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長井杏奈

長井杏奈

生きるために食べるというより、食べるために生きている節があるフリーライター。好きが高じてグルメ系の記事を書くようになる。他には、ウェディング、トレンド、人事・採用系がメインジャンル。ライターの傍ら、司会・MC業も務めるパラレルワーカー。趣味は、一人旅に出ること、小説を読んだり書いたりすること、飲み会の幹事をすること。

2021年8月30日
ウーマンリンク

経営者 松田愛里(株式会社アンドユー代表)|チャレンジ精神を武器に“やりたいこと”を実現する

インタビュー松田愛里(株式会社アンドユー代表)タイトルイメージ

働き方が多様化するなか、起業においてもさまざまな方法が生まれている。ブライダル大手の株式会社ノバレーゼに新卒で入社したのち、5年目に新規事業を提案し、社内起業により代表取締役に就任した松田愛里さん。彼女がどんな事業を、どんな思いで立ち上げたのか。そして新しい事業を通し、何を達成したいのか、お話を伺った。

松田愛里さんについて

※メッセージ動画の下にインタビュー記事が続きます。

プロフィール

1991年8月生まれ、神奈川県相模原市出身。上智大学人間科学学部卒業。2014年に株式会社ノバレーゼに就職し、社長室・広報室でIRに従事。2016年10月、新規事業提案制度ノバレボにて、史上初の大賞を受賞。2019年1月に株式会社アンドユーを設立し、代表取締役社長に就任。2019年4月ECサイト「AND YOU DRESSING ROOM」を開設し、サービスを開始。

メッセージ動画


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何にでもチャレンジできる環境で、自己肯定感を育てる

インタビュー風景1松田愛里(株式会社アンドユー代表)

その明るいキャラクターから笑顔の絶えない取材となった

きっと、松田さんに会った方に第一印象を聞くと「明るい」「ポジティブ」「太陽のよう」といった感想が続出するだろう。そんな彼女のキャラクターの根底には、自己肯定感がある。

「私が通っていた中学・高校は、個性を伸ばす教育に取り組んでいました。決まりきったルールを守らせようとするのではなく、やりたいことがあればチャレンジさせてもらえます。だからこそ、自分と向き合う機会がたくさんあり、自己肯定感が高まりました」

持ち前の明るさとポジティブさを自由な校風のなかで育てた彼女の周りには、常に人がいた。その人望から、高校時代は生徒会長を務めた経験もある。今でも企業の代表として活躍するが、学生のころから人をまとめる大変さを学んだ。

組織で何事かを成し遂げるために最も大切なことは、目標に対して全員が同じ方向を向くことだ。一人でも後ろ向きな人がいると、組織として成り立たなくなるおそれがある。生徒会長の経験から彼女は、トップの立場として人と正面から向き合うことの大切さを知り、それが現在も活きている。

インタビュー風景2松田愛里(株式会社アンドユー代表)

休日はゴルフに行くなど、アクティブな一面も

高校卒業後は上智大学に進学。就職活動の時期を迎えた松田さんが就職先を選ぶ軸は、「どんな人と働くか」という点であった。

「選考のなかで社員の方と話す機会があると、その会社の雰囲気や、それぞれ特色が違うことがわかります。自分がその組織で活躍できるかどうかを想像しながら、就職活動を進めました」

特定の業種に絞ることはなく数々の企業を見た結果、婚礼プロデュースや婚礼衣装といった事業を展開する、株式会社ノバレーゼへの入社を決める。ここから、彼女のキャリアが始まった。

ゲストが結婚式を手放しで楽しみにできる未来を作る

インタビュー風景3松田愛里(株式会社アンドユー代表)

新規事業は、ブライダル業界全体の課題が見えてきたころに思いついた企画だった

ノバレーゼでは、社長室・広報室でIRなどに従事していた。その傍らで、彼女が挑戦をし続けていたものがある。それが、新規事業提案制度「ノバレボ」だ。

すべての社員に開かれたこの制度では、新しい企画を社内で立案し、大賞を受賞すれば実際に事業として取り組むことができる。持ち前のポジティブさと行動力を活かし、彼女は1年目から企画を応募し続けた。しかし入社から4年間、彼女の企画が日の目を見ることはなかった。

「最初のころは知識も経験もなかったため、今思えばかなり未熟な企画でした。しかし業務を通じて多くのことを学ぶうちに、業界全体に対してプラスになる企画を考えたいと思うようになりました」

当時20代半ばだった彼女は、結婚式にゲストとして招かれる嬉しさと厳しさを、身をもって感じていた。友人が結婚することや式に呼んでもらえることは喜びである一方、そのたびにご祝儀代が必要になるうえ、ドレスを新調しなければならない。

男性のほとんどがスーツで参列する一方、女性はパーティドレスを着用する。SNSなどに写真がアップされることを考えると、毎回同じものを着るわけにもいかないのが現状だ。

本来なら友人の慶事を心から喜びたいのに、どうしてもお金の心配が頭をよぎる。そんな自分への嫌悪感も生まれ、せっかくの晴れの日を100%祝福の気持ちで迎えることができなかった。こうした葛藤から入社4年目にノバレボに提出したのが、レンタルドレスの新規事業計画だった。

「ただでさえ人口が減り結婚する人の母数が小さくなるなかで、結婚式を本当に素敵なものだと思えなければ、ブライダルの未来はありません。参列者がどのくらい祝福の気持ちを持って楽しめるか、この課題を解決する企画を考えました」

松田愛里(株式会社アンドユー代表)インタビュー挿入写真1

ご祝儀、ドレス代、ヘアメイク代など、女性の参列にはどうしてもコストがかかる

このときに提出したのが、ECサイトを通してドレスをレンタルする事業だった。SNSが広まったこともあり、女性ゲストは同じドレスを着まわしにくくなっている。しかし、パーティ用のドレスは一般的なワンピースより高価なうえ、日常使いもできない。それならば、安い価格でドレスをレンタルする事業に需要があるのではないかと考えた。

この年は惜しくも大賞を逃すが、5年目に同じ企画で再チャレンジした。そこで気をつけたのが、「人の温かみ」だった。彼女はノバレーゼで働きながら、「この会社は、人と人のつながりを大切にしている」と感じていた。だからこそ、お客様と直接的な関わりがないECという形はネックとなる。

社内でも前例がない形態だったため、企画段階から悩みの種となりECではない形を考えたこともあるが、店舗を持つと対応できる顧客の範囲が限られてしまう。オンラインで展開することで、全国の人々にドレスを提供できるようにしたい。その気持ちのほうが強かった。

だからこそ松田さんはECという形にこだわり、顧客がドレスについてLINEでいつでも質問を送ることができるようにするなど、そのなかでも人の温かみを感じられるものにしていくとノバレボでプレゼンをした。さらに、4年目よりも細かな事業計画を立てるなど、事業への想いとビジネスとしての有益性の両方を強化した企画書を作り上げ、見事大賞を受賞した。

プレゼンに盛り込んだLINEを使った試みは、直接対面することはなくてもリアルタイムでのやり取りができるため、現在、顧客にとっても安心材料につながっているという。

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社内起業のメリットを受けながらも、甘えすぎないよう線引きを意識する

松田愛里(株式会社アンドユー代表)インタビュー挿入写真1

新会社設立の記者会見は盛況のうちに終わった

ノバレボで大賞を獲得した松田さんは、社長から「子会社を設立するから、その代表になるように」と任じられ、非常に驚いたという。というのも、ノバレボの規定では「大賞を獲得した場合は、新たに会社を作りそこで事業を展開する」とはなっていたものの、それまで大賞を受賞した人がいなかった。そのため、松田さんは実際はそこまで大きな動きにはならず、社内の一事業としてスタートするのだろうと考えていたのだ。

しかし規定のとおりノバレーゼの子会社として株式会社アンドユー(ANDYOU)を社内起業することになり、彼女は代表取締役に就任。設立に際し、社名にはある思いを込めたという。

「アンドユーはゲスト向けのレンタルドレス事業です。お客様は結婚式に参列するゲストですが、そもそも結婚式を開く人がいなければ、ドレスがレンタルされることはありません。つまり、お客様ご本人だけでなく、結婚式を開く新郎新婦がいて初めて成り立ちます。

だからこそ、レンタルをしてくださる方だけでなく、結婚式を開いてゲストを呼ぶ側の方やドレスを着る機会を生んでくれた方にも感謝の気持ちを込めて、この社名にしました」

実際に子会社として事業を始めると、一般的な起業に比べて社内起業にはさまざまなメリットがあることに気がついた。親会社のリソースを活用できることや、困ったときに相談できる相手がいることなど、経営の助けとなる要素が多い

松田愛里(株式会社アンドユー代表)インタビュー挿入写真2

会見でモデルが着用したドレスは、他とは一線を画したデザイン性の高いものだった

「ゼロから独立した人や、多額のお金を借りて始めた人に比べると、そこまでのハングリー精神はないと思います。ただ、私は私なりにまじめに取り組むだけです。ノバレーゼの方たちに相談などはしますが、どこまで頼るべきなのか常に線引きを考え、甘えすぎないようにしています

立場が変わり仕事内容も変わったが、彼女の仕事へのまじめさは何一つ変わらない。一年目から当事者意識をもって全力で仕事に取り組んできた松田さんは、今も知識をたくわえるために、インプットを欠かさないという。結婚式のトレンドなどについて書籍から学ぶこともあれば、SNSやニュースアプリを見ることもある。

多様な人が発するコメントに触れながら、一つひとつに対する自分の意見は何か、反対意見はどのような内容かなど、一つの視点ではなく複数からものごとを見るようにしている。経営者には多角的な視点が必要だからだ。

ゲスト一人ひとりが結婚式当日を楽しみにできるドレスを選ぶ

インタビュー風景4松田愛里(株式会社アンドユー代表)

ユーザーのデータと自身のセンスを組み合わせて、本当に喜ばれる一着を選定する

アンドユーの代表となってから、松田さんはあらゆる仕事を自分でこなすようになった。商品の選定や買い付け、購入品の撮影、さらにはサイトへの商品登録やサイトそのものの運営も行う。レンタル予約が入ればドレスの準備をし、顧客へ発送。返ってきたものをクリーニングするところまでが仕事だ。

「買い付けはネットを使い海外のものを仕入れています。さらにレンタルされるドレスの統計から、どんな色やサイズが人気か分析をします。しかし基本的にはデザインを重視して、自分が可愛いと思うか、みんなが着たいと感じるかを判断基準にしています」

ここで大切にしていることが、ゲスト一人ひとりが「わくわくするドレス」かどうかだ。日本ではドレス選びの際にルールやマナーが最重要視される傾向にあり、ほとんどのゲストが似たような色や形のドレスを着用している。

インタビュー風景5松田愛里(株式会社アンドユー代表)

スチームをかけるなど、自らドレスの状態を整えて品質をチェックする

その結果、ゲストが集まる写真を見ても、「会場はカジュアルなリゾート地か、格式高いクラシカルな披露宴会場か」「春の式なのか、冬の式なのか」といった情報がわからない。まさしく型どおりといった印象しか与えないものになってしまう。

しかし松田さんは、パーティはもっと楽しんでいいものだと考える。結婚式の形は変わり、昔ながらの「高砂に新郎新婦が座り、ケーキカットをして新婦の手紙を読む」といったスタイルから、新郎新婦がゲストと触れ合う演出を行うなど、新しい形が次々と生まれてきている。

そうしたトレンドの移り変わりに、ゲストだけがついていけていない現状を変えるため、よくあるドレスではなく、大ぶりの柄が入っていたり、ネイビーなどの定番カラー以外のものを積極的に選定している。

仕事の大変さは何かにチャレンジし、前に進んでいる証拠

松田愛里(株式会社アンドユー代表)インタビュー挿入写真3

社長になりたいわけではなく、やりたいことを実現する方法として現在の役職についている

現在、アンドユーの代表として活躍する松田さんだが、ノバレーゼにいた頃から仕事をつらいと思ったことはないという。今も昔も常に心掛けているのは、「チャレンジしてなんぼ」ということだ。

「何もチャレンジしなければ、つらいこともありません。つまり仕事で大変だと思うのは、何かに頑張っていて前に進んでいる証拠です。だからつらいときこそ、自分を褒めてあげたくなります

また、新しいことに取り組む際は、一番よい結果と悪い結果を想像する。何かチャレンジをするときには準備を整えるため、それほど悪い結果になることはそうそうない。松田さんの経験上では、最も悪い結果になる確率はせいぜい0.01%程度とのことで、そこまで考えれば「最悪の結果にならなければ、いいや」という気持ちになるそうだ。

さらに、顧客からのメッセージが日々の活力になっている。ドレスを返却する際、一緒にメモや手紙が入っていることが多々ある。

「やり取りはオンラインで完結するので、私は直接接客しているわけではありません。それでも、このドレスを着られて楽しかったとか、いい一日を過ごせたといったことをメモや手紙で伝えてくれます。このときに一番、やりがいを感じます」

松田愛里(株式会社アンドユー代表)インタビュー挿入写真4

これまで送られたメッセージは大切に飾り、日々のモチベーションにしている

最も多い内容は、「このドレスを着られて、周りの人に褒められた」ということだ。ドレスを選ぶセンスの的確さが、こうした顧客からのメッセージに裏付けられている。

ここまでポジティブに仕事に取り組む彼女だが、もちろんとんとん拍子だったわけではない。それどころか、新型コロナウイルスの感染拡大による影響をダイレクトに受けている。

2019年4月にアンドユーを立ち上げてから、最初の1年間は準備に費やした。2020年の春の結婚式シーズンからが勝負だと考えていた矢先、次々と結婚式がキャンセルされる情勢になってしまった。

自分ではコントロールのしようもない外的要因に翻弄され、どんな工夫も意味をなさなかった。フォロワーに忘れられないようInstagramをアップしても、投稿すればするほどフォロワーの数が減ったこともある。しかしそうした現状に落ち込みはしたものの、ある程度割り切って考えてもいた。

「考えてもどうにもならないなら、仕方がないと思っていました。もともとの性格ですね。それに、コロナ禍によってみんなが結婚式についてもう一度考え、その価値が再確認されたという面もあったと思います」

これほどまでに人が集まることがネガティブにとらえられるようになっても、ゲストを集めて結婚式をしたい。そして、大切な人を祝いたい。その大切さに新郎新婦やゲストが気づいたことは、今後のアンドユーをきっと後押しする。

レンタルドレスを通して結婚式への期待感を高める文化を醸成する

インタビュー風景6松田愛里(株式会社アンドユー代表)

ドレスルームからドレスが一着もなくなるほど、たくさんレンタルされる日を目指している

今後、アンドユーをどのように展開していくかを伺った。

「レンタルドレスというサービス自体、まだ一般的にはなっていません。ドレスは購入するものだという意識を持つ方がほとんどです。だから、そういった意識を変えていくことが課題です」

意識を変えていった先に、「パーティドレスはレンタルで可愛いものを借りる」という新しい文化を作り、結婚式をやりたいという若者層を増やすことが究極の目標だ。

そのためにはまず、ゲストのドレスはシンプルありきという概念を覆さなくてはならない。新郎新婦の結婚式の日を、ゲストも自分事として楽しみに待ち望むこと。そのために、素敵なドレスを用意すること。結婚式に向けた「わくわくする気持ち」の醸成が、これからのアンドユーが目指すものだ。

最後に、これから社会に出る方や新しい仕事を考えている方にメッセージをいただいた。

何事も、チャレンジしないのはもったいないと思います。まだ何もしていない段階で、無理だろうとあきらめるのは早すぎます。自分が挑戦してみて、最もいい結果ならどうなるか、悪い結果ならどうなるかを想像してみてください。きっと、最も悪い結果になる可能性はそう高くないはずです」

松田愛里(株式会社アンドユー代表)インタビュー挿入写真5

松田さん自身の結婚式には、アンドユーのドレスを着用したゲストが集まり華やかになった

そもそも、やりたいことやチャレンジしたいことがあること自体、アドバンテージだという。せっかく生まれたその気持ちを大切に、まずは一歩踏み出してみることが大切だ。

「基本的にポジティブではありますが、私も保守的な部分はあります。ただ、保守に徹しすぎてしまうと大きな成果を得たり、幸せになったりすることはほとんどありません。

自分の気持ちを大切にしながら、目標を達成するにはどうすればいいか、成長するにはどうすればいいか、前向きに考えてみたら新しい未来が待っているのではないでしょうか」

自ら機会を創り出し一歩を踏み出す“起業”に興味を持った方は、ジョイキャリア職業ナビの「起業家」を確認してみるといいだろう。「起業家」に必要な能力やスキル・適正など、さまざまな角度から「起業家」という職業について解説されている。それらも参考にしながら、自身のキャリア選択にぜひ活かしていただきたい。

松田愛里さんの取材後記

アンドユーの立ち上げは、松田さん自身の結婚式の準備と同時並行で進んでいったという。初めて自分自身が新婦という立場になり、ゲストを招く側にまわったことで、この事業の必要性を改めて感じだそうだ。結婚式当日、そこには一般的な結婚式とは違い、ゲスト一人ひとりが思いおもいのドレスに身を包む姿があった。こうした形式が日本全国に広まるのも、きっと遠い未来でない。

松田愛里さんのリンク集

ECサイト:AND YOU DRESSING ROOM
Instagram:andyoudressingroom

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