この記事を書いたライター

金井 幸男

金井 幸男

大学卒業後、編集プロダクションを経てフリーの編集・ライターに。ファッション関係を中心にペットやグルメ、スポーツ、美容など、幅広いジャンルで活動する。趣味は映画鑑賞とテレビゲームだが、ともに娘が生まれて以来まともに絡めていない。ダイエットのため、深夜に代々木周辺を徘徊中。

2018年9月5日
ウーマンリンク

キャリアコンサルタント 土屋美乃(株式会社エスキャリア代表取締役)【前編】

自分らしく働こうとする女性のため、大企業であるリクルートを経て、株式会社エスキャリアの設立に踏み切った土屋氏。女性キャリアカウンセラーによる相談サービスをはじめ、転職サポートに各種イベントの開催など、その活動は多岐に渡っている。彼女が起業に至った理由、キャリア支援の具体的内容、自身が考える幸せな働き方などをインタビューした。

女性のキャリア支援を通してキャリアカウンセラーが活躍する場をつくる

その人にピッタリなワークスタイル探しの手伝いを

インタビュー中もやさしい笑顔が素敵な土屋さん

土屋さんが代表取締役を務める株式会社エスキャリアは、女性のキャリア支援というくくりで事業を展開している。

「具体的にはBtoCのキャリアカウンセリングサービスがメインとなります。現状理解と言いますか、主に仕事面において、自分がそもそも何に悩んでいるのかを特定。そして、どう対応して解決すれば良いのかをサポートしていく感じです。

ですから、転職というケースになることもありますが、現職のまま上司にこう働きかけて改善を図ろうとか、家庭の中で旦那さんとこんな会話しよう、子供に対する接し方を変えてみようとか、人によって最適なアクションを探していきます」。

普通の転職エージェントとは違い、必ずしも転職をゴールとはしていないわけ。

「その人にとってのベストが選択できるよう、しっかりカウンセリングするのがキャリアカウンセラーの仕事です。現在、エスキャリアにはフリーのキャリアカウンセラーが、全国で200名ほど登録しています。その方々のお力を借りた、質の高いキャリア支援に自信があります。

また、自分らしさを探し、踏み出すきっかけが欲しい女性を応援する、eSchool(エスクール)も開催。トークセッションやゲストによるセミナーなど、働く女性のプラスになるイベントを随時行っています」

海外では一般的になっているカウンセリングだが、まだまだ日本では馴染みが薄い。

「私もこれからだと思っています。日本では他人に相談するという行為が根付いていませんから。カウンセリングを受けるのは、どこか病んでいる人みたいなマイナスの印象まで。しかし、海外だと様々なジャンルのカウンセラーが存在し、身近で気軽に利用するもの。役立つものなんですね」

キャリアという言葉に誤解があるとも。

「キャリアとは経歴や仕事だけではありません。生き方、人生そのものを指す言葉なんです。今、弊社にいらしている方々の多くは、コーチング的なイメージで、仕事面における相談を目的としています。

意識が高く、しっかりとしたキャリアもあるのに、壁にぶつかってしまった女性たちですね。これからはもっと幅広く、多くの女性に認知して頂くため、名前自体を変えないといけないかもしれません」

キャリアという響きは、確かにすんなりとは受け入れにくい。しかし、キャリアカウンセラーは国家資格となっており、2016年以降、着実に増えているとか。

「国としても増やして行く方針。しかし、資格を生かして、ちゃんと人の助けになりたいという方たちが増えているのに、マーケットが整っていない。だからこそ私たちが市場を作りたいという思いもあります。キャリアカウンセラーの活躍する場として」

自分らしい人生を生きるをテーマにした社名

若い女性にもキャリアカウンセリングは有効

女性は自分の意思ではどうにもならないことが多いからこそ

「今35歳の私自身がそうなんですけど、25歳の時に知っておけば良かったと思う事柄が多いんです。わかりやすいのが結婚や出産。どういうタイミングでどんなライフイベントが待ち受けているのか。

特に女性は自分の意志ではどうにもならないことが、たくさん待ち構えています。30代で三人産み、1年ごとに休んでいたら、まともに仕事復帰するころには40歳。それを悩まなきゃいけない状況って、どうなのでしょう?

20代でしっかりとしたキャリアを積んだから、焦らなくても大丈夫というケースがあるかも知れませんが、多くは仕事と子供を天秤にかけ、どちらかを諦めるのです。流されるままに一生懸命働き、身体を壊してしまったりする女性も」

知らなかったが故に、望んでいた人生設計を実現するには手遅れと。

「一方で20代のうちにキャリアを中断し、家庭に入った専業主婦がいます。戻りたいと願っても受け皿がなく、ステップアップもなかなかできない。そういった、女性が働くことの社会課題に対し、もっと若い頃からのキャリア支援が必要だと思います。

現在、私たちにアプローチしてくださっているのは、30代くらいの一回壁にぶち当たった方々が中心。より若い女性も早くからキャリアのイメージを掴んでおくべきでしょう」

エスキャリアという社名は、本当の自分や自我、本来の欲求という意味のesに、人生全般を指すcareerが加わった造語。

「本当に自分らしい人生を生きることが根底でありテーマ。理想の将来のためには、若い頃からキャリア設計を意識することが大切では」

自分らしく働くスタイルを実践するために創業

創業当時はたった一人で手探り状態

採用支援のお仕事を売る、のはとても大変

「最初から特に女性を支援したいとは思っていませんでした。前職はリクルートエージェントにて、主に営業と採用支援をしていたのですが、リーマンショックによる不景気のなか、会社の商品を売ることに苦しさを感じていて。

どうしても採用したくない企業に対して、採用支援のお仕事を売る。とても難しいことです。そこで自社の商品や枠にとらわれない、だけど、お客さんの役に立つことってあるのではと思い、最初は学生集めて、就職支援とかのセミナーをやって。

そして、できることを模索しながら飛び出しちゃった感じです。立ち上げたばかりの2009〜10年は本当に手探りでした」

しかし、日本レベルで考えると、もっと女性がリーダーになり、社会に意見を言えるようになったほうが、政治や会社がうまく調和していくだろうという感覚はあったそう。

「外交においても、女性が表に出ていったほうが仲良くなれるんじゃないかくらいに。単純に直感的なところですけどね」。

自分らしくあろうと会社を辞め、自分らしく働くスタイルをまずは一人で実践。

「私も私もと言ってきたメンバーは、やはり子育てに苦しんでいたり、マミートラックにハマっていたり。どうしてそんなに楽しそうに自由にやれているの?  のQに対し、 自分自身で決めて自らやれば良いんだよと答える。シンプルにそれだけなんですけど、体現していくうち徐々に仲間が増え、今の規模になりました」

もともと起業したい! 社長になりたい! という願望はなく、結果論で現在のポジションにいるためか、本人から気負いは全く感じない。

「エスキャリアでは、ストレングスファインダーというツールによって、一人一人の強みを認識。チーム編成や仕事の任せ方に反映させています。要は苦手なことはやらない。弱みを克服し、課題を解決することより、得意をちゃんと見つけて生かすことが優先されるわけです。

評価のポイントも同じ。設計上は大変かもしれないですが、週3の社員がいて、週4や週5もいる。1日5時間働く社員がいる、6時間もいるとか。それぞれの人生に合わせた働き方を設定しています。

これからはどんな集団でも、組織に人が合わせるのではなく、人に仕事や組織を合わせていくスタイルのほうが相応しいのでは? そのほうが結果的に仕事のパフォーマンスも最大化するというのがうちのポリシー。ある程度ルールとか仕組みはありますけどね」

偶然によって引き起こされたキャリア支援という仕事

キャリアの8割は偶然によって引き起こされる

会計士を目指していたが、リアル会計士と会って向いてないと判明…

「食いしん坊な小学校時代の私は、給食が大好きでした。献立表を見るのも楽しみで、作っているのが栄養士だと知って以来、ずっとなりたい職業に。でも、高校で進学先を考えるじゃないですか。

私が中学生の時に両親が離婚し、母が働いてくれているのをよく分かっていたので、女性が働くのは当然というか、自分も同じになるよう無意識のうちに設計していました。女性が働く=資格がないと不利! みたいな感覚が強く、そのくせ高校生なので、稼げる資格といえば会計士や弁護士、医者くらいしか思い浮かばず。

医者と弁護士はなんとなく嫌。母が商売をしていたので、会計士なら馴染み深い。年収とか仕事内容を調べると、栄養士より圧倒的に稼げる気がして、最終的にお金で進路決めちゃったんですよ」。

知識のないなか、会計士を夢見て入った大学は、資格取得実績十分の慶応大学商学部。

「ところが、全く向いていないのが、リアルに会計士の人に会って判明。特に監査という業務を知った時、向いていないと思ってしまったんです」

会計士を諦めた彼女は、目標探しの一環として、様々な会社のインターンに行き始める。

「その中の1つにリクルートがありました。結局、したいことは在学中に決められず。でも、リクルートは、大人のくせに滅茶苦茶ビジョンを語るとか、自分の仕事はこういう社会のテーマのためにやっているんだとか、非常に明確に話せる人たちが多くて。この人たちとこういう感じになって働きたいと思いました。

私、立教大学と大妻女子大学で教鞭も取っていて、就活に焦る学生たちへよく言うことがあるんです。何が何だかわからないのは当たり前、だから全然焦らなくて良い。

だけど、じっとはしているなと。とにかく行動していると何か棒に当たるからと。好きなキャリアの理論でプランド・ハップンスタンス(planned happenstance)があります。

キャリアの8割は偶然の出会いときっかけによって引き起こされる、という意で、いろんな社会人から話を聞いても当てはまることばかりなんです」

20代の頃に描いたイメージが、そのまま叶っている人なんてほとんどいない。人生100年と言われている時代に、20歳くらいで自分の人生を決めてしまうのはもったいないと彼女は言う。

「未来の自分のほうが、よほど経験深いのだから、まだ若いうちに決めなくて良い。ただ、行動はし続けるべき。私自身、いまだにそう思って生きています」

熱き経営者、土屋さんのインタビューは後編に続く

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【土屋美乃さんの取材後記】

キャリアカウンセリングにより、悩める人々をサポートしている土屋さん。自分らしい働き方を求める女性にとって、とても頼もしく尊敬できる存在で僕(男)の世界でいうところの”頼れる兄貴”のような一面を感じさせてくれました。後編では、そのバイタリティの源や仕事を楽しむコツなどについて伺います。

【土屋美乃さんの紹介】

土屋美乃キービジュアル

大手リクルート社を経てIT業界に対する採用支援の道へ

土屋美乃(株式会社エスキャリア代表取締役)

東京八王子出身。1983年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、株式会社リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に就職。人材紹介部門の法人営業として主にIT業界に対する採用支援、人材紹介を行う。また、人事部で新卒採用担当として、新卒採用にまつわる企画・設計から業務全般を担当した。2009年にキャリアカウンセラーとして独立し、2年後には株式会社エスキャリアを設立。自分らしいキャリアの実現をテーマに、様々な支援を展開している。

【土屋美乃さんの関連リンク集】

・株式会社エスキャリア
https://escareer.co.jp/

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