この記事を書いたライター

ヒゲピカ

ヒゲピカ

長年のライター経験から裏打ちされた洞察力、ロックDJとしての審美眼を兼ねたお髭のマツオカと、元お笑い芸人ゆえの独創的な発想力を活かした切り口のインタビュー&ライティングに長けるハヤシモトケイスケによるユニット。この出鱈目な世の中で、真実に向かい吠える二匹の狼。

2018年10月27日

この圧倒的な熱量って、ぶっちゃけどうなの!? 話題のドラマ「下町ロケット」の“違和感”

2015年。一本のドラマが、世間をにぎわせた。 それが、人気作家・池井戸潤の直木賞受賞作を映像化しTBSのドラマ枠「日曜劇場」で放送された「下町ロケット」だ。最終回の平均視聴率が22.3%を記録したということからも、どれほどのムーブメントを起こしたか容易に想像できるだろう。

かく言う僕も当時、すっかり「下町ロケット」にハマってしまったクチだ。 佃航平社長率いる佃製作所の面々が、様々な困難に直面しながらも、宇宙ロケットエンジン開発、人工心臓用のバルブの開発に邁進していく姿を描く本作。佃航平を熱演する阿部寛を筆頭に、吉川晃司、今田耕司ら各ジャンルから多彩な豪華共演者を収集させたのも人気の要因だった。

そして時を経て、2018年10月。
満を持して、続編が放送開始となった!
「これはまた、社会現象になるぞ!」
僕を含め、誰もがそう思ったハズ。
……しかし、いざフタを開けてみると、結果は少し違っていた。

© 1995-2018, Tokyo Broadcasting System Television, Inc. All Rights Reserved.


まさか、まさかの視聴率惨敗!?

新章は、佃製作所がトランスミッション開発という新たな夢に向かってイバラの道を歩んでいくストーリーを中心に進行中だ。

どんな窮地に立たされても、最後には努力と根性、一丸となった仲間たちの協力で成功するという前回からのパターンと照らし合わせれば、おそらくこの“トランスミッション開発”も大成功に終わること請け合い。わかっている。それは、わかっているけど、思わず観てしまう……そして、ツバを豪快に飛ばしながら、充血した目で夢を語り、叱咤激励する阿部寛の姿に、胸を熱くさせている。これは、今期の一番の話題作となるに違いない!!

しかし、本命視されていた「下町ロケット」の視聴率は13.9%(第1話、ビデオリサーチ 関東地区調べ)で、他のドラマから引き離される形となった。

いったい、なぜ!?

このドラマって、響いているの僕ら世代だけですか?

圧倒的な熱量の役者たちの芝居(キャストは阿部寛ら前回からのお馴染みの面々に加えてイモトアヤコ、古舘伊知郎ほか新メンバーの話題性も抜かりなし!)、観る者をグイグイと引っ張る早いストーリー展開と丁寧な解説(特許侵害に関する裁判など、馴染みのないエピソードの時に非常に役立つ!)、そして、すべての夢を見る者、努力を信じるもの、諦めない精神を持つ者に対するエールのような人間賛歌。

いったい、前作と何が違うというのか?
少なくとも、僕はなんの違和感もなく、すんなりと受け入れられたが……ん?

“僕は”!?

佃社長は日本人が誇る“技術”を信じ抜く

僕は1974年生まれ、今年で44歳の立派なオッサンだ。
出生数200万人を超える第二次ベビーブームに生まれ、進学も就職も他者を出し抜かないと埋もれてしまい、かといって個性を出そうものなら叩き潰される。そんな過酷な状況下で、時に泥水をすするような思いで、時に砂を噛むような気持ちで生きてきた。

“あの時、こんな熱い上司がいたら”
“こんな環境で働けていれば”
“自分の可能性を追求できていたら”

さまざまな感情が交錯し、「下町ロケット」の名も無き脇役に自分を置き換えて、「佃社長のためならサービス残業も楽勝っしょ!!」と、どっぷりとドラマの世界の中に入り込んでいたのかもしれない。

あの「熱さ」って若者にはどう映るの?

言われてみれば、前作も今作も、このドラマに関していわゆる20代の“若者”と話したことはない。若者の“●●離れ”という言葉は好きじゃないのであまり使いたくはないが、そもそもテレビ離れが叫ばれて久しい昨今。観ているのか!?

さっそく後輩(29歳。昨年、勤めていた会社を退社し、現在はフリーランスのライター・エディター)に電話してみた。

結果的に、前作は飛ばし飛ばしではあるが観ていたという(新作は未見)。ドラマの世界観は、一応は把握しているそうだ。彼曰く、「下町ロケット」で描かれる勧善懲悪の世界は、もはやチョンマゲを結っていないだけで“時代劇”だとか。

熱いプレゼンは全ての人の心を動かす

「例えば、会社の方針を会議で話し合うシーン。社長以外の面々が全員反対していても、阿部寛の圧倒的な眼力(顔力)で、まるでティファールのポットのように一気に沸騰するアッツアツのプレゼンが繰り出されると『社長、やりましょう!』と満場一致になるじゃないですか。アレって、『水戸黄門』でいうところの印籠でしょ?」(後輩)

「いやぁ、そうかなぁ……そんなこともないと思うけどなぁ……」と、歯切れの悪い返しでなんとか大好きな「下町ロケット」を擁護しようとしたが、「なるほど!」と妙に納得できる部分もある。

また、
「あの佃社長ですか? アイツの熱さというか、暑っ苦しさは、もはやハラスメントですよ。“熱血ハラスメント”、略して“熱(ねつ)ハラ”ですね」(後輩)
とも。

ロケットのバルブ開発など、相当過酷な作業を文句も言わずにヘトヘトになりながらやり遂げている従業員たち……。
これが現実の企業だったら“限りなくブラックに近いグレー”となる、のか!?

「ただし……」

後輩は、電話の向こうで続ける。

時にはあんなに熱く鼓舞してほしい

「どんな仕事でも、今も昔も、9時~5時で帰れることなんてほとんどないですよ。若いヤツだって、なんだかんだ言ってそれなりに大変な仕事を、残業しながらこなしているんです。そりゃ、しんどいなぁって思うことも多々あると思います。どうせ残業しなくちゃいけないなら、あんな風に熱く鼓舞されたいと思う時はありますよ、きっと。キャラクターとして、あんな上司や経営者がいたら、もうちょっと俺も頑張ろう!と奮い立つというか……。“ゆるキャラ”じゃなくて、“熱キャラ”というか、カンフル剤的には、時にはアリなんじゃないですかね」(後輩)

ドラマでは上司と部下のコミュニケーションの大切さも教えてくれる

バブルの恩恵も受けられず、自分の可能性だけを信じてガムシャラに働き今に至る僕が「下町ロケット」に憧れや一種のノスタルジーを見出していることと比べ、後輩の見方はすごくリアルであるように感じられた。

もちろん、彼一人の意見で結論付けるわけでは決してないが、若者の“●●離れ”に関しても、僕たちの世代の立ち居振る舞いやアプローチで随分と変わってくるのではないか?という壮大な思いまでも、頭をかすめた(脱線するので、この話はまた別の機会にでも)。

いずれにせよ、やはり僕たち世代と若い世代とでは、「下町ロケット」の見方は随分と違うのだろう(僕たち世代の中にはまるで“サウナの後の水風呂”のように、熱きドラマの中の爽快感を土屋太鳳に求めて観ている人も多いと思われる)。

まとめ

10月20日放送の第2話は、平均視聴率12.4%と、第1話から少し落ちたものの、10%越えを安定させている「下町ロケット」。今後も、“ピコ太郎”のプロデューサーとして知られる古阪大魔王の怪演や、中尾彬の登場など、話題にも事欠かない。一ファンとして、これからの人気の上昇を願って止まない。

そして、いま僕が思っていることは、これを書いている現在(プレミアムフライデーのPM23時)、佃社長のような“熱キャラ”に鼓舞してほしい! 「大丈夫だ!」と言われたい! 顔にツバを飛ばされながら「頼む、俺を信じてくれ!!」と肩を叩かれたい!!!

……後輩と話をして、バリバリに感化されてしまったようだ。

単純な男である(だから「下町ロケット」みたいな分かりやすいドラマにハマるのだろう)。

日曜劇場 下町ロケット(TBS)オフィシャルサイトはこちら
(日曜夜9時〜放送中)

この記事を書いたライター
ヒゲピカ

ヒゲピカ

長年のライター経験から裏打ちされた洞察力、ロックDJとしての審美眼を兼ねたお髭のマツオカと、元お笑い芸人ゆえの独創的な発想力を活かした切り口のインタビュー&ライティングに長けるハヤシモトケイスケによるユニット。この出鱈目な世の中で、真実に向かい吠える二匹の狼。

TOPへ戻る