この記事を書いたライター

いづつえり

いづつえり

柑橘農家×ベーグル屋×ライター。「地方に仕事はない」という“常識“を自ら反証することを生きがいにしているパラレルワーカー。横浜出身、天草在住。

2019年11月1日

社会人経験を活かしてジョブチェンジ!試験前に知っておきたい公務員の仕事

男女ともに根強い人気のある職業のひとつ、公務員。就職するときは自分の興味を優先して仕事選びをしたものの、ライフプランを考えると今の仕事を続けるのは厳しいのではないか。

そんなふうに考えているあなたに向けて、国家公務員経験者の筆者が、公務員の仕事のメリットとデメリット、そしてどんな人物がこれからの公務員に求められるかについて紹介します。

社会人経験者枠で公務員試験を受ける3つのメリット

社会人枠の公務員試験は科目が少なく社会人が挑戦しやすい

すでに何年か社会人経験をしている若手ビジネスパーソンが、公務員への転職を目指すメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

まずは制度の面から見ていきましょう。

1.社会人経験者の採用をする自治体が増えている

1つ目に挙げられるのは、社会人経験者の採用試験を実施する自治体が過去数年で増えていること。

これまで地方公務員の社会人経験枠は、大きな自治体に特有の採用形態でした。現在、全都道府県の政令指定都市の85%以上で社会人経験者枠の採用が行われています。

2.公務員の受験に実質的な年齢制限がなくなった

2つ目は、受験可能な年齢上限の引き上げが実施されていることです。

2019年の試験からは、東京都特別区経験者採用で59歳まで受験が可能になりました。

公務員の受験資格には、実質的に年齢制限がなくなったといえるでしょう。

社会人経験者枠の試験は若手ビジネスパーソンに適している

3.社会人経験者枠は少ない科目で受験できる

3つ目は、新卒枠で公務員を目指すよりも経験者採用枠の方が少ない科目数で受験できること。

公務員試験の受験を考えたときにネックになるのは、試験科目の多さです。

新卒採用で公務員試験を受験する場合、受験する人の素養にもよりますが、対策が必要になる科目は10を超えます。

社会人になってから、資格試験のために勉強時間を捻出するには相当な覚悟と努力、そして効率のよい勉強方法を考え出す必要があるでしょう。

一方、経験者採用枠の試験科目数は新卒採用枠に比べると少なくなっています。

その代わり、グループ討議によるプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力など、新卒者とは異なる指標で能力がはかられているようです。

社会経験を積んで数年経ち、チームで仕事をする機会が多くなっている年代のビジネスパーソンに適した採用方法といえます。

公務員として働く3つのメリット

公だからできる仕事に携われるのが公務員の大きなメリット

次に、実際に公務員として働くメリットを見ていきましょう。

1.長期的な視点で全体の利益につながる仕事ができる

公務員として働く大きなメリットは“社会的な意義のある仕事ができる”ことです。

企業でも社会的意義のある仕事をすることは可能だと思うかもしれません。

しかし、どんなに社会的に意義があることでも、お金を生まないことや非効率なことを継続していくのは非常に難しいもの。企業が事業を続けていくためには、必ずどこかで儲けを出す方策を考える必要があります。

他方、世の中には成果が数字に現れにくく長期的に取り組む必要があるものや、利益を国全体で考える必要のある分野はたくさんあります。

教育や福祉などはその典型例でしょう。誤解を恐れずにいえば、公務員はある意味、採算度外視が許される職種です。

そうした長期的な視点に立って取り組むべき分野の制度設計や運用に関心を持つ人にとって、公務員はこの上ないやりがいを感じられる仕事といえます。

2.子育て世代が働きやすい制度が整っている

子育て世代にとっては男女ともに働きやすい

2つ目のメリットは、福利厚生が手厚く、育休と産休をしっかり取ることができることです。

公務員は国、地方を問わず制度の面では非常に恵まれた職業のひとつ。

もしあなたが「結婚や出産をしても仕事をしたい」と考えるなら、公務員はよい選択肢といえます。かつて「女性が仕事をするなら、役所の職員か教師しかない」といわれた時代がありました。

女性の高学歴化が進み働く女性が一般的になった現代。しかし、結婚や出産を経て“一生働き続けられる”仕事は多くありません。

制度面で男女ともに手厚い公務員という働き方は、小さな子供を持つ男性にとっても働きやすい仕事といえます。

3.バツグンの安定度

3つ目のメリットは、安定していること。

大企業と比べると公務員の給与は決して高くありませんが、安定度は抜群です。

給与が景気に左右されることはほぼゼロ。国や自治体がなくならない限り、仕事がなくなることはない、と考えれば無収入になるリスクは非常に低いと考えられます。

そのため、金融機関からの信頼も厚い職業です。

もしあなたが将来、住宅ローンを組んで家を持ちたいと考えているなら、公務員にキャリアチェンジするのはよい方法かもしれません。

こんなはずじゃなかった!? 公務員として働く前に知っておきたい3つのデメリット

メリットばかりではない公務員

これまでメリットを中心に紹介してきましたが、もちろんデメリットもあります。

筆者が公務員時代に最も大きなデメリットと感じていたのは「安定志向の人が多い」職場環境です。

1.仕事を通じて成長するのは難しい

公務員になる人というのは、これまで一定のコースをたどって来た人がほとんど。

多少のバラツキはあっても、大きく異なる環境で育った人と接した機会は多くないと思われます。そのため、生え抜き職員の実社会の経験や知識は豊富とはいえません。

また、数年で配置転換が行われる公務員は、専門性を身につけるには心もとない職種です。

役所が作った制度の実効性に疑問符がつくにはこうした背景があるのかもしれません。

2.プライドが高く排他的な職場

生え抜き職員の多いところに社会人経験者が入っていくのは大変

反面、彼らにはこれまで優等生でやって来たプライドがあります。

公務員となっても、出身校や採用区分が同じ人とつるむ傾向が強いのも彼らの特徴です。

経験者採用の人が、生え抜きの人とうまくやっていくのは簡単なことではないでしょう。

3.みんなと同じで安心と思ってしまう

安定志向が強い人の中で仕事をする何が不都合なのか。

わざわざ公務員試験を受験し直してジョブチェンジを考えるあなたは、志が高い人のはず。

しかし、公務員になるとそのチャレンジ精神も削がれてしまう可能性があることを覚えておきましょう。

人は付き合う人や環境に大きく影響されてしまう生き物です

それはどんなに意思の強い人も例外ではありません。

国や地方自治体の財政は、非常に厳しい状態が続いています。

現在、安定した給与や福利厚生が魅力的に見える公務員の仕事も、今後どうなるかは分かりません。

実際、地方自治体で働く公務員の3人に1人が非正規。

限られた予算で職員数をやりくりしなければならない地方自治体の中には、非正規職員が65%を占めるところもあります。

こうした状況に危機感を持つ人はいても、「自分には関係ない」と考えている人の方が多数派なのではないでしょうか。

そう遠くない将来、正規職員にもメスが入るときがやってきます。

そのときに他の業界でもやっていくことができるのは、現状に満足せずに課題意識を持つことができる人です。

もしあなたが「安定しているから」という理由で公務員になろうと考えているなら、明るい将来は期待できないと思われます。

公務員になりたいあなたが持っている社会人経験者としてのアドバンテージ

社会人経験者には生え抜き公務員にはない強みがある

一方、公務員の社会的意義に魅力を感じるあなたなら十分やっていける可能性があります。

社会人経験者だからこそ生かせる強みにはどのようなものがあるのでしょうか。

社会人経験者の大きな強みは、生え抜き公務員にはない視点を持っていることだと筆者は考えます。

先に数字では測れない仕事ができるところが公務員の魅力と書きましたが、それはデメリットでもあります。

公務員の社会に、効率や明確な指標に基づいて仕事に取り組むという意識はほとんどありません。

役所こそ働き方改革が必要な組織

たとえば、役所の紙文化。

役所の巨大な書庫には大量の文書が保管されています。毎年会計検査の時期になると、書庫から該当のファイルを探すのですが、古いファイルの中には昭和のものもありました。

紙文化をやめれば多くの時間も労力も節約できるのにと思ったことは一度や二度ではありません。

また、公務員でPCを使いこなしている人は多くないと感じています。

筆者の見た限り、WordやExcelが文字入力以上の目的で活用されている例を目にしたことはありません。

他人が見やすい文書を作成する、分かりやすい言葉で過不足なく文章を書くという発想も乏しいように見受けられました。

ここで紹介したのはほんの一例です。こうした話に違和感を感じるあなたのスキルや視点は、公務員になったときに大きなアドバンテージとなるのではないでしょうか。

あなたは現状に満足する人?公務員に求められる人材とは

安定した仕事がしたいだけの人は求められていない

残念ながら、公務員の行政職(事務職)はAIに取って代わられる仕事にランクインしている職業です。

公務員だからといって安心できる時代は、もうすぐ終わりを迎えます。

ルーティンワークをしたい人、安定した仕事がしたいだけの人に、公務員という働き方は向いていないのです。

ただし、ここで挙げた公務員のデメリットは、大企業でも大差ないかもしれません。

一方、これまでの知見を活かして役所の改革をする意欲があれば、奈良県・生駒市のように先進的な自治体で働く選択肢もおもしろいでしょう。

生駒市の取組みに興味があれば、ぜひ『10年で激変する! 「公務員の未来」予想図』(小紫雅史、学陽書房、2018年)を読んでみてください。

経験者採用枠の広がりにより、これまでより公務員へのキャリアチェンジは身近なものになりました。

企業での経験を活かして、公務員の世界に風穴を開けたい。

いま、そんなあなたが求められています。

転職やシゴトに関するお悩みはキャリアのプロに相談!

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柑橘農家×ベーグル屋×ライター。「地方に仕事はない」という“常識“を自ら反証することを生きがいにしているパラレルワーカー。横浜出身、天草在住。

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