この記事を書いたライター

下條信吾

下條信吾

1984年生まれ、長野県安曇野市出身、東京在住。ライター兼カメラマン稼業と並行してレゲエ・スカバンド「KaRaLi」「Tropicos」「The Kingstompers」などでも活動している。

2019年7月25日
フロンティアスピリッツ

保育士 てぃ先生 / 子どもはかわいい!保育は楽しい!!

子どもが憧れる「将来なりたい職業ランキング」では、必ず上位にあがる「保育士」という仕事。特に女子からの人気は今も昔も変わらず絶大だ。

しかし、実際は人材不足や厳しい労働環境など、ネガティブな面が取り上げられがちな仕事でもある。

そんな現実をまるで笑い飛ばすかのように、一際明るいオーラを振りまく男性保育士をご存知だろうか?

彼の名は「てぃ先生」。独自の保育論がSNSを中心に話題となり、Twitterのフォロワーは49万人以上。「日本一有名な保育士」と言われ、書籍の出版やイベント・テレビ番組への出演など、各方面で引っ張りだこだ。

一体なぜ彼は保育士になったのか?どんなきっかけでTwitterを始めて「てぃ先生」になったのか?保育士でありインフルエンサーとして、同業の保育士や社会に伝えたいメッセージとは?話を聞いた。

てぃ先生が保育士になった、意外なほどシンプルな理由

子どもと接するとき、大人の想像を超える言動に驚かされることや、可愛らしさに心が和むことがある。保育園は、そんなドラマが日々生まれる現場だ。

保育士てぃ先生のTwitterには、園児の様子を温かくもユーモラスに伝えるつぶやきが投稿されている。

また、ときには子育てのポイントや、育児の悩みに関するアドバイスなど、保護者に向けたメッセージもある。

 

こうしたつぶやきが同業の保育士や子育て世代の共感を得て脚光を浴び、これまでに数々の書籍を出版。販売部数は累計50万部を突破している。

保育士の枠を超えた華々しい活動で注目される「てぃ先生」だが、保育士を目指したキッカケを聞くと、驚くほどシンプルでありふれた回答が返ってきた。

自然体で質問に答えるてぃ先生。保育士を目指したキッカケとは

「子どもが好きで、ずっと保育士になりたいと憧れていました。自分が子どもだった頃から自分よりも小さな子どもが可愛くて、同じ年の子と遊んでいるときもその弟や妹の面倒ばかり見ていましたね。

他に憧れた職業はパイロットくらい(笑)。『絶対保育士になる!』と強く思っていたわけでもなく、高校卒業後は当たり前のように保育の専門学校に進学して、卒業してからこれまでずっと保育士です。」

変化する保育園のカタチと変わらない仕事のやりがい

保育士になって11年目を迎えたてぃ先生。現在は関東の保育園で働いている。

仕事は朝7時半に園児を迎えるところからスタートする。午前中は園庭で遊んだり、お散歩に行ったり、室内遊びをしたりと、季節や天候に合わせて保育士がプログラムを考える。

お昼になると配膳・食事の補助をして、午後はお昼寝をしてからおやつの配膳・補助をして、それから再び園庭で遊んだり、室内遊びをする。夕方から保護者が迎えにくると、子どもたちを引き渡し、その後事務仕事を済ませるまでが保育士の1日の仕事だ。

てぃ先生は現場で子どもや保護者と関わりながら、時代の変化を見つめてきた。以前とは保育園に求められるものが少しずつ変わってきたと感じているそうだ。

現役保育士として肌で感じていること

「僕が保育園で働き始めた11年前は、今よりも幼稚園と保育園の違いがハッキリしていました。幼稚園は遊びながら子どもに学びの機会を与える『就学前教育』を行う場所。

それに対して、保育園は子どもをお預かりする場所という感覚だったと思います。最近は保育園でも英語やリトミックを教えたり、幼稚園に近いプログラムが組まれるようになりました。保護者もただの『預かり』ではなく、『プラスα』がある保育園を求めているのだと思います。」

時代のニーズに合わせて保育園の在り方が変わっても、てぃ先生の中で変わらないもの。それは、保育士という仕事の楽しさだ。

「どんな時にやりがいを感じるか?」そんなよくある質問に対して、てぃ先生は無邪気な笑顔を見せながら答えてくれた。

子どもの話をするとき、途端に表情が柔らかくなるてぃ先生

「やりがいを感じるのは『自分の声かけや対応がバチっと子どもにハマった時』です。例えばこれは実際のエピソードですけど、機関車のキャラクターがプリントされたTシャツが好で、それしか着ない子がいました。

ある日、服が汚れてしまって、でもお着替えのカゴの中には無地のTシャツしか入っていなかったんです。こんなとき、普通なら『機関車のTシャツはないからこれを着るしかないよ』と、その子が諦めるまでひたすら説得するしかありません。

しかし、ふと思いついて、白い紙にマジックでキャラクターを書き、ガムテープでTシャツに貼り付けたら、喜んで着てくれたんですよ(笑)。子どもにとってはキャラクターがプリントされていることが重要なわけではありません。

また、オフィシャルなイラストを望んでいるわけでもありません。どんな形であっても、自分が大好きなキャラクターが胸にあることが嬉しいんです。こんなふうにその子の真意を考えて対応して問題をクリアできたときは本当に嬉しいですね。まるで難しいパズルが解けたときのように気持ちいいです!」

てぃ先生がTwitterを始めた理由。「保育士のイメージを変えたい」

保育士であるてぃ先生が、「てぃ先生」の名前でTwitterを始めたのは2012年の時のこと。なぜTwitterを始めたか……そこには、彼自身が保育士として働きながら感じていた『保育士の社会的なイメージ』を変えたいという思いがあった。

「テレビやWEBなどのメディアで『保育』や『育児』、『子ども』というワードが出てくるときは大抵ネガティブなニュースばかり。もちろん仕事では大変なこともありますが、楽しさを感じる瞬間はたくさんあるし、なんといっても子どもはいつもかわいい。

もっと保育についてポジティブな情報を発信する人間やコンテンツがあってもいいはずだと思い、『てぃ先生』を始めました。」

保育士という仕事のイメージを変えるべく、ポジティブなメッセージを発信し続けるてぃ先生。しかし、中には同業者でありながら、彼のつぶやきを見て「こんなに仕事を楽しみながら、子ども1人1人に目をかける時間はない」と思っている保育士もいるかもしれない。

そんな疑問を抱きつつ彼の話を聞いてみると、1つの答えが見えてきた。

彼は保育士として、学び、より良い保育を提供するために余念がないが、それ以上に自分が楽しく働ける環境を自ら選んでいる。実際、これまでに4つの保育園を経験してきたそうだ。

そして最近では、自らが蓄積した知見を活かして『保育士が楽しく働ける保育園』を増やすべく、保育園のコンサルティングや立ち上げのお手伝い・監修なども行なっている。

てぃ先生が思い描く「保育士が楽しく働ける保育園」とは

「僕が保育園をコンサルティングするとき、保育士のリソースを第1優先にしてスケジュールを組むことを提案します。そして、それに合わせて子どものスケジュールを組み、子どもや保護者への対応を考えていきます。

“保育士ファースト”で身勝手だと思われるかもしれませんが、保育士の心身に余裕がないといい保育は絶対にできません。『子どものために身を削って働く』みたいな、自己犠牲が美徳されがち業界ですが、そのしわ寄せがいくのは結局子ども。僕は子どもたちのためにも、声を大にして“保育士ファースト”を訴え続けます。」

てぃ先生が仲間の保育士に伝えたいこと

てぃ先生の存在をTwitterで知った大多数の人は、彼を保育士という目線ではなく、インフルエンサーとして見ているかもしれない。

しかし、時折少年のように微笑みながら取材に答える彼は、カリスマでもなければ革命家でもない。子どもたちを愛し、さまざまな問題意識を感じながらもその楽しさを発信する、1人の普通の保育士だ。

彼のもとには毎日のように同業者から悩み相談のダイレクトメッセージが届く。現在日本では保育士免許を持っていても保育の現場で働いていないという人が70万人もいるといわれている。

保育士を取り巻く環境が厳しいという現実も否定できない。しかし、彼は悩む保育士たちに毅然として伝え続けている言葉がある。最後にそのメッセージを聞いた。

全国で働く仲間の保育士に伝えたい思い

「せっかく自分が好きで始めた仕事なのに、現場に出て忙しさに追われ、悩んでいる保育士さんがたくさんいます。そういう人は『私は保育士に向いていないのかもしれない』と考えがちですが、今の環境が自分に合っていないだけかもしれない

自分が輝ける場所が他にあるなら、そこを離れて別の場所を探せばいい。僕は保育士さんに幸せになってもらいたいんです。

子どもの幸せのために僕たちはいつも頑張っていると思うので、これ以上同じ保育士さんに『頑張れ』とは全く思いません。もっと自分を大事にしてほしい。その先に子どもたちの笑顔があるのだと思います。」

取材後記

「子どもが好きだから保育士になろうと思った」

保育士を目指す多くの人と同じ理由でこの仕事を始めたてい先生。

現実に直面しても初期衝動を忘れることなく、それを貫いた結果「保育士 × インフルエンサー」という独自のキャリアに行き着いたようです。

ちなみに、インタビューの終わりにこれからの夢を訪ね「自分の保育園を作りたい」と言うてい先生に「園長ですか?」と聞くと、「自分が理想の保育園をつくって、自分で保育士として働きたい(笑)。」と答えてくれました。

笑い話でしたが、この言葉に彼のすべての想いが込められている気がしました。

てぃ先生のご紹介

関東の保育園に勤める男性保育士。

ちょっと笑えて、可愛らしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は49万人を超える。

Twitter原作のマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA/メディアファクトリー)は20万部を突破、著書である『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか。』(KKベストセラーズ)は15万部を超える大人気作に。他にも『ハンバーガグー!』『園児がくれた魔法の言葉』などを出版。 

現在は保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディアなどで発信。全国での講演活動も年間50本以上。 他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」など、保育士の活躍分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。 ちなみに、名前の読み方は「T」先生。

てぃ先生のリンク集

公式HP:てい先生
Twitter:公式アカウント
Ameba:公式ブログ

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下條信吾

下條信吾

1984年生まれ、長野県安曇野市出身、東京在住。ライター兼カメラマン稼業と並行してレゲエ・スカバンド「KaRaLi」「Tropicos」「The Kingstompers」などでも活動している。

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