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海坂侑

海坂侑

フリーライター・エッセイスト・編集者。映画/小説/落語を趣味とし煙草と酒を愛好する28歳独身女性。東北の田舎に生まれ関西の田舎に流れ、現在は都内にてうつくしい猫とふたり暮らし。女性らしい生き方はできたためしがないものの、執筆テーマは主に女性の恋愛・思考・ライフスタイル・人生など。

2018年11月22日

【あなたの今夜に 乾杯!】いい夫婦の日 編 支え合って生きていく。誓いを新たにするウイスキーとアップルワイン

“特別な日には特別なお酒を”。いつもとは少し違った演出で気分を変えてみてはいかがでしょうか?お酒にまつわるストーリーをお届けする連載企画「あなたの今夜に乾杯! 」

11月22日は、いい夫婦の日。とはいえ単なる語呂合わせの記念日だし昨日までと何も変わりのない平日、いつも通り忙しく過ごされる方が多いことと思います。でも、せっかくの機会です。日々の暮らしにかまけて普段はついつい見過ごしがちな“夫婦”という縁に、今宵はふたりでグラスを傾けながら、ゆっくり思いを巡らせてみてはいかがですか? 記念すべき連載第1回は、そんなときにピッタリのお酒を、ご紹介させてください。

“ジャパニーズウイスキーの父”の名が冠された銘柄「竹鶴」

竹鶴17年ピュアモルト 700ml アルコール分43%

「日本から来たひとりの若者が、1本の万年筆とノートで、わが国門外不出のウイスキーづくりの秘密を盗んでいった」。

後のイギリス首相ヒューム氏にそう言わしめた人物。それこそが24才の若さで単身スコットランドへ留学し本場のウイスキーづくりを習得したのち、日本で「ニッカウヰスキー」を創業した竹鶴政孝、その人でした。

彼は「日本でも本物のウイスキーをつくりたい」その一心で試行錯誤を繰り返し、日本初の蒸留所を山崎に建設、「サントリー白札」(のちのサントリーホワイト)を製造するなど、めざましい貢献をしました。そう、竹鶴政孝は現在のサントリーの始祖でもあるのです。

そして1940年、ついに彼は自身が代表取締役を務める会社で、ニッカウヰスキーを発売します。

やがて時が流れ現在。「飲みやすいピュアモルトウイスキーを日本でも」という志のもとにつくられた本製品に、かつての業績への敬意を込めて彼の名前が付けられました。ニッカウヰスキーが製造し、アサヒビールより販売されている本商品は、ジャパニーズピュアモルトウイスキーとして、国際的にも高い評価を受けています。

実は市場ではすっかり希少な存在となってしまった竹鶴17年。その味わいは豊潤で力強く、それなのにスムースなくちどけ!すこしでも長く口の中へ留めておきたい……そんなもったいない気持ちになってしまいます。

お次はこれらジャパニーズウイスキーの歴史を語るに欠かせない、まさに“女房役”のお酒をご紹介します。

昔はジュース屋さんだった!? ウイスキー製造を陰で支えたアップルワイン

ニッカアップルワイン 720ml アルコール分22%

竹鶴政孝が創業したニッカウヰスキー、その前身は「大日本果汁株式会社」といい、実はおもにリンゴジュースを製造・販売している会社でした。ウイスキーは製造から出荷までに時間と手間がかかるため、リンゴジュースの販売益でウイスキー製造をおこなっていたのです。

こちらのアップルワインもニッカウヰスキーよりも前に発売され、現在もパッケージをほとんど変えず、アサヒビールより発売されています。

まさにウイスキー製造の、縁の下の力持ち。アップルジュースやアップルワインなくして、こんにちのジャパニーズウイスキーは存在しえなかったと言ってもいいかもしれません。

味わいはとっても甘口。濃厚な舌ざわりと、ノドの奥までふわあっと薫る色っぽさが特徴です。ソーダで割っても美味しいですが、これからの季節、お湯割りのホットワインとして楽しむのもオススメですよ。

NHK連続テレビ小説「マッサン」に描かれた、夫婦のすがた

ふたりの仲睦まじさが印象深いです。 イラスト:タネグサ(@tanegusa_1221 )

2014年度下期に放送され、平均視聴率22%超えの大人気を博したNHK連続テレビ小説「マッサン」。日本初のウイスキーづくりに奔走する青年、玉山鉄二演じる亀山政春とシャーロット・ケイト・フォックス演じる妻・エリーの成長と愛の物語でした。

「マッサンのダメ男感がスゴイ」「エリーの健気さが泣ける」「泉ピン子のアクが強すぎる」など、たいへんな話題になったことも記憶に新しいですね。ご覧になっていた方も多いのではないでしょうか?

当時ではめずらしく、周囲からの反対も多かった国際結婚を経て日本でのウイスキーづくりに打ち込む政春と、陰になり日向になり、その姿を真摯に支え続けるエリー。お互いを慈しみ合い、尊重し合いながら生きていくその姿は、まさに“いい夫婦”そのものと言えるでしょう。

本作のモデルとなった人物が誰あろう、ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝とその妻、リタでした。

竹鶴政孝とリタ

脚色が加えられているとはいえ、竹鶴政孝とリタも互いに支え合って生きてきたふたりに他ならないでしょう。リタが享年64才で亡くなった際、政孝は「大人がそれほど取り乱すというのは初めて見た」と言われるほど、人目もはばからず泣き喚いていたといいます。

すばらしいお酒誕生の裏には、すばらしい夫婦のドラマがあったのです。

“いい夫婦”って、なんですか?

そもそも、“いい夫婦”とはいったいどんな夫婦なのでしょうか?
あいにく筆者はアラサーにして独身街道邁進中なので……まわりの先輩諸氏に問いかけてみました。
浮気をしない、ケンカをしない、家事分担ができる、お互いが空気のような存在でいられる……。
さまざまな意見が出るなか、わたしがいちばん納得できたのはこれでした。

「お互いにリスペクトし合える関係」

竹鶴になったり、アップルワインになったり。年を重ねていくふたり。

夫婦以外の人間関係にも共通して言えることでもあるな、と思います。

長い人生をともにする道のり、意見の食い違いもあれば鬱憤が溜まって仕方ないこともあるでしょう。しあわせなことはもちろん、苦難も軋轢も、それはたくさんあるでしょう。それを乗り越えてこそ夫婦だ!とは言っても、難しいものですよね。かつて一度も誰とも成し得たためしのないわたしだからこそ、よーく理解しているつもりです。

でも相手に対する尊敬の念さえ失わなければ、欠点も不満もまずは受け入れ、真摯に向き合うことができると思うのです。妥協したり補ったりして、打開策を探る努力ができるはずです。わたし自身、誰かと夫婦になれたことはないけれど、友人や仕事仲間とはそのようにして障壁を克服した経験は何度もあります。夫婦って、それがずうっと繰り返し、続いていくものなのではないでしょうか。

短所のない人間はいないし、困難に陥らない人生もありません。そのたびに傷つき、修復し、支え、支えられ……そうしてふたりは“いい夫婦”になってゆくのかもしれません。それはまるで数多の困難を乗り越えて現在に名を残す竹鶴とアップルワインを世に生み出した、竹鶴政孝とリタのように。

夫婦の今までとこれからに思いを馳せる、おふたりの今夜に 乾杯!

たまには、しっとりとしたBarで夫婦水入らずの時間

監修・撮影:COFFEE BAR GALLAGE
Address | 東京都中野区東中野3-8-5 遠田ビル 201
Open | 火〜日曜日 14:00 – 23:00
Instagram | coffeebargallage

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フリーライター・エッセイスト・編集者。映画/小説/落語を趣味とし煙草と酒を愛好する28歳独身女性。東北の田舎に生まれ関西の田舎に流れ、現在は都内にてうつくしい猫とふたり暮らし。女性らしい生き方はできたためしがないものの、執筆テーマは主に女性の恋愛・思考・ライフスタイル・人生など。

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