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みるくり

みるくり

元リクルート編集。2019年よりフリーランスになり、より自由な働き方を求めて実験中。 取材や撮影ディレクションが得意。好奇心と直感のままに生きている。温冷浴が心の拠り所。

2020年1月9日
フロンティアスピリッツ

プロボディデザイナー松尾伊津香(ZERO GYM所属)/「ヨガ × 食事 × 瞑想」新たなソリューションで心の健康をサポート

インタビュー「松尾伊津香」プロボディデザイナー

ビジネスパーソンのための疲労回復専用ジムとして話題となっている「ZERO GYM」で、プログラムディレクターを務めているのが松尾伊津香さん。瞑想を軸にしたメソッド開発を行い、自身で生み出したダイエット法『食事瞑想』を世に広めるべく本を出版するなど、精力的に活動しているプロボディデザイナーである。

「思いついたらすぐ行動してしまう」「はてな思考がスタートする」「しかたないで諦めない」「失敗トレーニングで強くなる」……など、次々とポジティブな言葉が飛び出す彼女は、これまでどのような半生を歩んできたのか。

男女問わず多くの人々の心と体の健康をサポートしている彼女だが、一体その原動力は何なのか? どのようにして現在のキャリアに辿り着いたのか? 人の悩みに寄り添う優しい気持ちの内に秘めた、熱い想いを伺った。

きっかけは「心」に興味を持ったことから

インタビュー風景(松尾伊津香)

松尾さんの所属する「ZERO GYM」でお話を伺った

NHKを観るのが好きな母親のそばで育ったという松尾さん。介護や精神疾患についてのドキュメンタリーなどを目にする機会も多く、自然と「心」について興味を持っていったそう。

とくにきっかけとして覚えているのは、ある番組で「日本では40代男性の自殺率が高い」と知った時のこと。

「なぜ、この豊かな日本で仕事も家庭もあり、何もかも持っているように思える人たちが自殺してしまうのか、すごく不思議でした」

その時から、松尾さんの“はてな思考”が始まった。

現在のプロボディデザイナーとしての活動のテーマにもなっている「心の健康」への関心はこの時から受け継がれている。そのため彼女自身としては自然な流れで、大学では心理学を専攻することに決めた。その時は臨床心理士になろうと漠然と考えていたという。

そして、大学の授業で精神学やさまざまな分野を学んでいく中で、ヨガと出合う。それまで「心の健康」を保つには人の内面にアプローチするものだと思っていた彼女にとって、「体を整えると心が整う」というヨガの思想は衝撃を与えた。

「ヨガで目の前にいる人が元気になっていく体験に心を打たれて、すぐにこの道に進みたいと思いました」

「そうと決めたらすぐ行動しちゃう!」 という言葉の通り、周りの学生がインターンでさまざまな企業を訪れている中ヨガスタジオに通い、そのままヨガインストラクターとして就職を決めた。

大企業への就職を諦めることへの葛藤

インタビュー風景(松尾伊津香)

常に明るい笑顔でお話をしてくれる松尾さん

中学生の時は帰宅部、高校では茶道部、大学では大学祭実行委員会だったという全くのスポーツ未経験者だった松尾さんだが、新たにヨガに挑戦することへの躊躇いはなかったという。

「体の使い方もわからず柔軟性も全くありませんでしたが、不思議と不安はありませんでした。社会人1年目で未熟なのは分かっているので、とにかく先輩たちに追いつけるように頑張るしかない! と思っていました。

ただ、大企業への就職を諦めることには葛藤がありました。ヨガインストラクターを目指すということは、いわゆる勝ち組のレールからは外れてしまうことになると思ったので」

そんな迷いを抱えながらも、やりたことを突き詰めていこうと決心した。

松尾さんがずっと運動とは無縁に生きてきたことを知っている親も、初めは「なんであなたがインストラクターなの!?」とびっくりしていたようだが、娘がやりたいことならと応援してくれた。

その時に大企業への未練を捨て、その道で生きていくことを決めたことで、「折れるわけにはいかない!」と覚悟ができた。

自分だけの悩みじゃないと思えたことが原動力

プロボディデザイナー松尾伊津香(ZERO GYM所属)

ヨガにハマったことがきっかけで「心」と「体」への学びが深まった

ヨガインストラクターからキャリアをスタートし、ヨガのベースである「体を整えると心が整う」という考えを徐々に体得していった松尾さん。

それまで「心」を中心に学んできたので、一度「体」のことを極めようと、社会人4年目の頃に女性専用のジムへトレーナーとして転職した。

「実は昔から大食いで、でも『太ってはいけない』という考えがあって、食べ過ぎた日は夜中に走ったり運動したりしていました。つい食べ過ぎてしまうのも自分の意思が弱いからだと思っていたんです。

でもジムで働いてたくさんの女性にお会いする中で、『食べ過ぎてしまう』という問題は私だけのものでは無いと気付いたんです。甘いものが好きではないのにたくさん食べてしまったり、トレーニングの後にお弁当を3つも食べてしまったり、夜中にドカ食いしてしまったり……。

多くの人の悩みなんだとはっきりと認識できた時に、どうしたらいいんだろう? とまた“はてな思考”で考え始めました」

そして、これは必ず解決しないといけない問題だから、「しかたないで諦めない!」と心に決めた。

プロボディデザイナー松尾伊津香(ZERO GYM所属)

お客さんの喜びの声を聞くのが一番の幸せだそう

「トレーナーの仕事はお客さんの食生活などを監視をすることですが、ダメといわれると余計意識してしまうもので、食欲が強い方や「食べる」に悩む方にとってその方法は逆効果でした。

そして、食べているのに満たされていないのは、お腹でなく「心」なのでは? 満足感を得られる食事法を見つけ出せれば解決できるかもしれない、と思いました」

それから、松尾さんは来る日も来る日も自分自身を実験台に、満足感を得られる食事法を模索し始めた。

さまざまな食材や料理を食べてみたり、ゆっくり食べてみたり、ある時はポッキーをリスのように細かくかじりながら食べてみたり……。

そんなある日、いつもなら足りないと思う量の食事で満足できる日があった。しかしその時はなぜ少量の食事で満たされたのか理由が分からず、その後も思考錯誤しているうちに、どうやら舌先で味わって食べることで心が満たされているらしい、と気付いた。

このような発見から『食事瞑想』と名付けたメソッドは、まさに「心の健康」に体からアプローチしようと考えた、松尾さんだからこそ生み出すことができたアイデアだった。

「本を作りたい!」その思いがいまの仕事に繋がる

一生太らない魔法の食欲鎮静術~食事瞑想のススメ~

心からアプローチする食のための本は、多くの女性から支持を得ている

『食事瞑想』を多くの人に知ってもらいたい、同じ悩みを持つ人に届けたい! そんな想いから、松尾さんは本を出版することを思いつき、早速行動を始める。

「何の実績もなく、コネクションも無い中から動き始めるのは本当に手探りでした。自分で企画書を作って、出版社さんに持っていって……。絶対に求められているものだと思うけれど、まだこの世にないものだからなかなか受け入れてもらえない……もどかしい日々でした」

そんな中、転機が訪れた。現在松尾さんが勤めている「ZERO GYM」を運営する株式会社クロスメディア・パブリッシングの社長、小早川幸一郎さんとの出会いだ。

ビジネスパーソン向けの出版物を発行しているその会社では、リアルな場でビジネスパーソンを癒やすサービスの開始を検討しているところで、そのプログラムの開発を任せられる人を探していた。

そのようなときに、小早川社長に「本を出したいんです!」と話したところ、反対に「ZERO GYM」のプログラムディレクターのオファーを受けたという。

まるで相思相愛の運命的な出会いを経て、無事松尾さんは念願であった本の出版に漕ぎ着けるとともに、「ZERO GYM」のプログラムディレクターとして、ビジネスパーソンを癒やすためのプログラム作りに着手した。

インタビュー風景(松尾伊津香)

「ZERO GYM」で人気の疲労回復プログラムについて教えてくれた

プログラムディレクターとして、再度「人の悩みをどう解決するか? 」というミッションを与えられた松尾さん。その過程は、徹底してヒアリングを行うことで導かれていった。

「ビジネスパーソンの方にたくさんお話を聞く中で分かってきたことは、肩こりや運動不足ももちろんあるけれど、体ではなく脳が疲れているということなんです。

土日でも仕事のことを考えてしまったり、寝る直前までスマートフォンを見てしまったり。
そうした悩みを聞く中で生まれたのが、トレーニングに『瞑想』を取り入れたプログラムです。

トレーニングで体を緊張状態まで引き上げた後、瞑想で一気に解放させることで、慢性的な脳疲労を解消していきます」

「心の健康」に体からアプローチしていきたい、そんな想いを持ってひた走ってきた松尾さんが、これまで世の中になかった革新的なサービスを生み出すことができたきっかけは、いつも人の悩みに寄り添うことからだった。

世の中は意外と失敗に優しい! 挑戦したい気持ちを諦めないで

プロボディデザイナー松尾伊津香(ZERO GYM所属)

「今後は『食事瞑想』をアメリカに広めたい!」と夢を語ってくれた

「いままでたくさん失敗もしてきたけれど、そこで気づいたことは、やればやるほど失敗が怖くなくなるということです。失敗することでアイデアがブラッシュアップされていき、失敗のトレーンングを積み重ねていくことで、打たれ強くなりました。

そして、こうして自由にチャレンジをしている中で、世の中は意外と失敗に優しいと感じました。もしもっと自分を高めたいなら、多少チャレンジングな道に進んでもいいと思います。たとえ失敗しても行動し続けていると、必ず応援者が増えていきます。

就職活動をしている最中や、まだ社会に出ていく前だと見えにくいことも多いと思いますが、自由に自分のやりたいことに飛び込める人は絶対強くなれるので、応援しています!」

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取材後記

最後に力強いメッセージをくれた松尾さん。目を見張る行動力と、まだこの世にないものを生み出すクリエイティブな思考の源泉には、自分自身の純粋な好奇心と、人のために役に立ちたいという熱い想いがあった。

本当はやりたいことがあるのに一歩踏み出せない、社会的な成功とされる道から外れることに抵抗がある。そんな人にとっても、夢ややりたいことにまっすぐ取り組んでいくことで自分らしい道が拓けていくことを教えてくれる松尾さんの生き方は、きっと背中を押してくれるはずだ。

松尾伊津香さんの紹介

プロボディデザイナー松尾伊津香(ZERO GYM所属)

大学で心理学・精神医学を学び、その知識を深めるためにアメリカに渡米。
帰国後ヨガスタジオ、トレーニングスタジオでの勤務を行う傍ら、自身もベストボディジャパン モデルジャパン ガールズ部門 第三位を受賞するなどダイエット、ボディメイクに励む。ダイエット指導の現場で、食事制限により苦しむ女性たちを間の当たりにし、食欲は制限するものではなく鎮静するものだという考えから食欲と食べ方の研究を続け、自身のオリジナルメソッドとして『食事瞑想』を確立。2019年2月にNHK WORLD JAPANの「Medical Frontiers」に出演し、『食事瞑想』を世界の160の国と地域に発信。
また、2017年にはストレッチとマインドフルネスを掛け合わせた疲労回復プログラムを開発し、日本初の疲労回復専用ジムZEROGYMを立ち上げる。同ジムが日経トレンディ2018年ヒット予測第三位に取り上げられ、現在は千駄ヶ谷店、新宿店、サンパウロ店の三店舗を展開。

【経歴】
修猷館高校、関西学院大学文学部総合心理科学科卒業。
2016年11月  ミスター・ミスモデルジャパン ガールズ部門第三位 
2017年2月 「一生太らない魔法の食欲鎮静術~食事瞑想のススメ~」を出版
2018年4月 二冊目となる著書「超疲労回復」出版
2018年11月 「一生太らない魔法の食欲鎮静術~食事瞑想のススメ~」台湾語訳を出版
2019年3月  NHK WORLD JAPANにて世界160の国と地域に『食事瞑想』を放映
2019年5月 監修をつとめる「エグゼクティブコンディショニング」を出版
現在 疲労回復専用ジムZEROGYM プログラムディレクター、一般社団法人ライフメディテーション協会 代表理事
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