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ジョイキャリア中のヒト、新しいサービスやビジネスモデルに出会うと興奮を抑えきれずに記事を書いたり、インタビューに出たりと好き放題。とにかく仕事を楽しむこと、楽しい仕事をすること、新しい価値を生み出すことに情熱を注いでいる。「温泉ワーク」を研究中

ビジネスシーンで最近見聞きする謎のワード「禅・Zen・マインドフルネス」、それが何なのかはなんとなくわかっていても、それぞれを理解し違いを明確に説明できるビジネパーソンは少ないだろう。今回はそれを解消すべく日本の禅が発展し現在まで禅の考えを世界に発信しつづける地である鎌倉へと向かった。全2回にわたる記事の第1回は「禅とは何か?」をお届けする。
目次
禅とZen、そしてマインドフルネス

自然と自分と向き合う座禅
最近、禅とかZenとかマインドフルネスという言葉をビジネスシーンで良く見聞きしないだろうか?
禅といえば日本発だと思っているが、そのルーツもどういうものなのかもイマイチわかっていない。知っている事といえば1兆ドル企業のAppleを生んだ天才経営者スティーブ・ジョブズが生涯に渡り心酔し続けた事くらいだ。
そして、マインドフルネスというのも禅と関係あるとは何となくはわかってるものの、ITの巨人Googleが導入しているということ以外詳しくは全くわからない。
世界の名だたる大企業が取り組む禅やマインドフルネス、ということはビジネスに重要なものなのか?
さらに最近よく見るアルファベット表記のZen。英語になっているということは、すでに世界標準なの?知らないとビジネスについて行けない??
そんな知識しか持っていない私が、禅って一体どういうもの?アルファベット表記のZenは同じもの?マインドフルネスとはどういう関係?という疑問をまとめて解消したいと思う。
禅といえば鎌倉!
(という事は何となくわかっている)
いざ鎌倉!

鎌倉大仏は阿弥陀如来像
さて、禅を調べていたところ、ちょうど良いタイミングでZen2.0なるイベントが開催されるということで、潜入取材とともに疑問を解決して行きたいと思う。
その名の通り禅問答みたいだ!
(うまい!)
ではお付き合いください。
「ほとけ」を見つける禅と坐禅

仏法を守る象徴という龍
禅と聞いて坐禅や仏教を想像することは難しいことでは無い。そう禅は仏教の修行法である坐禅を基本的な修行形態とするもので、その祖はインドの仏教僧の達磨大使である。ただひたすら座るのだ。
日本最大の禅寺と知られる妙心寺のWEBサイトには禅を以下のように説明している
禅とは心の別名です。
ひとつの相にこだわらない無相。一処にとどまらない無住。ひとつの思いにかたよらない無念の心境を禅定と呼び、ほとけの心のことです。私たちの心は、もとより清浄な「ほとけ」であるにも関わらず、他の存在と自分とを違えて、対象化しながら距離と境界を築き、自らの都合や立場を守ろうとする我欲によって、曇りを生じさせてしまいます。
世の中、意のままにならないものですが、正確には我欲のままにならないということです。禅語の「如意」は意の如くと、思いのままになることを言いますが「如意」の「意」は我欲のことではなく、自他の境界と距離を超えた森羅万象に共通するほとけの心のことを指しています。
この「ほとけ」の心の働きには「智慧」と「慈悲」があり、それは認許とも言い換えられます。自分とは違う相手を許し認め、自分とひとつとする「不生不滅・不垢不浄・不増不減」の空の価値観に立つおおらかな心のことです。
自他の距離と境界を越えるには、自分自身を空しくすることです。
禅とは、雀の啼き声を耳にしても障りなく、花の香りの中にあっても妨げにならず一如となれる、そういう自由自在な心のことです。引用:臨済宗妙心寺派 大本山妙心寺 WEBサイトより
禅は坐禅という実践がベースになっており、崇める神や教義や経典などというものはない。坐禅により自分と向き合い、心を空にした素の状態にし、我欲や他人を受け入れるという人間が本来自分の中に持っている「ほとけ」の心を呼び起こす。そうすることで自分の心を自由自在に操ることができるようだ。

世界に広がるZENと座禅
さらに禅宗の一つである曹洞宗のWEBサイトでは、坐禅を以下のように説明している。
曹洞宗の教えの根幹は坐禅にあります。それはお釈迦さまが坐禅の修行に精進され、悟りを開かれたことに由来するものです。禅とは物事の真実の姿、あり方を見極めて、これに正しく対応していく心のはたらきを調えることを指します。そして坐ることによって身体を安定させ、心を集中させることで身・息・心の調和をはかります。
曹洞宗の坐禅は「只管打坐(しかんたざ)」、ただひたすらに坐るということです。何か他に目的があってそれを達成する手段として坐禅をするのではありません。坐禅をする姿そのものが「仏の姿」であり、悟りの姿なのです。私たちは普段の生活の中で自分勝手な欲望や、物事の表面に振りまわされてしまいがちですが、坐禅においては様々な思惑や欲にとらわれないことが肝心です。
道元禅師はまた、坐禅だけではなくすべての日常行為に坐禅と同じ価値を見いだし、禅の修行として行うことを説かれています。修行というと日常から離れた何か特別なことのように聞こえますが、毎日の生活の中の行い一つひとつを坐禅と同じ心でつとめ、それを実践し続けることが、私たちにとっての修行なのです。
引用:曹洞宗 公式サイト 曹洞・禅ネットWEBサイトより
目的や効果を期待して行うのではなく、坐禅に心身を集中させる姿そのものを「ほとけ」とし、思惑や欲にとらわれない心を身に付けることが出来るということだ。
ここまででわかるように、禅には理論よりも実践と想像力に重点をおく東洋的な考え方が色濃く出ているようだ。
日本の禅から世界のZenへ

海と山に囲まれた自然豊かな鎌倉の土地
ここで禅の歴史をふり返ってみよう。
およそ2500年前、瞑想により悟りを開いた釈迦により開祖された仏教を起源とし、西暦520年頃に釈迦から数えて28代目の祖師である達磨大使により禅宗として中国に伝えられ発展する。13世紀後半あたりから中国で衰退すると、多くの禅僧達が生き残りをかけ日本に来日することになる。
ちなみに、この達磨大使は縁起物として誰もが見かけたことのある「だるま」のモデルになっている訳だが、一説によると9年間坐禅を続けて手足が壊死(えし)して無くなってしまった為、あのような手足のない形になったのだとか… (おっ、、おぉ)
日本の禅はこの中国禅がベースとなっている。日本では鎌倉時代に伝わり、室町時代には日本仏教の一つとなり本格的に浸透し始め、それ以降も発展、明治維新以降は日本の禅を基本としたZenが世界へ伝えられている。
鎌倉時代、北条氏により中国の五山制度に習い、五山制度を設け室町時代には鎌倉五山 (上位より建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺)と京都五山(上位より天龍寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺)に分割され現在に至っている。これには禅宗の寺院を格付けすることで市民権をえると同時に、勢力を増す禅宗を幕府で管理する目的にあったとされている。
こうしてインドから中国をへて数百年かけて日本に伝わった禅が、自然豊かな鎌倉と日本の四季、そして日本人の気質に溶け込むことで新たな調和を生み、勢いを増して定着していったのだろう。そして日本人の特性とされる自然崇拝やわびさびもまた禅を抜きにしては語れないものとなっているように思われる。
ここまで、禅についての概念を早足で紹介いてきたが、多少はご理解いただけただろうか?私も、今回の取材を通して禅について知った上に、実践を重んじる禅に置いて坐禅すら未経験という状況なのだが、Zenやマインドフルネスとの対比を通じてもう少し禅についての理解を深めたいと思う。
後篇では鎌倉五山の第一位、建長寺で開催されるイベントZen2.0に参加しながら、禅とZen、マインドフルネスについて探って行くことにする。よろしければ引き続きご覧ください。
ジョブズも心酔した「禅」とは?後篇はこちら
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