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ミスターJ

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ジョイキャリア中のヒト、新しいサービスやビジネスモデルに出会うと興奮を抑えきれずに記事を書いたり、インタビューに出たりと好き放題。とにかく仕事を楽しむこと、楽しい仕事をすること、新しい価値を生み出すことに情熱を注いでいる。「温泉ワーク」を研究中

2019年4月28日

Slackが上場間近!「メール不用の世界」を実現し、個人投資家にも愛される存在になるのか?

「Slack」はメッセージング機能を中心としたビジネス向けチームコミュニケーションツールだ。自社で採用していなくても、取引先や社外のプロジェクトなどで耳にしたことはあるのではないだろうか?これを運営するSlack Technologiesが上場を間近にしている。今年、米国では、配車アプリのLyft、Web会議システムのZoom、写真検索サービスのPinterestなど、ITサービスのユニコーン企業達が続々と上場を果たしている。創業10年、46歳となったスチュワート・バターフィールド氏が率いる同社は、株式市場でも愛される存在になるのだろうか?

Slack創業者 スチュワート・バターフィールドとは?

レモネードスタンドはSlack経営の原点

幼少期にレモネードスタンド(※)を立ち上げ、12歳の時には7-Elevenで買ったホットドックに手数料を乗せてビーチで販売を始め、14歳で映画に並ぶ人々からの御使いでチップを得ていた少年は、大学院を卒業後にWEBデザイナーとしてキャリアをスタートさせた。

※レモネードスタンドは、アメリカで普及する子供がお小遣いを稼ぎ、お金について学ぶ文化として定着しているもの。

そして、30歳を前にした2002年にLudicorpを設立。オンラインゲームを運営する会社として、最初の起業をするもゲームは完成せず、「Flickr」という写真共有サイトにピボットする。これがYahoo!の目にとまり2005年に売却する事となり、バターフィールド氏も3年半という縛りで、Flickrと供にYahoo!へ在籍する事になる。

Yahoo!との契約終了後の2009年、再びオンラインゲームの事業を行うためTiny Speckを設立、2011年にはゲームサービスGlitchを開始するも、1年後には閉鎖に追い込まれた。そこから事業の再検討を行い、2013年にFlickrを始めた時と同様に再びピボット、ゲーム開発の際に自社用として構築したメッセージングツールに目を向け、サービスとする事を決める。

これを今の「Slack」として2014年2月からサービスを開始し、現在までにデイリー利用者1,000万人、有料企業アカウント85,000社、1,000以上のアプリケーションが接続する巨大なビジネスプラットフォームへと成長している。

幾度も業態を変えながら挑戦を続け、46歳で念願の上場を果たそうとしているバターフィールド氏。小さい頃から染み込んだ経営マインドは、ビジネスを見抜く先見性を養い。ジャズやジャムバンドなど即興系の音楽を好むというパーソナリティは、変化やチャレンジを恐れない不屈の精神と行動力の源となり、数々のパートーナー、従業員、投資家を惹きつけ、時代を代表する経営者となった。

ユーザーから愛される Slack とは?

では、サービスとしてのSlackとは、どのようなものなのだろうか?

Slackのワークスペース

Slackは、Searchable Log of All Conversation and Knowledge を略した造語で、文字通り「全ての会話と知見を検索可能な記録として残す」ためのプラットフォームを提供している。どこからでもアクセス可能なクラウドで提供されるアプリケーションで、基本的な機能としては、組織単位のワークスペースの中で、プロジェクトのチャンネルを作成し、メッセージをやり取りできる「メッセージ」。そしてファイルを様々なフォーマットのファイルを共有する事が出来る「ファイル」。ビデオや音声などでコミュニケーションができる「通話機能」となる。

特にメッセージは、従来のメールのように1対1をベースにしたクローズドなやり取りではなく、チームをベースにしたオープンで透明性のあるコミュニケーションをベースにしている。これによりチーム内の動きをいつでも把握しておく事が出来る。

もし途中からプロジェクトに入った場合でも、過去のログを検索や共有する事が出来るため、スムーズに自分の役割を理解して必要な行動を取る事ができる。またイシューとなるメッセージをメンバー全員が同時に確認する事で意思決定が圧倒的に早くなる。つまり、主体性ある自律的なチームを構築する事が出来るものだと理解している。

バターフィールド氏は、過去にtechcrunchのインタビューでサービスの特徴をこう説明している。

Slack 協同経営者のStewart Butterfield 氏

「個人間よりもチームや団体間でのやりとりを優先したほうが効率的だと言えるだろう。コミュニケーションの場を(メールの)受信箱から(Slackの)チャンネルに移すことで誰でも同じ内容を把握できる。最初はそれがきっかけでメールからSlackへの移行を決意するユーザーが多いが、そのシフトが完了するとSlackのより“深い”意味での利便性に気づくこととなる」(バターフィールド氏)

バターフィールド氏が言うSlackの「より“深い”意味での利便性」とは、他のソフトとの連携でより便利なプラットフォームにカスタマイズができるという点だ。たとえば、SalesforceやSAPなど他社ツールと連携して業務効率化を行うことができる。「そういった意味ではメールよりも優れたUXを提供できる」(バターフィールド氏)。

そう、Slackはメッセージング機能だけでなく、ビジネスコラボレーションハブとして、ファイル共有のGoogle Driveやコード管理のGithub、ビデオ会議のZoomなどの外部のアプリケーションとAPI連携を可能としており、これらとシームレスに連携し、これあらのアプリケーションからのアラート通知やリマインダーなどを自動化する事が出来るのだ。特に様々なツールを使うエンジニアなどには欠かせない機能となっている。

冒頭でもご紹介した通り、このサービスはゲーム開発の現場から生まれているものであり、特に開発者や開発プロジェクトに参加する方々に必要な機能を備えたサービスとして爆発的な成長をしてきている。そして、バターフィールドの思想としてユーザーからのフィードバックを何より大切にしており、その思想についてインタビューでこのように話している。

第一に自分を顧客より優先してはならない、第二に製品をビジョンに合わせる事は理解出来ない。市場に出すことで絶対的なフィードバックを得ることが出来る。それにより二の足を踏むのか、路線変更するのか簡単に判断出来る

徹底的なユーザーファーストとフィードバックに対応する柔軟さがSlackが多くの方に支持される理由なのだろう。

投資家たちからも愛されるSlack

大物投資家たちも魅了する経営者

著名な投資家であるMamoon Hamid氏の投資会社Social Capitalは、2014年のSlack開始からわずか3か月後の投資ラウンドをリードし、多くの投資に参加し、Social CapitalはSlack株式の10.2%を保有している。

そして、Skype、Twitter、Facebook、Airbnbなど数々のユニコーン企業に投資してきたシリコンバレーのテック系の有力VCであるAndreessen Horowitzも13.3%を保有。同社はSlack開始前のTiny Speck社でオンラインゲームの開発を始めた2009年から投資に参加している。

最も注目すべきは、保有率24%で筆頭株主となる投資会社Accelだ。同社もSlack開始前の2009年から投資に参加しており、Slackへのピボット後も全てのラウンドで投資に参加している。このAccelで投資を担当したAndrew Braccia氏は、2005年にバターフィールド氏がFlickrをYahoo!へ売却した際のWeb検索事業の担当であり、Yahoo!在籍当時から親しくしていたという。

その後、Accelへ移り、バターフィールド氏が再び起業した時から支援をしている。この時バターフィールド氏は、Flickrの実績があったので資金調達自体は難しくなかったというが事業はそうは行かず、シリーズA、Bと資金を調達した後、ゲーム字事業は再び失敗に終わった。

この際に、バターフィールド氏はBraccia氏に投資してくれた分を返却すべきか話し合ったところ、Braccia氏は、「あなたが起業家として何かを作り続ける限り、私はあなたと供にする。(If you want to continue to be an entrepreneur and build something, then I’m with you.)」と言ったとインタビューで答えている。なんと言う心強い言葉なのでしょうか。その後、SlackにピボットしてからもAccelとBraccia氏はSlackの全ての資金調達に参加している。Andreessen Horowitzもこの時同じく、投資額の返却を求めずにSlackの継続を後押しした。投資家にここまで言わせ、そして10年もの長きに渡り支援を得るバターフィールド氏の魅力の証明ではないだろうか。

自分が何をしたいのか知ること

Slack San Francisco Office

バターフィールド氏は以前のインタビューの中で、起業家精神がどのように生まれたのか聞かれた際、幼い頃にホットドックを売っていたことを引き合いにして、「ビジネスの状況を見極めて、自ら目的を達成する方法を見つけ出すこと。それをいつも魅力的だと思っている。」と答えている。

こうして、生粋の経営者として、ユーザーと投資家に愛されてきたSlackとバターフィールド氏は、これからどのような世界に進んで行くのだろうか?メールボックスを無くす方法を見出したその先には何を見ているのだろうか?これまで様々な事業転換を行い、本当に必要なものは何なのかを常に求めてきた同氏だ。どんな変化が起きても愛すべき仲間達と供に力強くビジネスを進めて行くことだろう。

そして上場により、彼のこれまで歩んできた人生の哲学がもっとオープンな形でSlackというサービスへ反映して行くことを、ユーザーとして楽しみにしたいと思う。Slcakとバターフィールド氏の歩みを、起業家やビジネスマンに限らずチームの一員として仕事をする人全てに参考にしてもらいたい。

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