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栢原陽子

栢原陽子

WEBでのパーソナルブランディング、セールスライティングを得意とするライター/編集者。これまでに医師や起業家、大学講師などをプロデュース。 2020年、中小企業診断士合格を目指し勉強中。執筆テーマは女性の働き方、WEBブランディング、小さな起業。

2020年12月27日

ワークエンゲージメントを高めるには?ワークエンゲージメントの意味や仕事のメリット、高める方法を解説

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「ワークエンゲージメント」という言葉を知っていますか? 仕事のモチベーション高く保ち、常に仕事に前向きでいられる心の健康度を示します。今回は、ワークエンゲージメントの意味やメリット、高く保つためのエクササイズや方法など、自分で始められる「ワークエンゲージメント」の高め方について紹介していきます。

この記事のポイント
  • ①心の健康を保ちながら仕事をする「ワークエンゲージメント」の考え方。“幸せ”を構成する5つの要素と、意識すべき3つのポイント
  • ②大学教授が解説、ワークエンゲージメントとポジティブ心理学について。「会社が必要とする人材になれる」など、得られるメリットとは
  • ③「スキルを学習」「ロールモデルを設定」など、ワークエンゲージメントを高める5つの方法。ポジティブに仕事と向き合うことで、社会人としての価値も高まる

ワークエンゲージメントの高め方ワークエンゲージメントとは”攻め”のメンタルヘルス対策

ワークエンゲージメントを高めると積極的に仕事に取り組めるようになります

日本でも「仕事でのメンタルヘルス」が問題になり、従業員50名以上の企業ではストレスチェック制度が義務化されるなど、心のケアが重視されています。

ただ、従来の「メンタルヘルス対策」は、「病気でなければ健康」という考え方から、不調やストレスを改善することを重視した、ネガティブをゼロに戻す”守り”の対策でした。一方、「ワークエンゲージメント」はゼロからプラスを積み上げていく”攻め”の対策です。

つまり、モチベーション高く、自分の強みを生かしながら、常に仕事に前向きに、ワクワクしながら自分で考え動き、効率的に業務を終わらすことができる、メンタル的な心の健康度を示します。

常にこのような働き方ができるようになったらいいと思いませんか? ワークエンゲージメントを高めるためには、会社からの対策と社員(個人)からの対策の2通りの方法があります。会社をすぐに変えるのは一人の力では難しいため、まずは個人、つまり自分で始められる「ワークエンゲージメント」の高め方について紹介していきます。

ワークエンゲージメントの3つの要素

ワークエンゲージメントとは前述の通り、”攻め”のメンタルヘルス対策です。まずは「ワークエンゲージメント」を高め、仕事にポジティブな姿勢を持つためには、何を意識すべきか見ていきましょう。ワークエンゲージメントを高めるために意識すべき要素は3つあります。

【活力】
エネルギーを高く維持すること、困難から早く立ち直ること、粘り強くがんばること
【献身】
仕事にやりがいを感じていること、挑戦を続けること、自分のためよりも大きな使命感を持って従事すること
【没頭】
集中して時間があっという間に過ぎていくこと(フロー状態)、仕事から離れたくないと感じること

常にこのような姿勢で仕事に向き合うことができれば、結果もおのずとついてきます。何より、より一層仕事が楽しくなるはずです。

ワーカーホリックとは違う?

「ワークエンゲージメント」を語る際に、しばしば「ワーカホリック」と比較されることがあります。仕事に没頭している、仕事以外のことが考えられないという点では似ているように感じますが、仕事に向かうメンタルが異なります

ワーカホリックは、以下のように、必ずしもメンタルがポジティブに向かっているとは言えません。

  • やらされている感
  • 他社との競争に負けないために必死になること
  • 不安の回避によるもの

ワーカーホリックよりもワークエンゲージメントが高い状態を目指した方が、継続的に仕事に対して意欲が湧き、人と比べないため心身ともに疲弊することも少なく、良い状態を保てると考えられます。

ワークエンゲージメントの高め方ワークエンゲージメントを高めることは、働く人をポジティブにする

ワークエンゲージメントを高めると、仕事だけでなく人生に対してポジティブになれるかも?

2010年に東京大学の島津明人准教授(当時)が16か国で行った調査によると、日本人のワークエンゲージメントは、他の15か国より断然低かったそうです。その理由は、ワークエンゲージメントを構成している要素が、「幸せ」に関する要素と似ている点にあります。

2020年の「世界幸福度ランキング 2020」によると、156カ国中、日本の幸福度の順位は62位でした。そもそもの幸福度が低い日本は、ワークエンゲージメントも低いということです。逆に言えば、ワークエンゲージメントを高めることで、幸福度も上がる可能性があります。

働き手に与えるポジティブな影響

ペンシルべニア大学のマーティン・セリグマン教授が考案した「ポジティブ心理学」によると、「幸せ(Well-being)」は以下の5つの要素で構成されています。

  • ポジティブ感情(Positive emotion)
  • エンゲージメント(Engagement)
  • 人間関係(Relationship)
  • 意味、意義(Meaning)
  • 達成(Accomplishment)

英語表記の頭文字をとってPERMAモデルと呼ばれます。この5つは前述したワークエンゲージメントの3つの要素との関係が深いです

たとえば、ワークエンゲージメントの「献身」は、幸せ要素の「人間関係」や「意義」と関係があります。人のため、社会的な意義のために行動することは、ワークエンゲージメントを高めるとともに、幸福感を高めることにもつながります。

「活力」については「ポジティブ感情」と関係があり、前向きに考えられることで仕事に対する意欲も湧いてきます。最後の「没頭」は「達成」と関連深く、仕事に熱中することは働く意欲を高めるだけでなく、達成感を得ることにより幸せにもつながります。

ワークエンゲージメントの高め方ポジティブ心理学専門家、塩谷先生の解説

ポジティブ心理学のPERMAモデルを知っておこう!

ポジティブ心理学の専門家である、金沢工業大学心理科学研究所所長であり教授の塩谷亨先生から、ワークエンゲージメントとポジティブ心理学の関係について解説をしていただきました。

ワークエンゲージメントとポジティブ心理学の関係性

ポジティブ心理学のウェルビーイング(幸せ)の多面的モデルの一ひとつでセリグマン博士の提唱したPERMAモデルの中の「E」というのは「エンゲージメント」のことで、ワークエンゲージメントと紛らわしいと思う人がいるかもしれません。PERMAモデルのエンゲージメントは生活全般にわたる事柄で、芸術家が作品の制作に没頭して取り組む現象の研究から始まっているのに対して、ワークエンゲージメントは、組織の中で人々が生きいきと働くことに通常は焦点を当てています。この違いをわかっておくと、少し専門的な書籍を読むときに役立つでしょう。

また、先ほどのPERMAモデルで言えば、「献身」は「R(他者とのよい関係)」とおおいに関係があります。与えることは人間関係を良くし、与えた人の幸せ度を増加すると言われています。「活力」は「P(ポジティブ感情)」と関係があります。ポジティブ感情が多いほど生きいきして仕事に取り組めるでしょう。

「没頭」は先ほど述べた通り、時間を忘れて夢中になって取り組んでいることです。これらと幸せ度に関係があることは知られています。また、いままでつまらないと思っていた仕事をおもしろいものに変えていく「ジョブクラフティング」という発想もポジティブ心理学にはあります。

ウェルビーイングを上昇させるエクササイズ

ウェルビーイングを上昇させるエクササイズには多くのものがあります。1日の終わりなどにその日を振り返って「うまくいったこと」や「うれしかったこと」など、「よかったこと」を3つ思い出し、それらの理由を自分に関連させて考えて書き留めていく「3つのよいこと(Three Good Things)」が有名です。このエクササイズの効果を最大に引き出すには、個数よりもその時の状況を思い出し、その気分に浸ることが重要ではないかと、私たちの現時点での研究結果から推測しています。

このエクササイズはとくに「ポジティブ感情」を高めたり、「達成」を高めたりするのに効果的だと思います。そのほかにもいろいろなエクササイズがありますので、自分に合うものを選んでみてはいかがでしょうか? 以前からある心理学的なエクササイズ、たとえば、アサーションや傾聴のトレーニングも「よりよい対人関係」の領域のウェルビーイングを上昇させると思われます。

ワークエンゲージメントや生活の質が低下すると、仕事のパフォーマンスが低下する「プレゼンティズム」に陥る場合があります。プレゼンティズムの確認や意味など、「社会人が陥りがちなプレゼンティズムとは?生活習慣を改善して心身の調子を整える方法を紹介」であわせて確認しておきましょう。

ワークエンゲージメントの高め方ワークエンゲージメントを高めるメリット3つ

個人でワークエンゲージメントを高めることにもメリットがたくさん

では、個人がワークエンゲージメントを高めるメリットについて見ていきましょう。

1.会社が必要とする人材になれる

ワークエンゲージメントが高い人、それは活力に満ちて自信を持っていて仕事を楽しめる人です。そんな人であれば、誰もが一緒に働きたいと思いますよね。

ポジティブな言葉や態度で仕事をする人が増えれば、周りもその人に影響され組織も活性化してきます。そんな人がいれば会社も大切にしたいと思うことでしょう。ワークエンゲージメントが低い人と高い人、会社がどちらを必要としているかはあきらかです。

2.パフォーマンスが上がる

ワークエンゲージメントが上がると仕事が楽しくなります。ポジティブに仕事に向き合い、仕事の意義を感じながら働けるので、一つひとつの仕事を大切にできるようになります。

たとえば、接客業の場合ネガティブな人よりもポジティブでいきいきしている人に対応して欲しいと思うのは容易に想像できますよね。デスクワークやクリエイティブ職でも「細部までこだわる」「納得いくまで作り込む」などのパフォーマンスが上がります。また、挑戦することも楽しめるようになるので、ポテンシャルを引き出すこともできます

3.ストレスに強くなる

ワークエンゲージメントが高い人はストレスにも強いです。大きな意義のために働いている人は、多少の困難があっても働く意味を理解しているので簡単に諦めたり落ち込んだりせずに済みます。

また、職場でのストレスの1位は人間関係と言われていますが、自分がやるべき仕事に集中していると、余計な人間関係の悩みに振り回されずに済みます。あなたの職場でも「ストレスに強そうだな」と思う人は、仕事も楽しそうにしていませんか?

ワークエンゲージメントの高め方ワークエンゲージメントを高めるためにできること5つ

ワークエンゲージメントを高めるために、まずは自分ができることから始めませんか?

では、まずは自分自身のワークエンゲージメントを高めるためにはどうしたら良いのでしょう? 具体的な方法を5つ紹介します。

1.自己効力感を高める

「自己効力感」は、与えられた課題に対して「自分ならできる」と考える自信の源のようなもの。仕事を任された時などに「自分には無理かも……」と考えてしまう方は、まずは、この自己効力感を高める努力をしてみましょう。

自己効力感は「仕事を上手に進めることができた」と感じる成功体験を増やすことで高めることができます。解説で塩谷先生が教えてくれた「3つのよいこと(Three Good Things)」も自己効力感を高める方法のひとつです。

2.仕事の意義を見つける

いま担当している仕事の意義を考えてみましょう。どんな仕事でも何かしらの意義・意味があります。顧客やクライアントと直接接しない仕事であっても、社内の誰かの仕事をラクにしていたり、あなたの働きによって助かっている人が必ずいます。まずは自分がしている仕事によって、誰が幸せになっているのかを考えてみましょう

自分の仕事の意義が見つかったら、次はその部署や会社の仕事についても考えてみましょう。自分が所属している会社が提供している商品やサービスの意義が見えてくると、自分はその一部の仕事をしているという自信につながります

3.仕事に関する分野や生かせるスキルを学習する

仕事に対してより積極的に関わるためにも、仕事に関連する最新情報を調べたり、関連する資格に挑戦したり、仕事に生かせるスキルを高めましょう。

たとえば、マーケティング職なら普遍的な理論もあれば、ネットを活用した最新の手法など学ぶべきことは多々あります。どの分野を学ぶことが最も今の自分が生かせるかを考えて身につけることができれば「今度試してみたい」「もっとこうしたい」という意欲が湧いてきます。挑戦する意欲はエネルギーを高め、諦めない心を育ててくれます

4.明確な目標とその達成期限を決める

仕事で、目標を持ち達成期限を決めましょう。目標が大きすぎる場合には小さなタスクに区切って実行することで、達成の道筋が見えて達成意欲が高まります。目標を達成しようと行動することで、仕事に対する意欲が増し、期限を設けることでより集中できるようになります。

5.少し先を行くロールモデルを設定する

憧れの人は身近にいますか? できれば同じ職場や身近な環境で、ワークエンゲージメントの高いロールモデルを見つけておきましょう。遠すぎる存在を目指すよりも、以下のような点で利点があります。

  • どんなことを意識して行動しているのかがわかる
  • どんな行動がどういう結果を招くのかを近くでみることができる
  • 自分が、いまやるべき行動が見えてくる

憧れの人の行動や発言をよく見て真似していると、なぜその人がワークエンゲージメントが高いのかがわかってくるでしょう。

ビジネスにおいて「心身ともに健康である」という意味の「ウェルビーイング」については、社員の幸せを考える企業はやっている。日本における「ウェルビーイング」の取り組みとは?の記事で紹介していますので、この機会にご覧ください。

【まとめ】ワークエンゲージメントを高めることは自分の価値を高めること

ワークエンゲージメントを高めれば、あなたの価値が上がる!

ワークエンゲージメントとはどんなものなのか、ワークエンゲージメントを高めるには何をすべきなのか、イメージできたでしょうか?

ワークエンゲージメントを高めることは、現在働いている会社で必要とされる存在になれるだけでなく、社会人としての価値を高めてくれます。つまり、転職してほかの会社に行っても活躍できる力になるということです。

ワークエンゲージメントが低いと、たとえ憧れの会社に入社し希望の職種に就くことができても、働くことが辛くなってしまうことも。どんな仕事や職種に就いているかよりも、どんな姿勢で仕事と向き合うかが、ワークエンゲージメントの考え方の基本です。仕事をより楽しく充実したものにするために、自分のワークエンゲージメントを高めることから始めてみませんか?

生活の大半を過ごす仕事、そのワークエンゲージメントは、生活の質=QOLにも大きく影響します。ワークエンゲージメントとあわせて、「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が上がる!20代の社会人をビジネスの成功に導く「QOLを上げる習慣」」でQOLについても確認してみてください。

出典:〔ポジティブ心理学〕ワークエンゲージメント とは?その効果と高め方ーLightworks BLOG(ライトワークスブログ)
出典:「世界幸福度ランキング」2019年版が発表。日本の順位はどうなった?-The Huffington Post Japan

塩谷亨先生のご紹介

塩谷 亨
金沢工業大学大学院心理科学研究科教授。金沢工業大学心理科学研究所所長。金沢工業大学カウンセリングセンター所長。博士(学術)・臨床心理士・公認心理師。現在、ポジティブ心理学を地域社会、大学教育、企業・組織に対していかす実践活動を行っている。どうすれば人々の幸せに貢献することができるのかどうか自問自答しながら進めている。

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