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みよたかこ

みよたかこ

人材業界で10年以上働きながら、ライターとしても活動する就職氷河期世代。翻訳書出版の経験も持つ。現在の執筆テーマは、社会人のキャリアやスキルアップ、女性の生き方など。趣味は飲酒しながらの料理。

2020年6月29日

内定先の経営に不安はない?会計資料で確認する方法

新型コロナウイルス感染症の影響は、会社の経営にも及んでいます。売り上げや利益の減少、社員の解雇、経営破綻のニュースも目にするようになりました。就活を終えた学生にとっては、内定先の会社は大丈夫なのか気になりますよね。

会社の経営状態を理解するには、会計の知識が必要です。まずは基礎を理解し、内定先や同業他社の経営状態を見てみましょう。

新型コロナの影響で変化する会社経営

戦後最大の不況が予想されている

緊急事態宣言の発令により飲食店やスポーツジムなどは休業せざるを得ず、売り上げがほぼゼロになってしまった企業は少なくありません。ホテルや航空業界でも提供サービスの大半が停止となり、売り上げが激減しています。

上記の業界を中心にした多くの企業は社員を休業させています。それでもなお経営が厳しいところは社員を解雇したり、希望退職者を募っている状況です。厚生労働省の調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響で解雇や雇い止めになった人は全国で2万人を超えました。

さらには、アパレル大手のレナウンのように経営破綻に追い込まれる企業も出てきました。私たちは今まさに、戦後最大ともいわれる不況の真っ只中にいるのです。

新型コロナウイルス感染症のビジネスへの影響は、当分続く可能性もあります。あなたの内定先は会社経営の心配はありませんか?  社会人になる前に、会社経営で重要となる会計の基礎知識を身に付けて、経営状況を見てみましょう。

売り上げ・利益を出しているか?損益計算書(P/L)の基本

損益計算書(P/L)を経年で見ると、会社の成長度もわかる

どの会社でも、売り上げや資産を表した「財務諸表」という資料を作成しています。上場企業であればホームページで財務諸表が見れるので、ぜひアクセスしてみましょう。

財務諸表のうち、代表的な資料が「損益計算書」と「貸借対照表」です。まず損益計算書から説明します。

損益計算書(P/L)とは

年度ごとの売り上げや利益を確認できる資料です。いわば、1年間の企業活動で会社がどれだけ儲けを出せたのかがわかる「通知表」です。

英語にするとProfit and Loss Statementとなるため、略してP/Lと表記されます。

損益計算書(P/L)の見方

まず覚えておきたいのは、「売上高」と「5つの利益」です。

売上高:商品やサービスを売って得られる収益
5つの利益

  1. 売上総利益:売上高から、商品やサービスの仕入れや製造にかかった費用を引いたもの
  2. 営業利益:売上総利益から、営業活動や本社経費などを引いた本業での儲け
  3. 経常利益:営業利益から、銀行借入金の利息支払や、企業が持っている株の配当金収入などを引いた経営活動全般での儲け
  4. 税引前当期純利益:経常利益から、臨時発生した利益や費用を差し引いた利益
  5. 当期純利益:税引前当期純利益から、会社が支払う税金を差し引いた利益

損益計算書を経年で見てみると、その企業が成長しているのか否かも把握することができます。

本業で売り上げ、利益が出ているのかを確認しよう

本業で儲けが出せているのかが大事

損益計算書(P/L)のなかで、とくに注目したいのが売り上げと営業利益です。その会社が本業できちんと売り上げをあげ、利益を出せているのかがわかります。

営業利益がマイナスでも、税引前当期純利益がプラスということもあります。これは、本業以外の企業活動で利益を出したことが主な理由です。最終的に利益が出ているから問題ないという意見もあるかもしれませんが、本業で利益を出していなければ企業活動をしている意味がなくなります。

このような視点で、内定先の会社のみならず同業他社の財務諸表も見て、売り上げや営業利益を比べてみましょう。

貸借対照表(B/S)を見れば、会社が持つ資産がわかる

製品在庫も資産のひとつだ

財務諸表において、損益計算書(P/L)と並んで代表的なものが貸借対照表です。英語でBalance Sheetと表記するため、略してB/Sと言われます。

貸借対照表(B/S)とは

会社がどこからお金を集めてきて、そのお金を何に使っているのかを表したものです。表が大きく「資産」と「負債・純資産」の2つに分かれていることが特徴です。

資産(貸借対照表の左半分):会社のお金を何に使っているのかがわかる
負債・純資産(貸借対照表の右半分):会社がどこからお金を集めたのかがわかる。負債は銀行借入など返す必要があるお金、純資産は株主から集めたお金や稼いだ利益など返す必要がないお金を表す

「資産」と「負債・純資産」は必ず同額となります。表の左側と右側の額が同じになる特徴から、Balance Sheetと名付けられているのです。

貸借対照表(B/S)の見方

貸借対照表の基本的な項目を理解しましょう。

資産(貸借対照表の左半分)は、大きく「流動資産」と「固定資産」に分かれます。流動資産は、現預金や売掛金など1年以内に現金化する資産です。固定資産は、建物や土地など1年以内に現金化する予定のない資産を表します。

負債(貸借対照表の右上)も「流動負債」と「固定負債」に分かれます。資産と考え方は同じで、1年以内に支払う必要があれば流動負債、その必要がなければ固定負債です。

純資産(貸借対照表の右下)は、株主から集めたお金など返す必要がないお金です。

借金は悪!? 負債と純資産の割合を見てみよう

個人なら借金はしないほうがいいが・・・

貸借対照表の右側にある「負債・純資産」において負債が少ない、つまり返す必要があるお金が少ないほうが安心だと思う人は多いでしょう。たしかに、いまのように急激に不況になったときは、負債が少ないほうが経営破綻に陥りにくいです。

しかし長い目で見ると、「株主から集めたお金+儲けた利益」以上の資金は集まらないため、企業の成長スピードが遅くなるともいえます。大きな投資ができず、いつの間にか競合に追い越されてしまうリスクも出てくるのです。

消費者の立場では借金はないほうがいいと思いがちですが、会社経営では負債は必ずしも悪ではないことを理解しておきましょう。

この会社つぶれない? 不況下に確認しておきたい「キャッシュ」

会社の生命線となるキャッシュ

会社経営ではキャッシュ(現金)をどれだけ持っているかも重要です。とくに不況下では、会社が存続できるかの運命がキャッシュにかかっています

キャッシュがない会社は、社員へ給与の支払いができない、オフィスの家賃が払えない、取引先へ支払いができないといったことが起きます。あるいは社員や取引先を守るために、内定者への内定取り消しもありえます。そしてこの状態が続くと、経営破綻に追い込まれてしまうこともあるのです。

キャッシュはB/Sで確認できる

会社がどれだけキャッシュを持っているかは、貸借対照表(B/S)の左側にある「現金及び預金」を見るとわかります。

流動資産の「有価証券」もすぐに現金化できるため、一般的には「現金及び預金」+「有価証券」がキャッシュを表すとされています。

キャッシュはどれだけあればいい? 手元流動性を計算してみよう

必要とされるキャッシュの額は会社によって異なる

では、どれだけのキャッシュがあれば安全といえるのでしょうか。その目安を考える指標に、「手元流動性比率」があります。以下の式で、キャッシュが売上高の何か月分あるかを算出します。

手元流動性比率=(現金及び預金+有価証券)÷売上高(月次)

最低でも1か月分はないと、いまのように景気が急激に悪化した際、月内に発生する仕入先や給与の支払いに耐えられなくなります。

何か月分あれば安心かは、業界の特性や会社規模によって異なります。取引先からの入金が遅い商習慣の会社は、入金されるまでの期間の諸経費を払えるようにキャッシュを多く保持する必要があります。

また、中小企業は大企業に比べ信用力がなく、銀行からの融資を受けようとしても審査に時間がかかる傾向にあるため、万が一に備えてキャッシュを多く持つ必要があります。

まとめ:会計の基礎を理解して、会社の「健康状態」がわかる社会人になろう

会計を理解していない社会人は意外と多い。早めに知識をつけておこう

会計というと難しい印象がありますが、まずは基礎的なポイントに絞って把握しておきましょう。簿記は財務諸表を「作る」ための勉強ですので、読み解けるようになるには会計のビジネス書を読んだほうが理解しやすいでしょう。

社会人として働いていても、会計をほとんど知らない人も少なくありません。いまのうちに基礎を理解して会社が順調に成長しているか、経営破綻の恐れはないかといった「健康状態」を財務諸表から考えられる社会人になりましょう。

出典:日本経済新聞 コロナで解雇・雇い止め2万人超 悪化ペースが加速
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