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北 堅太

北 堅太

なんでも書きたい系ライター。シーランド公国男爵。本とアナログレコードを買いあさることで、今日も生きのびている。なんとなく、インタビューの仕事が多めです。

2019年9月5日
ミレニアルズワーク〜未来と直面する世代のワークスタイル

トレイルランナー 上田瑠偉 / 長野から世界へ、頂点を目指す山道のスペシャリスト 後編

トレイルランナー上田瑠偉 / 長野から世界へ、頂点を目指す山道のスペシャリスト

トレイルランニングをメジャーにすることを目指して世界に挑戦をする上田選手。前編では熱い想いを抱くに至った経歴を紹介した。現在も快進撃を続ける上田氏だが、その秘密はどこにあるのだろうか? 今回は普段愛用している道具から探っていきたいと思う。

< 前編:トレイルランナーの世界一への挑戦

上田選手の7つ道具

トレイルランナー上田瑠偉の愛用品(7つ道具)

これが上田選手の7つ道具

山を主戦場にするトレイルランナーは、その強靭な肉体や精神を維持するために普段のケアを欠かさない。もちろん競技で使用する道具も必要である。

さらに、現代のアスリートがアスリートとしての地位を確立するには、ファンやスポンサーを獲得する為のセルフプローモーションという要素も不可欠だ。それは上田選手も例外ではない。そのための道具もあるという。早速、道具を見ていこう。

トレランシューズ(Columbia Montrail)

トレランシューズ(Columbia Montrail)上田選手の愛用品

使い慣れたシューズ。トレイルランナーの「足」だ

まずはトレイルランに絶対に欠かせないシューズ。上田選手はスポンサーでもあるコロンビアのものを愛用。

「トレイルランニング専用のシューズになります。通常のランニングシューズと同じようにローカットではあるんですけど、滑りにくいようにソールの後部に突起がついています。岩や土にひっかかるようにできているんです。初心者の方もまずは最低限シューズだけは買ってもらえると安全です。ロードランニングのシューズで山道を走ると滑っちゃいます」

トレイルランナー上田瑠偉の愛用品(シューズ)

ソール後部の形状がおわかりいただけるだろうか

他にも中に硬い素材が入っているため、滑らないだけでなく、でこぼこ道の痛みも軽減してくれるという、まさにトレイルランナーのお供のような存在。耐久性が高いので、スポーツ選手のシューズとしてよくイメージされるような買い替え頻度が高いものではないが、上田氏はコースに合わせて履くシューズを変えているという。

サングラス(ESS)

サングラス(ESS)トレイルランナー上田瑠偉の愛用品

上田選手モデルのさわやかなスカイブルー

「サングラスはESSというメーカーのものです。主に軍関係に卸しているメーカーでして、至近距離で散弾銃で撃たれても割れないつくりになっています。山の中を走っていると転倒の危険もありますし、転倒しないまでも目元に木の枝がぶつかることも多いので、目を保護するためにサングラスが必要になってきます。それからESSの一番の魅力はくもりにくいところですね。どのメーカーと比べても最もくもりにくいと思います」

軍用に使われるESSだが、日本ではスポーツ向けにも展開していてカラーバリエーションも豊富だそう。お見せいただいたのは上田選手のオリジナルモデル。スカイランニングのスカイにかけて、空をイメージした青色となっている。

GPSウォッチ(Garmin)

GPSウォッチ(Garmin)トレイルランナー上田瑠偉の愛用品

Garminでさまざまな情報を確認

ウェアも青色だが、サングラスに続いて時計も青色。

「GPS時計なので、レース中自分がいまどのあたりを走っているのかを把握できます。けれど使用シーンはレースだけじゃありません。日々のトレーニングの強度も表示してくれるので、体の酷使に客観的に気づいて怪我の防止にもなります。心拍もわかるので、トレーニング中に限らず日頃の疲れ具合も把握できます」

アスリートとして一時も手放すことのできないアイテムといえるだろう。

体幹トレーニングマット(FLOWIN)

体幹トレーニングマット(FLOWIN)トレイルランナー上田瑠偉の愛用品

このセットを用いて体幹を鍛える

サッカーの長友選手が愛用していることで有名な体幹トレーニンググッズ、FLOWIN。コーチによる月に数回のパーソナルトレーニングや、普段の自主トレーニングにおいて、上田選手も愛用している。この日はポータブルタイプのものをお見せいただいた。

体幹トレーニングマットでトレーニングする上田選手

マットの上でパッドを滑らして使う

1セッションはパーソナルトレーニングでは2時間、自宅での自主トレーニングでは30分から1時間に及ぶ。他のトレーニングとも組み合わせ、体幹を鍛え上げることで、近年の大会での好成績にもつながっている。計画的なトレーニングによって、怪我しにくい体ができあがっているのだろう。

マットレス(AiR)

マットレス(AiR)トレイルランナー上田瑠偉の愛用品

遠征時には欠かせない必需品

競技の性質上、海外遠征の多い上田選手。いつでもどこでも同じ心地で眠れるよう、西川のAiRを持ち運んでいるという。他にもサッカーのキングカズやメジャーリーガーの田中将大、大谷翔平も愛用している人気のマットレスだ。

平昌オリンピックでは日本選手団にエアウィーヴが提供されるなど、スポーツ選手にとっては生活空間を快適に保つことも重要になってくる。上田氏の場合も同様なのだろう。遠征時と普段の生活に乖離がないよう、なんと自宅でもAiRの上で寝ているそう。今後海外移住をした際、どういったこだわりで町や家を選ぶのかも楽しみだ。

リカバリーウェア

リカバリーウェアトレイルランナー上田瑠偉の愛用品

一見すると普通のシャツとジャージだが……

上田選手の睡眠へのこだわりはマットレスだけでなく、ウェアにもあらわれている。リカバリーウェアという言葉、聞き慣れない方も多いだろうが、着て休むと疲労回復が促進される機能性ウェアのことである。

「VENEXというメーカーのリカバリーウェアは、綿混じりで普通のスウェットのような自然な見た目が気に入っています。他にもA.A.THというウェアも使っています」

撮影機材(GoPro&ドローン)

撮影機材(GoPro&ドローン)トレイルランナー上田瑠偉の愛用品

撮影機材はこのふたつ

GoProカメラとドローン、このふたつを使って上田選手は自身の活動を発信している。FacebookやInstagramなどで確認できるトレーニング中の様子や山の景色は、なんと上田氏自らが撮っていることが多いのだ。

「GoProやドローンだと普通のカメラと見える世界がまた少し違うのでおもしろいですよね。これらを買ったことによって、自分の中でも山に行きたい気持ちが強まりました。いろんなところの写真や映像をもっとたくさんの人に見てもらいたいです」

Instagramの登場や登山人気もあって、山の写真や映像をユーザーが見るチャンスは増加したが、トレイルランナーである上田氏が改めて撮影することには大きな意味がある。

「トレイルランナーの利点は、他の人が行けない遠くまで行けるところ。普通のハイカーや登山者よりも、同じ日帰りでも遠くまで行けるんです。その景色を皆さんに届けられるのがうれしいですね」

番外編:車(ルノー カングー)

車(ルノー カングー)トレイルランナー上田瑠偉の愛用品

カングーから荷物を取り出す上田選手

8つ目となってしまうが、ご用意いただいた7つ道具以外でも印象的なグッズのお話が聞けたので最後に紹介しておく。

それは愛用の自動車。取材当日、上田選手はルノーのカングーに乗ってあらわれた。ダブルバックドア(観音開き)が印象的。容量たっぷりのトランクにはキレイに積まれた7つ道具や地元、大町の水が並べられている。それでもまだまだスペースは空いたまま。

「大会に行くと優勝賞品をもらうことがあります。そんな時はカングーに詰め込んで帰ってきます。また昨年怪我をしていた際やレース後に、負荷の少ないトレーニングとしてサイクリングをしていて、その自転車もそのまま入るのがいいですね」

五感すべてで山の魅力が感じられる。トレランの醍醐味

トレイルランナー上田瑠偉

トレイルランのスポークスマンとして魅力をうかがう

最後に広くトレイルランニングの魅力についてうかがった。やはりその魅力は上田選手が発信しているようなキレイな景色にあるのだろうか?

「自分でトレーニングに山へ行っていても、3時間のうち1時間は練習ではなく撮影に使っていたりします。大会中はもちろん自分では撮れず、大会側のカメラマンさんがヘリコプターを使ったりして撮影しているのですが、普段の様子は自分でGoProやドローンを使って撮っています」

浅間山(ドローン撮影)

上田選手が自らドローンで撮影した浅間山

山岳カメラマンの祖父の影響があるのだろうか。それとも山という素材そのものが生き生きしているからだろうか。上田選手がアップする写真や動画はどれも綺麗で見とれる。GoProやドローンの撮影・編集方法はすべて独学だそうだ。トレイルランを愛する熱心な姿勢がここにもあらわれている。

ただ、トレイルランの魅力はビジュアルだけではない。山というとすぐに景色をイメージしがちだが、上田選手はその他にもたくさんの魅力があるという。

落ち葉を踏む音や、虫や鳥の鳴き声も魅力的です。選手の中にはイヤホンをつけて音楽を聞きながら走る人もいますが、僕は森の音を聞きながら走るのも心地いいと思います。実際、大町で開いているトレイルランのイベントでは季節もちょうど秋で、枯れ葉の音がいいんです。他にも花かなにかの不思議な香りがすることもあり、それも魅力ですね」

高尾山のマップ

取材場所は初心者にもおすすめの高尾。まずはここで山や森の魅力を知ろう

魅力といえるかどうかはわからないが、上田選手は熊と遭遇しかけたこともあるという。唸り声が聞こえ、すぐに立ち止まるとどこかへ去っていった音がしたという。いずれにせよ、自然のなかで見るもの、聞くもの、感じるものすべてが、トレイルランを含めたアウトドアスポーツの魅力である。ぜひあなたも、山に行ってみることから始めてみてはどうか。

取材後記

この日、お見せいただいた道具の多くはスポンサー提供のもの。競技を広める第一人者として選手活動のみならず、スポンサー探しにも力を入れている上田選手の総合的な努力を垣間見た気がした。

山の魅力が多数あるといっても初心者に一番わかりやすいのは、やはり景色。ぜひ上田選手のアカウントをフォローしていくつか写真や動画を見てほしい。トレイルランナーが普段見ている光景がどれだけ綺麗なものなのかがわかるだろう。改めてGoProやドローンの使い道を考える機会にもなる。

< 前編:トレイルランナーの世界一への挑戦

上田瑠偉さんのご紹介

トレイルランナー 上田瑠偉 / 長野から世界へ、頂点を目指す山道のスペシャリスト

1993年、長野県大町市生まれ。小中学校ではサッカーに取り組み、高校は陸上の名門・佐久長聖高校に進学。2013年、大学生の頃に初めて出場したウルトラロードマラソンをきっかけにトレイルランニング、スカイランニングを始める。以降、世界各地のスカイランニング大会に出場し、新記録を樹立している。今年6月にはイタリアで開催されたリビーニョ・スカイマラソンで優勝。ヨーロッパ開催のスカイランナー・ワールド・シリーズでの優勝は日本人初。

上田瑠偉さんのリンク集

・Instagram:公式アカウント
・Twitter:公式アカウント
・Facebook:公式アカウント

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