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下條信吾

下條信吾

1984年生まれ、長野県安曇野市出身、東京在住。ライター兼カメラマン稼業と並行してレゲエ・スカバンド「KaRaLi」「Tropicos」「The Kingstompers」などでも活動している。

2018年10月31日
Next Leaders 〜共感を生む次世代リーダーのリアル

経営者 野口卓也(株式会社バルクオム 代表取締役CEO )/Next Leaders 〜共感を生む次世代リーダーのリアル vol.3

カリスマ型から共感型へと理想のリーダー像が進化した現代。これからのリーダーはどのようなことをして、どのように生まれてくるのでしょうか? 様々な業界において最前線で活躍するキーマンたちへのインタビューを通して、次代のリーダー像に迫る本企画「Next Leaders」。

今回お話を聞いたのは、株式会社バルクオムの代表取締役CEO、野口卓也さんです。男性にとってあまり馴染みのなかった「スキンケア」を切り口に、男性の美容体験という新たなニーズを掘り起こした同社。30代前という若さで企業を急成長させた野口社長に、これまでのプロセスとこれからの展望を伺いました。

大学を辞めて19歳で起業

ミスターJ
野口さん、今回はよろしくお願いします。初めてお会いしましたが結構背が高いんですね。

終始柔和な表情の野口社長。身長は180㎝。

終始柔和な表情の野口社長。身長は180㎝。

野口
「twitterの印象と違って大きいんですね」とかよく言われます。Jさん(インタビュアー)は僕が今まで人生で出会った人の中で一番ヒゲが長いと思います(笑)

ミスターJ
そうですか。これでもつい先日半分に切ったんですけどね(笑)それはそうと……野口さんが起業しようと思ったきっかけって何かありましたか?

野口
もともと私の両親が会社を経営していたのもあって、小学生の頃から「自分も大人になったら会社を起こして大きくするんだ」というマインドがありました。

ミスターJ
なるほど。宇宙飛行士になりたいとか野球選手になりたいとかではなく、会社を経営したいと。

野口
ただ一度だけ進路を悩んだことがありました。高校生のときに自分が書いた小説が出版社の新人賞に入選したことがあって、その時は作家になろうかなと本気で考えました。

ミスターJ
すごいですね。ちなみにどんな小説でしたか?

野口
青春小説みたいな若い人向けのやつでしたね。文章を書くのが得意だったのでこのまま仕事にできるという自信もありましたが、もっと世の中に大きなインパクトを与えるのは、大きな事業を成したときかなと思い直しまして。

ミスターJ
それで起業の道に進んだわけですね。当時、会社をやるってどんなイメージでしたか?

野口
漠然と、ものづくりをすることを思い浮かべていました。親の会社もメーカー業でそれを見て育ったので、カネでカネを稼ぐようなビジネスではなく「ヒット製品作って売るんだ」みたいなイメージでしたね。

ミスターJ
素晴らしいですね。小説で受賞歴があって、親御さん譲りの経営マインドもあって、才能に恵まれていらっしゃる。

野口
いや、でも実際には抱かれがちなイメージと真逆で順風満帆ではありませんでした。大学を1年のときに辞めて19歳の夏に初めて起業して、それから最初の8年間くらいは鳴かず飛ばず……ずっとしんどかったです。

ミスターJ
最初に立ち上げたのはどんな会社でしたか?

野口
WEBの受託制作の会社で、自分でデザインやコーディングをやってました。あと電子書籍のアプリを作る会社も立ち上げましたが、どちらもうまくいかず、設立から2年ほどで廃業してしまいました。

ミスターJ
なるほど、大変な苦労があったわけですね。

ピザ屋との二択で迷った結果メンズスキンケアブランドを設立

バルクオムのスキンケア製品。洗顔料や化粧水、乳液、フェイスマスク、日焼け止め、ボディウォッシュなど、幅広くラインナップしている

バルクオムのスキンケア製品。洗顔料や化粧水、乳液、フェイスマスク、日焼け止め、ボディウォッシュなど、幅広くラインナップしている

ミスターJ
今ではバルクオムが大成功して、メンズスキンケアで世界シェアNo.1という目標を掲げられていますよね。勝算みたいなものってありますか?

野口
そもそも市場環境として「メンズコスメのシェアNo.1のブランドってどこですか?」って言われたときに誰も知らないじゃないですか。完全にマインドシェアが空いている状態。やりがいのある事業だなと思ってます。

ミスターJ
ということは……市場から逆算してこの事業をはじめたわけですか?

野口
そうですね、完全に打算的に。会社を立ち上げるときにいくつかビジネスプランを考えて、何十個も具体化して、最後は格安のピザ屋をやるか、男性向けの化粧品会社をやるかで悩みました。

ミスターJ
ではそこに相当時間をかけたのでは?1年とか2年とか。

野口
いや、1~2週間くらいですね。

ミスターJ
早いですね!割と直感型?

野口
いやいや1~2週間集中してずっとそのことだけを考えていました。いろんな業界地図みたいなのを買って、本を読んで、合宿みたいな感じで。

ミスターJ
素晴らしい。ということは、今後も同じような発想でメンズビューティーに限らずいろいろな領域に挑戦したいという気持ちがあるのでは?

野口
今はバルクオムを大きくすることしか考えてないですね。一方でトレンドにアンテナを張って、例えばビューティー × テックみたいなところで、
男性向けのメディアや、新しい原料の開発、製造工程のイノベーションなど、メンズビューティーというビジネス領域の中で挑戦を続けていきたいです。

「大きな会社にしたい」わけではない。目指すのは……

どんな問いに対しても笑顔を見せながら明快に答える野口社長。

どんな問いに対しても笑顔を見せながら明快に答える野口社長。

ミスターJ
野口社長は実際ご自身でもバルクオムの製品を使っているわけですか?

野口
もちろん、めちゃめちゃ使ってます。こうやって取材で撮影してもらうことも増えたので、自分自身の美容に対する意識はかなり高まりましたね。吹き出物が出てきたりすると結構焦ります(笑)

ミスターJ
さすが、お肌が綺麗なので製品の説得力があります。バルクオムは製品力だけでなく、全体的なUXがしっかりしているなと感じました。ちなみに、目標にしているというか、ベンチマークにしているような会社ってありますか?

野口
我々のブランドってクリエイティブの雰囲気とかマーケティングの手法とか、既存の美容業界の会社さんとは全く違うので、あまりベンチマークってないんですけど。ただ、僕がよく言うのは「レッドブルみたいな会社にしたい」と。

ミスターJ
あー、やっぱり。下で御社の車を見て、なんとなく感じました。

本社が入居するビルの駐車場に停まっていたバルクオムの車。リアルに再現された巨大なフェイスウォッシュが“レッドブルカー”を思い起こさせる

本社が入居するビルの駐車場に停まっていたバルクオムの車。リアルに再現された巨大なフェイスウォッシュが“レッドブルカー”を思い起こさせる

野口
バレましたか?(笑)あれは完全にオマージュです。

ミスターJ
あの車を見て「レッドブルみたいだなー」と思ったら、レッドブル……バルクオム……なんだか響きも似ているような。

野口
多少寄ってしまったかもしれません(笑)僕から見て、世界一ブランディングがうまい会社はレッドブルなんですよ。ここ20年くらいで急成長したワンブランドの缶飲料で、いろんなエクストリームスポーツをつくったりもしてて、文化も同時に発展させているし。なおかつ頑なに他の製品は作らないというところがストイックで素晴らしいと思います。

ミスターJ
なるほど。レッドブルのような成功を収めるために、さらにチームを拡大したいという気持ちはありますか?

野口
いや、逆に本当は僕1人で世界No.1のシェアにしたかったくらいで(笑)人数が少なければ少なく、売り上げが大きければ大きいほどイケてると僕は思っています。だから何百人・何千人規模の大きな会社にしたいという野望は1ミリもないですね。

仕事は人生の中で一番挑み甲斐のあるミッション

ミスターJ
少し私生活の話も聞きたいんですけど、オフはどんなことをされてますか?

野口
土日は圧倒的にダラダラして、ベッドから動かず漫画読んでたりしますね(笑)あとは友達とご飯食べに行ったりって感じです。

ミスターJ
何か日々のルーティンってありますか?

野口
平日は朝、ジムで一汗かいてから出勤してます。

ミスターJ
健康的ですね。社員の方とはどんな関係ですか?

野口
結構意識してドライに接しています。社員にはオンとオフをきっちり切り替えて働いて欲しいと思っているので。オフでの社員とのコミュニケーションは一切ないです。ただ、趣味趣向の近い社員同士が自発的に仲良くなるのは全然いいと思ってます。最近社内でも卓球部ができて、ワイワイ盛り上がってます。

オフィスのエントランスに置かれている卓球台までもがスタイリッシュ。ネットにはブランド名がプリントされ、ブランディングが行き届いている

オフィスのエントランスに置かれている卓球台までもがスタイリッシュ。ネットにはブランド名がプリントされ、ブランディングが行き届いている

ミスターJ
では次はバドミントン部?(笑)それでは最後になりますが、野口さんにとって仕事とはどんなものですか?

野口
仕事って人生の中で一番時間がかかる、挑み甲斐のあるミッションだと思っています。楽しい時もあればしんどい時もある。映画でもずっとギャグシーンだと笑えないし、逆にずっとシリアスなシーンだと疲れちゃうじゃないですか。アップダウンを繰り返しながら、たまに過去を振り返って、「あの時よりこれくらいできるようになったな」とか、「全然動かしている予算違うな」とか……しみじみ実感します。
たまに過去を振り返って、「あの時よりこれくらいできるようになったな」とか、「全然動かしている予算違うな」とか……しみじみ実感する野口社長

たまに過去を振り返って、「あの時よりこれくらいできるようになったな」とか、「全然動かしている予算違うな」とか……しみじみ実感する野口社長

【取材後記】

 野口社長を知ったのは、2018年8月に発表されたForbes Japanによる”次世代を担う30歳未満の30人を選出した「30 UNDER 30」の紹介記事だった。その記事から見て取れる歯に衣着せぬ物言い、ビジネスにストイックな姿勢、そして何より笑顔を見せない淡々とした表情の写真。随分尖がった経営者が出てきたなという印象だった。しかし、実際に会ってみると笑顔が多く、物腰も柔らか、我々への気遣いもされ、もちろん肌がすごく綺麗!な好青年と印象は一変した。
 少年時代から小説家を目指し、青春小説で賞まで受賞する程の実力を持っていたという野口社長。その明確なビジョンと目標、洗練されたブランディング、綿密に設計されたユーザーエクスペリエンスを見聞きする限り、すでにバルクオムが目標とする「メンズスキンケア世界シェアNo1」までのストーリーが描かれているように思う。幼少時代から起業することが前提と考え、人並みに以上にビジネスセンスを持ちつつも失敗や苦労を経験している野口社長、30歳を前にして既に自分を確立し、独特の輝きを放つ彼から無限の可能性を感じざるを得ないのであった。
 ちなみに、私はこの取材の途中から牡蠣による腹痛が発症したというのはここだけの話としておこう。

インタビュアー:ミスターJ

インタビュアー:ミスターJ

【野口卓也さんの紹介】

1989年、東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部中退。19歳から起業を経験。ITベンチャー等複数の企業を立ち上げ、2013年TSUMO・JP株式会社BULK HOMME事業部を発足。2017年、組織再編を経て株式会社バルクオムを設立、代表取締役CEOに就任。

【野口卓也さんのリンク集】

・ブランドサイト
https://bulk.co.jp
・カンパニーサイト
https://company.bulk.co.jp

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下條信吾

下條信吾

1984年生まれ、長野県安曇野市出身、東京在住。ライター兼カメラマン稼業と並行してレゲエ・スカバンド「KaRaLi」「Tropicos」「The Kingstompers」などでも活動している。

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