この記事を書いたライター
人材業界で10年以上働いた経験を持つ、就職氷河期世代のライター。翻訳書出版の実績もある。現在の執筆テーマは、社会人のキャリアやスキルアップ、女性の生き方など。趣味は飲酒しながらの料理。

キャリアの中断は、女性が多く直面する問題です。結婚、出産などのライフイベントが起こると、キャリアを中断しなくてはならない場合があるからです。いったんキャリアを中断した後、再開するときに希望の仕事に就けず苦労する人が見られます。キャリアを中断するケース、そしてスムーズにキャリアを再開するための進め方について考えていきましょう。
目次
キャリアを中断するときとは

人生の大きな出来事のひとつが出産だ
人生には、結婚や出産、転職、介護といったライフイベントが起こります。仕事のキャリアはライフイベントの影響を大きく受けるものです。ずっと仕事に全力投球できるとは限らず、タイミングによっては仕事とプライベートにかける比率が70:30になったり、0:100になったりするでしょう。
では、仕事対プライベートの比率が0:100、つまりキャリアの中断が起きるのはどのようなときでしょうか。
産休・育休に入ったとき
出産すると、出産後の身体の回復もふまえて長い期間キャリアを中断せざるを得ません。労働基準法では、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後は8週間の休暇を取ることを定めています。いまは企業の産休・育休制度が整ってきており、筆者の周囲では半年〜1年ほど産休・育休を取る女性が多くいます。
最近は男性の育休取得もようやく進みつつありますが、女性のほうがキャリアの中断期間が長く、キャリア再開に悩むケースが圧倒的に多いのが現状です。
パートナーが海外転勤になった場合

パートナーとは一緒に住みたいけど、私のキャリアは?
結婚後、パートナーが海外転勤になり一緒に海外に住む場合にも、キャリアを中断するケースがあります。
駐在員の配偶者は、帯同ビザというビザを取って海外に住むのが一般的です。いざ働こうと思っても、渡航先の国が帯同ビザでは仕事ができなかったり、配偶者の会社が家族の就労を認めていなかったりして、キャリア再開ができないケースが多くあるのです。また、言語の壁や納税の大変さといった問題もあります。
この問題は、夫が海外転勤になり、妻がキャリアを中断して一緒に海外へ住むケースでよく起こります。筆者の友人は夫がタイに転勤になり、家族全員で渡航するために会社を退職しました。働きたい気持ちはあるものの、就労ビザが取れず何年も仕事をしていません。
このように、パートナーの海外転勤によるキャリア中断も現時点では女性が多く直面しているのです。
キャリア再開のために考えるべきこと

情報を集めて、作戦を考えよう
今後起こりうるキャリアの中断、そしてスムーズな再開のために何をしておくといいのでしょうか? 壁にぶつかる前に、いまのうちに作戦を練っておきましょう。
キャリア再開しやすい会社を見極める
いまの時点では、女性がキャリアを中断した後、再開しやすい会社とそうでない会社とがあるのが現実です。近い将来、男女ともにキャリア中断をしても再開しやすく、本人が望むキャリアを歩めるような社会が実現してほしいと願っていますが、まだ道半ばの段階です。
業界別では、現場の仕事が多い建設業界、映像業界、外食業界などは、育児をしながら現場の第一線に戻ってキャリア再開するのは難しい場合が多いでしょう。これらの業界は、業務時間が長くハードワークを強いる会社もめずしくないからです。
キャリア再開しやすい会社かどうかを考える際は、その会社の管理職以上の女性比率を見るといいと思います。管理職世代は結婚や出産、育児といったライフイベントを経験している人が多くいます。女性管理職の仕事ぶりや役職に就いている人数で判断すると、その会社が女性がキャリアを中断した後、スムーズに再開して活躍できる場所なのかがわかるでしょう。
育児をしながら働く女性が重要な仕事を任せてもらえないことを「マミートラック」といいます。マミートラックにはまらないようキャリアの進め方を考えたいものですね。
キャリアを中断しても再開しやすい職種を考える

業種、職種による違いはあるものです
職種別では、企画系などの職種、資格や技術をいかせる職種はスムーズにキャリア再開しやすい傾向にあります。在宅勤務がしやすく、時間の融通も効きやすいので、時短勤務でも重要な仕事を任されやすいためです。
店舗スタッフなど現場に出る仕事や、お客様の予定を常に優先しなければならない営業職などは、キャリア再開後にキャリアアップしにくい場合が多いでしょう。ただし大企業を中心に、これらの職種でもキャリア再開後、重要な仕事に就ける体制を整えているところも増えてきています。
自分の会社ではキャリア再開後にどのような働き方ができるのかを早めに見極めておくといいと思います。
キャリア中断前までにどんな経験を積むかを決める
今後起こりうるキャリア中断までに「この経験までは積んでおこう」という目標を決めておくといいでしょう。20代のうちに、仕事で多くのチャレンジをして自分に自信をつけておくのです。
会社にとっては、新しいチャレンジをした経験があったり、マネジメントやリーダー経験をしたりしている社員へは、キャリアを再開するときに重要な仕事を任せやすいものです。
社会人の早い段階で、多くのチャレンジをしておくことに損はありません。キャリアの中断に備えて、会社にとって必要な人材になっておきましょう。
中断後、再開に向けたキャリアの進め方

備えあれば憂いなし!
スムーズなキャリア再開に向けて、キャリアを中断する前後でしておくといいこともご紹介します。
会社に自分の意思を伝えておこう
産休・育休などのキャリア中断後、いまの会社に復職する意思がある人は、復職後にどのような仕事をしていきたいかを上司へ伝えておきましょう。中長期的なキャリアプランもあれば、あわせて伝えておくといいと思います。
会社にとっては、就きたい仕事がある人のほうが復職プランを考えやすくなります。自分の意思を会社に伝えておくことは、自分のキャリアの進め方にも会社にもメリットがあるのです。遠慮せず、誠実に希望を伝えましょう。
女性の復職については、「女性の復職、妊娠・出産をしたいなら考えておくべき10個のこと」でも詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
キャリア中断期間にできるスキルアップを考えよう
仕事をしていない時間を使ってスキルアップし、キャリア再開に備えることもできるでしょう。
ただし、出産後は体力面でも時間の面でも何かを学ぶのは難しいと思います。だからこそ、キャリア中断前までにいろいろな経験をいかに積むかが大切です。
もし育休中でも時間が作れそうだったり、海外駐在するパートナーの帯同によってキャリアを中断し、時間に余裕があったりする人は、この期間をいかしたスキルアップをおすすめします。オンラインで学べるサービスも充実しているので、以前よりスキルアップのチャンスは増えています。
筆者の友人の中には、キャリアを中断している間にオンライン英会話を習ったり、パートナーの海外駐在に帯同している数年間を使ってオンラインでMBAを取得した人もいます。
体力面、金銭面で無理のない範囲でできるスキルアップを考えてみるといいでしょう。
まとめ:スムーズなキャリア再開に向けて、いまからできる行動をしよう

キャリアは中断するものと思っておこう
人生にはいろいろなライフイベントが起きるものです。キャリアを中断するときもいずれやってくるでしょう。
中断してから今後のキャリアの進め方を考えては遅い場合もあります。将来に備えていまからキャリアプランを考え、できることから行動していきましょう。
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