気を配るとか……。そういうのが、私には苦手だったんですね。

向いていると思っていた仕事も、2年で去ることに

――それで、次は外資系企業をお選びになったんですか。

真鍋:そうです。外資といっても、新卒で入った会社ほど激務ではない、小さな商取引をする会社で。社風も、日本企業とそう変わらなかったように思います。もともとの知識を生かして、法務や経理面でのアシスタントをしていました。

それまでの仕事と違って、向いている仕事をしてる自覚があったんですね。やりがいとか、楽しさよりも「できることで、価値を提供できている」のが嬉しかったんです。

ですが、私は3年目でレイオフ(契約終了)されました。

――えっ、向いてる仕事だったんですよね? なぜですか?

真鍋:社内政治です。

……後編に続く

※個人情報保護のため、一部情報を編集してお届けしています。

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慶應義塾大学卒。P&Gジャパン、LVMHグループでマーケティングを担当。独立後は主にキャリアや恋愛について執筆しつつマーケターとしても活動。新著『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』が2万部を突破。 ブログ:「トイアンナのぐだぐだ」 http://toianna.hatenablog.com/ Twitter: https://twitter.com/10anj10

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