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ミスターJ

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ジョイキャリア中のヒト、新しいサービスやビジネスモデルに出会うと興奮を抑えきれずに記事を書いたり、インタビューに出たりと好き放題。とにかく仕事を楽しむこと、楽しい仕事をすること、新しい価値を生み出すことに情熱を注いでいる。「温泉ワーク」を研究中

2019年6月6日

経済界で進むAIにおけるガバナンス検討 G20大阪サミットを前に中国を牽制か?

AIや自動運転などテクノロジーが急速に発展し実用化へ向けたカウントダウンが始まった。しかし、これを活用し社会にとって有益なものとするには、国際的なルールや倫理などのガバナンスが必須となる。数年前には夢だと思われていた未来が現実に迫っている中、経済や社会の課題解決に取り組む国際機関が相次ぎAI関連の取り組みを開始している。G20大阪サミット開催を前にした相次ぐ発表はもちろん意図があるものだろう。これからAIに関する議論がどのように進んで行くのか注目したい。

WEFがテクノロジー関連の国際的なガバナンス整備を開始

経済界ではインダストリー4.0時代に向けた国際ガバナンスの策定に入った。

ダボス会議として知られ、ビジネスや地域、世界の課題解決などに取り組む国際機関である世界経済フォーラム(WEF)は、2019年5月29日、AIやIoTなどのテクノロジーに関する国際的なガバナンス策定のため、第4次産業革命評議会を6つ設立したことを発表した。

6つの評議会では、公的機関や民間企業、NPO・NGO、学術界などから200人以上の決定権者や専門家による理事会が設置された。ここで規制や規則の欠如に対処するためガバナンスについて定期的に話し合いの場を持つという。6つの評議会と議長は以下の通りとなる。

・人工知能評議会

AI専門家で元Google China代表のリー・カイフー氏、マイクロソフト社長のブラッド・スミス氏

・自律移動評議会

中国の電気自動車有力企業 シャオペン 副社長のブライアグー氏、国土交通大臣の石井啓一氏、Uber CEOのダラ・コスロシャヒ氏

・ブロックチェーン評議会

アフリカで決済サービスを展開するBitPesa社 CEOのエリザベス・ロッシエロ氏、世界銀行の情報技術ソリューション担当のデニス・ロビテイル氏

・ドローンと無人偵察機評議会

欧州交通大臣のヴィオレッタ・バルク氏

・IoT評議会

クアルコム 社長のクリスティアーノ・アモン氏、欧州委員会 デジタル経済・社会担当のマリヤ・ガブリエル氏、ワールド・ワイド・ウェブ財団 代表のエイドリアン・ラベット氏

・精密医療協議会

ダナ・ファーバー癌研究所 所長のローリー・グリムシャー氏、医療関連の技術開発を行うQIAGEN社 CEOのピア・M・シャッツ氏、中国医科学院 院長のワン・チェン氏

このように錚々たるメンバーによるこれらの評議会は、WEFの第4次産業革命センターに組織され、2020年4月に開催されるGlobal Technology Governance Summitの議題として、協議された内容を元にした指針などが発表されるようだ。

OECDにより42カ国がAI新原則を採択

G20大阪サミットではAIに関する協議に注目だ。

2019年5月22日、米国や欧州各国、日本を含めた36カ国が加盟し経済について協議をする国際機関であるOECD(経済協力開発機構)は、加盟国に加盟申請国を加えた42カ国により、新たなAIの原則に合意したことを発表している。

AIの原則といえば、Googleや日本政府でも作成が進められているが、OECDによるこのようなガイドラインは、国際的にも大きな影響を与えるとされている。今回、G20大阪サミットを前に発表した意図は、独自の価値観でAI開発を進め、世界的な脅威ともなっている中国を牽制する狙いもあるようだ。

OECDによるAIの新原則は以下のようになっている

  • AIは、包摂的成長と持続可能な発展、暮らし良さを促進することで、人々と地球環境に利益をもたらすものでなければならない。
  • AIシステムは、法の支配、人権、民主主義の価値、多様性を尊重するように設計され、また公平公正な社会を確保するために適切な対策が取れる-例えば必要に応じて人的介入ができる-ようにすべきである。
  • AIシステムについて、人々がどのようなときにそれと関わり結果の正当性を批判できるのかを理解できるようにするために、透明性を確保し責任ある情報開示を行うべきである。
  • AIシステムはその存続期間中は健全で安定した安全な方法で機能させるべきで、起こりうるリスクを常に評価、管理すべきである。
  • AIシステムの開発、普及、運用に携わる組織及び個人は、上記の原則に則ってその正常化に責任を負うべきである。



そして、OECDのアンヘル・グリア事務総長は、提言の中で「政府には、AIシステムが我々の価値観と法律を尊重するように設計されるようにし、そうすることで人々が自分たちの安全とプライバシーが最も重要だと信頼できるようにする責任がある。」と牽制している。

このように、AIやインダストリー4.0が急速に進む今、それらは人々や社会にとって多くの恩恵をもたらすとされる一方で、感情や理性を持たないAIやテクノロジーには人間には予想もつかない行動や、場合によっては悪に加担するという事も考えられる。

これらをコントロールし、社会に有益なものとして共存する為には国境をこえて統一された倫理やルールに加えて、危機管理などのガバナンスも必要になることは言うまでもない。AIが人間を超えるとされるシンギュラリティが、数十年後には訪れる可能性を考えると教育も含めた早急な対応が必要だろう。

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