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みよたかこ

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人材業界で10年以上働きながら、ライターとしても活動する就職氷河期世代。翻訳書出版の経験も持つ。現在の執筆テーマは、社会人のキャリアやスキルアップ、女性の生き方など。趣味は飲酒しながらの料理。

2020年5月18日

有名大学を凌駕する注目大学の授業からわかる、グローバル時代を生き抜くスキル

近年、急激に人気と入学難易度が上がっている大学があることをご存知ですか? 東京大学や京都大学、早稲田大学、などの伝統的な有名大学ではなく、歴史が浅いにもかかわらず人気が急上昇していて、そのうえ多くの卒業生が活躍している大学があるのです。

今回は、なかでも注目したい大学2校を取り上げ、その授業内容をご紹介しながらこれからの時代を生き抜くためにどのようなスキルが必要なのかを一緒に考えていきたいと思います。

人気も実力も急上昇!ユニークな授業を行う大学がある

大人数で講義を聞くものではない授業とは?

多くの先進国では少子高齢化が進み、各大学が学生集めに奔走しています。日本でも、早稲田大学が「Waseda Vision 150」という教育・研究体制を整備する方針を掲げ、世界に通用する学生を輩出するための変革に取り組み、大学の新しい魅力をつくり出そうとしています。このように歴史ある上位校も生き残りへの危機感を持ってるのです。

一方、21世紀に入ってから設立されたにもかかわらず人気・実力ともに急上昇している大学があります。そのうち国際教養大学とミネルバ大学の2校にはある共通点が存在します

それが、型破りでユニークな授業方針です。両校では、一体どのような授業が展開されているのでしょうか。その特徴に注目しながら、これからの時代に必要なスキルを探っていきます。

国際教養大学(秋田県)

図書館は24時間365日オープン。学習に没頭できる環境

国際教養大学は2004年、秋田県に開学された公立大学です。豊かな自然に囲まれた場所にキャンパスがあり、大半の学生は学生寮で生活をしています。

ベネッセコーポレーションが発表している入試の偏差値は75。一橋大学や大阪大学と同レベルの入学難易度ですが、その授業内容は日本の他大学と大きく異なります。

特徴1:英語で授業を行い、新入生は寮生活をする

日本にある大学ですが、国際教養大学の授業はすべて英語で行われます。英語はグローバル社会で活躍するための必須条件とされ、学生は英語漬けの日々を送るなかで英語でコミュニケーションができる人材へと成長していきます。

また、新入生は全員寮で生活をします。個室ではなく2人部屋で世界中から入学してくる留学生と共同生活を送るのです。学問だけでなく生活すべてを通して、文化や価値観の違いを体得していきます。

特徴2:ディベート形式で教養(リベラルアーツ)を学ぶ

多様な分野に触れ、自己を形成する

リベラルアーツとは何でしょうか。国際教養大学の学長である鈴木典比古氏は、著書『なぜ国際教養大学はすごいのか』(PHP研究所)の中で、以下のように定義しています。

① 個人が習慣・束縛・偏見から自分を解き放ち、新たな自分を構築していくもの
②「自分の自分による自分のための」学び

単に知識を習得するだけではなく、知識の習得を通して思考力や発想力を養うのがリベラルアーツです。

国際教養大学では、芸術・人文科学、数学・自然科学、社会科学の3分野を、異なる立場に分かれて議論するディベート形式で学びます。単なる知識習得ではなく、多様な意見を聞きながら学ぶプロセスを通して、大学生のうちに人格や倫理観が形成されていきます

特徴3:輝かしい就職実績

多くの卒業生が国内外の有名企業へ就職してします。東京の上位大学と比べると、製造業への就職者が多く、金融機関への就職者は少ないのが特徴のようです。
おそらく、グローバルな視点が養われるため、日本の強みを発揮できるとともに海外拠点でも活躍できる可能性が高い業種への興味が強くなるのでしょう。

大学のキャリア支援体制も整っており、キャリア・デザインが必修科目になっているほか、キャリア開発センターが進路選択の支援を行っています。学生自身が納得する進路を歩めるよう、万全のサポート環境があるのです。

日本の都市部にある大学とは大きく異なる学生生活を通して、国際人としての素養が培われていく大学です。

ミネルバ大学(アメリカ合衆国サンフランシスコ)

意見を出し合いながら学ぶオンライン授業

2014年に設立されてからたった6年間で、全米一入学が難しいといわれるまでになったミネルバ大学。入試の合格率は5%未満であり、ハーバード大学などの名門大学を辞退して進学する学生もいるそうです。

入試データを見るだけでも驚くばかりですが、キャンパスライフはそれ以上に前例のないユニークなものです。

特徴1:全寮制なのにオンライン授業!?

ミネルバ大学は、1年生でものの考え方やコミュニケーションなどの汎用的な技能を学び、2年生から専攻に分かれます。国際教養大学と同様、学生は全寮制で共同生活を送りながら多様性を養います

特筆すべきは、全寮制でありながら授業がすべてオンラインで行われることです。少人数グループディスカッション機能、リアルタイム投票機能などを用いて、多様な意見に触れながら学んでいきます。機能を駆使し、オンラインだからこそ実現できる授業を展開しています。

特徴2:4年間で7か国を移動しながら学ぶ

世界中がキャンパスだ

全寮制なのにオンライン授業である理由がここにあります。常設された校舎はなく、学生は4年間で7か国を移動しながらキャンパスライフを送るのです。

サンフランシスコ(アメリカ)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、ロンドン(イギリス)、ベルリン(ドイツ)、ハイデラバード(インド)、台北(台湾)、ソウル(韓国)とその地域はさまざまです。豊かで美しい環境だけに身を置くわけではありません。ときには貧困などの社会問題も目の当たりにしながら、地域による多様性を肌で感じ、理解を深めます

特徴3:アクティブ・ラーニングの導入

ミネルバ大学の授業では「講義」がほとんどなく、授業時間の大半がディスカッションに充てられています。授業と並行して、研究施設や企業との共同プロジェクトも数多く行われます。能動的に学んでいく「アクティブ・ラーニング」がコンセプトです。

ミネルバ大学は、個人の知的満足ではなく現実社会の課題解決に応用できる「実践的な知恵」を学生が身につけることを目指しています。学んだ技能を即実践し、使えるスキルにまで昇華させることはもちろん、プロジェクト形式で行うことでコミュニケーション力、交渉力も磨かれていきます

日本の一般的な大学と比べてタフな学生生活ですが、胸を張って社会に羽ばたけるまでに成長できるカリキュラムなのです。

両大学から見える、これからの時代を生き抜くスキル

本当の意味での多様性を考えよう

両校の授業を通して見えてくる、これからの時代に必要なスキルとは何でしょうか。3つポイントを挙げたいと思います。

1.多様性を理解する力

グローバル化が進み、国内でも他社との協業などでさまざまな人と一緒に仕事をする機会が増えています。

これからの時代、文化や価値観が違う人たちと対立するのではなく、違いを認め合いながら対等に議論するスキルが重要になります。決して相手に迎合することではありません。自分を尊重し、同じように相手も尊重することこそが「対等」なのです。

そのためには、自分がどのような価値観を持っているのか、それはどのような背景に影響されているのかといった自己理解も不可欠になります。

2.正解がない問題への考えを持つ力

時代の変化が激しく、未経験の状況に直面することが増えています。昨今の新型コロナウイルス感染症への対応もそうでしょう。

すなわち、誰も正解を知らない問題に対する答えを、自分の頭で考えて実行する重要性が増しているのです。状況を多面的に捉え、問題を深く把握し、根拠を持って意思決定をする力が必要になっています。

3.自分で課題を見つける力

課題は与えられるばかりではない

大学へ進学できるほどの生活水準で過ごしているあなたは、衣食住といった基本的な日常生活で不便を感じることは少ないでしょう。また、これまで通った学校は、次々と与えられる課題を解く学習が多かったかもしれません。

ですが、前述したように時代の変化は激しく、世界の社会的、文化的な多様性は増しています。普段の大学生活では見えにくい社会問題に目を向けたり、よりよい未来を目指した課題を設定できたりする力があることで、自分の活躍の幅が大きく広がるでしょう

まとめ:人気急上昇大学で得られるスキルを参考に、未来を生き抜く力をつけよう

あなたは大学で何を学びましたか?

国際教養大学の学長・鈴木氏は、今の日本のエリートに欠けているのは「全人力」だと警鐘を鳴らしています。「全人力」とは、ひとりの人間として生きていくために必要な知性や感性を指します。

社会に出るうえで一定の知識があることはもちろん必要ですが、自分の価値観を見つめ多様性を認めること、課題を自ら設定し自分の考えを持つことにもぜひ意識を配ってみてください。未経験の状況でも挫折することなく、行動していくための拠り所となるでしょう。

出典:早稲田大学 Waseda Vision 150
出典:ベネッセコーポレーション 2019年度入試対応国公立大学・学部の偏差値一覧
出典:書籍『なぜ国際教養大学はすごいのか』(鈴木典比古著/PHP研究所)
出典:国際教養大学
出典:書籍『世界のエリートが今一番入りたい大学ミネルバ』(山本秀樹著/ダイヤモンド社)

※各大学の制度やカリキュラム内容は、2020年4月時点のものです。

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