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海坂侑

海坂侑

フリーライター・エッセイスト・編集者。映画/小説/落語を趣味とし煙草と酒を愛好する28歳独身女性。東北の田舎に生まれ関西の田舎に流れ、現在は都内にてうつくしい猫とふたり暮らし。女性らしい生き方はできたためしがないものの、執筆テーマは主に女性の恋愛・思考・ライフスタイル・人生など。

2019年1月19日

【あなたの今夜に 乾杯!】Bar へのススメ 編 「Bar の魅力ってなんですか?」バーテンダー×常連客の特別対談!

“特別な日には特別なお酒を”。お酒にまつわるストーリーをお届けする連載企画「あなたの今夜に乾杯!

今年最初にお届けするのは、特別版「Bar へのススメ」。まだBar へは行ったことがない、あるいはBar に通うのは気後れしてしまう……そんな飲んだくれ初心者のあなたへ、Bar の魅力と第一歩の踏み出しかたを、バーテンダーと常連客のおねえさんがお教えします。

常連客:サキさん
都内スタートアップ企業でバリバリ働くビジネスウーマン、28歳。お酒が大好きで、今では週に4日はBar へ通います。

バーテンダー:ケンタさん
COFFEE BAR GALLAGE 店主。ウイスキーとコーヒーとジャズをこよなく愛する、若きバーテンダー。

我われはなぜBar に惹かれるのか?

「わたしにとって、Bar =口説かれる場所 だった(笑)」

ケンタ
サキさんがBar に通うようになったキッカケは?

サキさん
実はつい最近のことなの。旅行先で、ひとりで飲み歩くようになってからかな。特に京都なんかには素敵なBar がたくさんあるんだよね。旅先で繰り返していたらいつのまにか、普段も飲み歩くようになって……。なんだか酒クズみたいですけど。

ケンタ
それまではひとりで行くことはなかったですか。

サキさん
なかったなぁ。Bar は格調高くて、特別な日に行くお店っていうイメージがあったの。薄暗くて、雰囲気があって……そしてだいたい男性に連れていかれて「ああ、わたしこれから口説かれるんだな」って身構える場所(笑)。

初めて行ったBar は表参道の名店「バーラジオ」だそう。

ケンタ
自分からBar に通うようになったのはどうしてですか?

サキさん
美味しいウイスキーをもっと飲みたいと思ったから。若い頃は食と日本酒が好きだったけれど、だんだんカロリーが気になってきたの!(笑) その点、ウイスキーは太らないでしょ? しかも、いくら飲んでも知らないお酒がどんどん出てくるから、宝探し気分を味わえるんだよね。

ケンタ
サキさん、立派な飲んべえですよね(笑)。もう一度行きたい、通いたいと思えるBar はどんなお店ですか?

サキさん
店員さんやお客さんとの会話があって、コミュニケーションできるお店かなあ。新しいお酒の知識を得られたリ、普段の生活では知り会わないような人と仲良くなれたりするのって、他の場にない魅力だし、居心地がいいから通っちゃう。

2杯目、ウイスキーに突入。

「初めてBar で飲んだ酒は、正直すごくマズかったんです」

サキさん
ケンタさんからバーテンダーとしてBar の魅力をズバリ伝えるなら?

ケンタ
大人になる場所。

サキさん
そうなんだ!

ケンタ
ぼくが初めてBar で飲んだ酒は、正直すごくマズかったんです。カッコつけてマティーニを頼んだけど、辛くて飲めたもんじゃなかった。でも「これが美味しいんだ」と自分に言い聞かせて、我慢して飲んでいるうちにだんだん美味しく飲めるようになっていったんです。酒の美味さがわかる大人になった気分を味わえることが、Bar に行く楽しさだと思っています。

サキさん
美学的だねー!

思いっきりカッコつけるのも、Bar の楽しみだそうです。

ケンタ
もともとBar はハイドアウト、ギャングの隠れ家だったので誰でも入れる場所ではありませんでした。Bar の扉は重くて入りづらいように工夫してあるし、チャージ料はその場所にいていい権利だし、店にいる客はある種の規律や価値観を共有する“仲間”。すべて、当時の名残です。その一員になれる楽しみがBar にはありますよ。粋がった意見かもしれませんが(笑)。

サキさん
わかる気がする。わたしは知識欲や経験欲でBar を楽しんできたけれど、確かにそれだけが理由じゃなかったかもしれない。

ケンタ
カッコいいBar にはカッコいい客がいて、カッコいいバーテンダーがいて、カッコいい酒があります。Bar はお客さんと一緒につくっていくものですから、カッコよくあろうとするお客さんからはバーテンダーも、本当にいろいろなことを教えてもらっているし、逆も然りであればいいなと思っています。

届け、バーテンダーの情熱

「Bar には5つの酒が必要だと思うんです」

サキさん
バーテンダーの人たちはみな、よりよいお店にするために工夫を重ねていると思うけど……ケンタさんのコダワリを聞かせてほしいな。

ケンタ
店のコンセプトに迷うことがやっぱりあります。たとえばお酒のラインナップも、ぼくの好みに合わせたらモルトウイスキーばっかりになってしまう(笑)。バランスよくお酒を揃えるために、ぼくなりに「5つの酒」という指標を決めました。

サキさん
5つの酒。具体的には?

ケンタ
①安価な酒。いつも誰でも、気軽に飲むことのできるお酒です。 ②高価で美味しい酒。特別な気分のときに楽しめるし、初めて来るお客さんには「ほう、こんなのも置いてるのか」と思ってもらえるようなお酒のことです。 ③コスパのいい酒は、そこそこのお値段で味もいい、つい飲みたくさせるお酒。 ④おもしろい酒。普段とは違う味に挑戦したいお客さんへオススメできるユニークでめずらしいお酒のことです。 ⑤思い出の酒は、お客さんの数だけ存在しています。

サキさん
お客さん一人ひとりの思い出のお酒……。

サキさんの思い出の酒は、大学時代に家でひとり映画を観ながら飲んでいたホットのベイリーズミルク。

ケンタ
それは初めてお店に来たときに飲んだお酒かもしれないし、いつも飲んでいるお酒かもしれない。ある時にだけ飲むお酒かもしれないし、銘柄も理由もさまざまですが、バーテンダーは覚えている。たとえばある日を境にお店に来なくなったお客さんが10年ぶりにフラッと現れたときに出すお酒こそが、このお店とお客さんとの思い出の酒なんです。この5つの酒を揃えておけば、お店の色はちゃんと出せると考えています。

COFFEE BAR GALLAGE「5つの酒」の例

左から
①安価な酒 デュワーズホワイトラベル/¥700
②高価な酒 ジャポニスム/¥5,000
③コスパのいい酒 アラン10年/¥900
④おもしろい酒 クラフトアブサン ラ・シャンブリエール/¥1,800
⑤思い出の酒 バーテンダーケンタさんが選んだのはフェルネットブランカ/¥850

「新しい美味しさを知ることは、世界の美しさを知ること」

サキさん
Barで過ごす時間を、どんな風に楽しんでもらえたら理想?

ケンタ
お酒は、人間が長い年月をかけてつくり上げてきた芸術品です。だから新しいお酒を飲んで新しい美味しさを知るということは、今まで知らなかった世界の美しさを知ることと同じだと思うんです。

サキさん
お酒を飲んで世界の美しさを知る……。

ケンタ
そんな経験をこの店でしてもらい「ああ今日はいい日だった、明日もがんばろう」と思ってもらえたら嬉しいし、その毎日の中でお客さんが仕事で活躍したりプライベートを楽しんだりと、よりよく生きている姿をカウンターの反対側から窺い知れる瞬間が喜びです。

カウンターの奥から、お客さんの人生を見ています。

先達が説く! 初心者向け「Bar のススメ」

Q1.自分に合ったBar を見つけるにはどうすればいいですか?

サキさん
うーん、まずは気になったBar へ行ってみるのはどう? Bar ってどこもステキだと思うけれど……。

ケンタ
いいBar に“当たって”こられたんですね(笑)。Bar はお店によって本当に性格が違います。デート向きのハイソなBar もあれば、身内で誰かの悪口ばかり言って盛り上がっているBar もある。居心地がいいと思えるお店を見つけてほしいです。

サキさん
どう探すのがいいのかな?

ケンタ
信頼できる人に連れて行ってもらうのが確実です。尊敬できて「この人みたいになりたい」と思える人の、行きつけのBar に連れて行ってもらうといいと思います。

サキさん
カッコいい人が行くBar はカッコいい可能性が高いものね。他のお店も知りたいときには?

ケンタ
バーテンダーに聞いてください。「いろいろなBar に行ってみたいんですけど、どこに行けばいいですか?」と。

サキさん
教えてくれるかな? 他のお店はライバルでしょ?

ケンタ
まったくそんなことはありません。基本的にはお店同士、尊重し合っているし、紹介し合ってます。善意の上に成り立っている関係なので、良心的なバーテンダーなら必ず親身になって教えてくれますよ。

「この人みたいになりたい」と思える人、あなたにはいますか?

Q2.どうすれば、美味しいお酒にめぐり会えますか?

ケンタ
これはもう、飲むしかありません!さっきぼくが言ったように、映画や本で見た憧れの酒をカッコつけて頼んでみるのもいいと思いますけどね。

サキさん
前に「初めてウイスキーを飲むんです」というお客さんにバーテンダーが好きな食べものや飲みものを尋ねて、味覚に合いそうなお酒をオススメしている様子を見たことがあるの。すごくステキな接客だなあって、印象に残ってる。バーテンダーさんに素直に聞くのが一番いいんじゃないかな。

ケンタ
バーテンダーはお酒を愛しているし、お客さんにお酒の美味しさを伝えることが使命だし、それが喜びですからね。たとえお酒に詳しくなくても、お酒に強くなくても、お客さんにピッタリのお酒を真剣にご提案します。

バーテンダーは、お酒を愛し、お酒の美味しさを伝えるのが使命

Q3.Bar での振る舞いに、決まりや注意点はありますか?

ケンタ
それはいっぱいありますよ(笑)。「Bar 十戒」なんてものがあるくらいです。たとえば「目の前のボトルと隣の美女には手を出さない」。

サキさん
どういう意味?

ケンタ
カウンターに並んでいるお酒は、勝手に手に取ってラベルを見ることはもちろん、栓を開けて香りを嗅いだりしては絶対にダメなんです。隣に座っているお客さんも、ひとりで飲んでるからといって気安く声をかけたり、ナンパしたりするのはご法度です。

サキさん
へえー、おもしろいね!

声をかけたくなる気持ちはわかりますが、精いっぱいハードボイルドを気取りましょう。

ケンタ
他にも「恋人の実家でしない振る舞いは、Bar でもしてはいけない」などと言われたりもしています。騒がない、泥酔しない、他のお客さんに迷惑をかけない……そういった基本的なマナーを守ることはもちろん、ほどよい緊張感を持っていよう、という意味かと思います。

サキさん
あとは、他のお客さんの振る舞いからも学んでいけると思うな。

Q4.どんな気持ちでBar の扉を開ければいいですか?

サキさん
最初はドキドキすると思うけれど、気軽な気持ちで開くといいと思うな。部室や友達の部屋や会社みたいに、きっと新しい自分の居場所になると思うから。

ケンタ
Barの扉は重いし、その奥にはどんな世界が広がっているのかわからなくて怖いと思います。でも、楽しいことがきっと待ってます。いつでもお待ちしています!

裏話ですが取材時、深夜3時でした。

サキさんから初心者のあなたへ!オススメウイスキー

洋酒がめずらしかった当時「イイ女が飲む酒」と言われたマッカラン12年、¥1,200

サキさん
シングルモルトウイスキーの定番、マッカラン12年をオススメさせてください! わたしが初めて飲んだ海外のウイスキーでもあるの。甘くて飲みやすいんだけど、ウイスキーらしい華やかな香りや味わいがしっかり楽しめる、とってもいいお酒だと思います。

酒も滴るイイ女。サキさん、ご協力ありがとうございました!

監修・撮影:COFFEE BAR GALLAGE
Address | 東京都中野区東中野3-8-5 遠田ビル 201
Open | 火〜日曜日 14:00 – 23:00
Instagram | coffeebargallage

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海坂侑

海坂侑

フリーライター・エッセイスト・編集者。映画/小説/落語を趣味とし煙草と酒を愛好する28歳独身女性。東北の田舎に生まれ関西の田舎に流れ、現在は都内にてうつくしい猫とふたり暮らし。女性らしい生き方はできたためしがないものの、執筆テーマは主に女性の恋愛・思考・ライフスタイル・人生など。

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