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栢原陽子

栢原陽子

WEBでのパーソナルブランディング、セールスライティングを得意とするライター/編集者。これまでに医師や起業家、大学講師などをプロデュース。 2020年、中小企業診断士合格を目指し勉強中。執筆テーマは女性の働き方、WEBブランディング、小さな起業。

2021年11月25日

女性が活躍できる会社はどう増やす?女性の活躍を推進するために個人ができること3つ

女性が活躍できる会社とは?タイトルイメージ

女性が長期的キャリアを考えるうえで、「女性が働きやすい会社か否か」は重要なポイントです。ですが、日本は海外と比べて女性の管理職の割合が圧倒的に低く、女性が活躍する環境づくりへの取り組みも遅れているといわれています。この記事では、現在の日本の状況や女性活躍推進法が成立した背景をふりかえりながら、海外との比較などをふまえて、女性が働きやすい企業を増やすために個人ができることをご紹介しています。

この記事のポイント
  • ①日本の女性管理職の割合は国際的にかなり低い数字。政府が2020年までに達成すると定めた「女性管理職が30%」の目標は、結果7.8%となり大幅に下回った
  • ②ジェンダーの多様性が高い企業は、財務パフォーマンスが髙い調査もある。女性活躍のため個人ができることは「労働者、消費者、投資家としての企業選び」「知識を得ること」詳しく紹介
  • ③女性活躍にはメリットしかない。日本で女性活躍が進まない理由は、単純に企業幹部の意識が薄いから。「どのような人も働きたくなる企業」を増やすため、一人ひとりが意識を持とう

女性活躍推進法が生まれた背景

女性が活躍できる会社とは?イメージ画像1

第一子出産後に離職する女性は約5割、第一子誕生後の男性の離職率は話題にすらなりません

1985年に男女雇用機会均等法が制定されましたが、21世紀に入ってもいまだ日本のビジネスシーンにおける男女の格差は大きいままです。

2019年の調査で日本の男女格差は153か国中121位と過去最低を記録しました。詳しくは後述しますが、諸外国では男女平等化やダイバーシティが進むなかでとくに日本の女性管理職の割合は国際的にかなり低い数字になっています。

日本で女性が働きにくい深刻な理由

内閣府の調査では第一子出産後に仕事を辞める女性の割合は約5割と発表されています。

これは家事・育児の担当が女性に偏っているからであり、その環境下での働き方をサポートしている会社が少ないことが原因に挙げられます

もちろん、子どもが可愛くて出産後も一緒に過ごしたいからと仕事を辞める女性もいます。ですが、第一子誕生後に仕事を辞める男性の割合については調査すらされていない現状を考えると、家事・育児の担当が女性に偏っていることがわかります。

働きたくてもなかなか働きに出られない、何かを犠牲にしなければならない、会社から邪魔者扱いされる、こういった声を日本の産後の女性の切なる叫びとして度々耳にします。

女性の働き方改革には、女性の気持ちや環境を理解できる女性管理職が必要です。男性が管理職として劣っているわけではなく、同じ女性や同じ経験を持つ方でないと理解し難いことは現実的に多分にあるということです。

妊娠時につわりが軽かった上司が、軽率な言葉をつわりが重い部下に対して言ったことで無意識のうちに傷つけていたという話も聞くほどです。

同じ女性でさえ、理解し難い部分があります。男性管理職だけで、女性の気持ちや環境を理解して女性の働き方改革を推進するのは極めて難しいのではないでしょうか?

こういった理由から現実的には、日本の女性の働き方改革や管理職登用はなかなか進んでおらず諸外国と比べても遅れをとっています。

日本でロールモデルを見つける方法については、ロールモデルを見つける3つの方法。意識したいポイントとキャリアにおけるメリットとは?の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。

女性活躍に対する政府の目標と現実の乖離

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政府が目標を掲げただけでは、各企業の女性活躍推進の活動は一向に進みません

政府は2020年までに女性管理職を30%まで引き上げることを目標にしていましたが、同年7月に帝国データバンクがおこなった調査によると、女性管理職が30%を超えている企業は、有効回答企業11,732社中以下の数字となっています。

  • 全体→7.8%
  • 中小企業→8.5%
  • 大企業→2.8%

このように、目標を大幅に下回る結果となりました。

加えて、前年と比べてみると「女性管理職の割合が今後増加する」と見込む企業と、女性登用を進めている企業は減少しています。

2020年12月には菅元首相が自衛隊での女性管理職の登用を推進することを指示しました。これは新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、「前例や固定観念にとらわれることなく防衛省・自衛隊の働き方改革をこれまで以上に前進させてほしい」との思いによるものです。

このように女性管理職が増えることで業績が向上するなどの喜ばしい結果が出る研究結果も発表されています。その結果を受けて、海外では女性管理職を増やすための徹底した取り組みが始まっています。

海外でみられる女性活躍への徹底したアプローチ

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フィリピンにおいては女性管理職の割合が約5割!日本とは大違い……

アメリカの証券取引所ナスダックでは上場企業のダイバーシティに関する規則を策定し、SEC(米証券取引委員会)に承認を要請しています。

規則の内容は、ナスダック上場企業に対し、少なくとも以下の2人を役員に任命し、報告書を公表することを義務づけるものです

  • 女性を1人
  • 人種的マイノリティもしくは、LGBTQを自称する人を1人

義務であるため対応しない企業、またはデータを公表しない企業は上場を廃止される可能性があります。

アメリカの就業女性に対する管理職の割合は2018年時点で43.4%であり、まったくもって低い数字ではありません。それにもかかわらず、アメリカでは徹底したアプローチがおこなわれようとしています。

その理由のひとつとしてマッキンゼーの調査からジェンダーの多様性が高い企業は、財務パフォーマンスが髙いことがわかったことが挙げられます

さらに、人種のダイバーシティが高い企業は財務パフォーマンスがさらに高いことが発表されています。

女性が活躍できる会社を増やすためにできること3つ

アジアの就業女性に対する管理職の割合を見ても、マレーシアで20.3%、フィリピンにおいては49.0%といった数字が出るなかで、13.2%と大きく遅れをとっている日本。

女性管理職登用の方針や決定は会社によるものではありますが、女性が働きやすい会社を増やすため、個人でもできることはあります。

1.労働者としての会社選び

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働きやすい会社を選ぶことは、働きやすい会社が増えることにつながります

結婚や出産といったライフステージの変化を経験していなければ実感しにくいものがあるかもしれませんが、長期的キャリアを考えるうえで、女性にとって働きやすい会社か否かは重要な点です。

ですが、新卒時の就活ではそこまで重視されていないようにも感じます。実際に出産を機にした退職率が高いことや、育休明けに復帰しにくいといった声が聞こえるのもそのためでしょう。

「えるぼし認定」を受けている企業に転職する

女性が働きやすい会社の基準は、働く女性向けの雑誌で毎年紹介されていることがひとつの目安になります。ほかにも厚労省のデータベースでは、女性活躍推進法の定める実施義務に取り組む会社が公開されています。

ここでの基準として、「えるぼし認定」があります。 厚生労働省が認定しているものであり、女性活躍推進法に基づく一定基準を目指し、女性が能力を発揮できる職場環境であることが認められた企業が受けられる認定です。

この認定を受けることにより、企業は助成金の優遇処置が受けられたり、両立支援助成金の受給が可能になったりするなどのメリットがあります。就職先や転職先を選ぶ際には、女性の働きやすさを知るうえで「えるぼし認定」がひとつの基準となることを覚えておきましょう。

2.消費者、投資家としての会社選び

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投資や消費の際に、「女性活躍推進をおこなっているか企業か」の視点を取り入れてみては?

次に、女性活躍推進に優れた上場企業の目安として「なでしこ銘柄」があります。これは、経済産業省と東京証券取引所が共同して選定しているものです

近年、投資先を選ぶ際に業績だけでなく、環境や社会、企業統治を重視する企業を選ぶEGS投資が世界的な流れで拡大しています。EGS投資のなかで女性の活躍に関する情報も重視されているため、「なでしこ銘柄」のような取り組みが行われています。

「なでしこ銘柄」に選定されると、投資家に関心を持ってもらえるように経済産業省や日本取引所グループのWebサイトに企業名が掲載されます。

前述したナスダックの義務化ほどの効力はありませんが、それでも投資家が女性の活躍を中心に企業を支援しているのは女性にとっては嬉しいことですね。

「なでしこ銘柄」の企業商品を選ぶ

投資をしていない方でも、いち消費者として商品購入時になでしこ銘柄の企業商品を選ぶことで企業支援につなげられます。

銘柄から企業を選び、買い物をするというと馴染みがない方も多いと思いますが、コーヒーを購入する際にフェアトレードのコーヒーを選ぶのと同じことです。消費者としての行動や選択が企業支援につながります

3.正しい法律の知識を持つこと

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正しい知識がなく、企業にいわれるがままになってしまうのは悲しいこと

最後に、女性活躍を推進するうえで、一人ひとりが正しい法律の知識を持つことが必要です。

  • 産休を理由にした解雇は無効
  • セクシャルハラスメントやマタニティハラスメント等の防止の義務
  • 適正評価義務(労働者の評価を適正に行なう義務)
  • 労働保険への加入条件

たとえば上記のような情報を知っておくだけでも、不利な立場に立たされそうなとき、自分の意見を伝えられるようになるでしょう。

旧型の経営者は未だいると意識し、他人事と考えない

筆者は、以前会社と給料交渉をした際に「旦那が稼いできてくれるからそんなにいらないだろ」と言われて唖然としたことがあります。

ここまでハッキリと言葉にするのは珍しいタイプだとは思いますが、女性に対してこのように考えている旧型の経営者はいまだに多いことと思います。

女性のキャリアについては、ロールモデルから考える女性のキャリア。「なりたい人」が周囲に居ない時、転職する?自分でつくる?の記事でも紹介していますので、この機会にあわせてご覧ください。

【まとめ】女性が活躍できる企業を増やすために大切なこと

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ひとりひとりの意識や行動が、女性が活躍しやすい企業を増やすことにつながります

前述のとおり日本は海外に比べ女性の活用が圧倒的に遅れています。政府や各企業も言葉ばかりで一向に進みません。その結果、辛い思いをするのは多くの女性です。

女性活躍を推進している企業は、日本においては「えるぼし認定」に認定されることで財務的支援が受けやすくなったり、「なでしこ銘柄」に選定されることで「女性活用が進んでいる会社として経済産業省のサイトで紹介されたりするメリットがあります。

また、アメリカのデータにはなりますが、財務的パフォーマンスがいいという結果が出ていることも見逃せない点でしょう。

それにもかかわらず女性活用が進まないのは、単純に幹部の「企業における女性の活躍」に対する意識が薄いからではないでしょうか? 

そういった企業に労働者として入り尽力し続けるのか否か、消費者や投資家として支援し続けるのか否か、そういったひとりひとりの取り組みが企業の未来を創っていきます

女性だけでなく人種や性別、ライフステージを問わず、働きたくなる企業が増えることを願っています。

ロールモデルの意味と活用方法。将来のキャリアを実現するために必要な理由の記事では、キャリアのお手本となる「ロールモデル」について紹介していますので、この機会にご覧ください。

出典:2019 年日本の男女格差は 153 か国中 121 位と過去最低に
出典:菅首相“自衛隊幹部への女性登用や働き方改革 さらに前進を”
出典:米ナスダック、上場企業に女性やLGBTQの役員登用を義務化へ
出典:「30%」は程遠い!?女性管理職の割合はわずか7.8%
出典:【2019年版】女性活躍推進法とは? 進め方4ステップと2019年5月改正のポイント
出典:I-2-13図 就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)|男女共同参画局
出典:令和2年版 男女共同参画白書(概要)|男女共同参画局

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