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上沢 聡子

上沢 聡子

大学卒業後、戦略系コンサルティング会社に勤務。MBA留学後、中国関連の書籍を上梓。外資系メーカーやベンチャーを経て2011年にライター活動を開始。 得意分野はビジネス、法律、旅、中国。 これまでに外国機関広報誌コンテンツ、行政委託のNPO団体取材、就職記事などの執筆経験多数あり。 現在はライターの他、翻訳・社会人向け教材制作なども手掛けている。 乳幼児親子向け防災講座を行うNPO団体の代表で、一児の母でもある。趣味はヨガと旅行。(中国・広州在住)

2019年1月29日

人生100年時代の働き方を考える。「潰しが効く仕事」が意味するものとは?

「潰しが効く」という言葉、就活中に耳にしたことはありませんか?皆さんの中にも「将来食べていけそう」「転職しやすい」という理由で職業や業種を選んでいる方がいらっしゃるかもしれません。それも一つの大切な基準ですが、人生100年時代が到来し、長く幸せに働き続けるためには何が必要か、考えてみましょう。

「潰しが効く」仕事を選ぶのは何のため?

「潰しが効く仕事」について考える

「潰しが効く」=「転職しやすい職種・業種」という観点で考えると、以下の仕事が挙げられます。基本的に、同じ業界・異なる業界どちらへも転職がしやすいと言われています。

潰しが効く仕事No.1は営業職!

■営業職

成果が分かりやすく新たな契約を獲得した際など喜びが大きい反面、売上目標やノルマがあり仕事量も多いため、常に求人数が多い職種です。しかし、一度培ったスキルや経験は、扱う製品やサービスが違っても活きてきます。

もちろん転職した際、新しい製品やサービス、業界や顧客を理解するための勉強は必要ですが、基本的な営業プロセスである「アポイント、プレゼン、交渉、クロージング、契約、アフターフォロー」などは大きく変わらないため、転職しても比較的それまでのスキルや経験を活かせる職種と言えます。

■コンサルタント

コンサルタントは顧客の事業やサービス、組織の改善や成長を手掛ける職種です。コンサルティング会社はそもそも離職率が高いという特徴がありますが、転職先は金融、IT企業、メーカーの経営企画・マーケティング・人事・新規事業の立ち上げなど、かなり幅があります。いずれも、在籍した会社で手がけたプロジェクト内容が問われます。

他分野に移る際は転職先業界の専門知識を身につける必要がありますが、コンサルタントが持つヒヤリング・企画提案・情報分析といった能力は、提案型営業職をはじめマーケティング、アナリストなど、統計分析をもとに実行計画を策定するような職種への転換は、十分可能であるといえます。

■一定の知識・経験が必要な事務職

どんな会社でも管理部門は必要です。小さな会社でも、総務、経理などを担う部署は必ず存在します。営業職に比べると求人数は少なく、常に募集しているとは限りませんが、比較的募集が出やすい職種です。

総務であれば、大きく分けて人事・庶務といった分野があります。人事は採用・退職手続きだけではなく、福利厚生や保険関係、年末調整など仕事の幅が広く、知識や経験が必要な職種の一つです。

また、庶務は会社の備品の管理や郵便物の発送、会社全体の会議や行事の企画・運営、商品の発注や受注、受付、広報の手伝いなど細々とした仕事を少人数でこなさなければなりません。経理についても、数字に強く、正確に素早い仕事ができるスキルが求められるため、資格はなくても知識や経験が必要な職種です。

「潰しが効く事務職」は、パソコンのスキルや効率的に事務作業を進められる能力などは必須ですが、それぞれの職種に必要な知識や経験の他、簿記・OSスキルの資格があればさらに有利です。

接客業は『次』も生かせるスキルが豊富

また、接客業なども応用しやすいスキルが多い職種と言えます。「ホスピタリティー」が求められる接客業は求人数も多く、飲食業界、ホテル・観光業界をはじめ様々な業界で経験を生かせる「潰しが効く仕事」の一つといえるでしょう。

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「潰しが効かない仕事」って?

「潰しが効く仕事」とは逆に、「潰しが効かない仕事」=「転職しにくい職種・業種」という観点では以下の仕事が考えられます。

■高度な専門職

専門性が高いと、業界内では高く評価されます。しかし、専門性が高すぎると他の業界では受け入れ先がないというリスクもあります。その代表が弁護士、税理士、理容師などの士業、ある業界、分野に特化したクリエイターなどの専門的な仕事です。

その分野で資格を保有し、スキルや経験を積めば収入に結びつきやすいものの、他の業界に転職したいと思ったときに汎用性がありません。これまでの経験やスキルは考慮されにくく、未経験者としてゼロからのスタートになる場合もあるでしょう。

■業界事情が特殊な職種

銀行は民間企業であるものの、提供しているサービスに公共性があります。融資や保険など営業職が活躍する職種もありますが、銀行業界全体が保守的な傾向が強いため、他の企業の文化になじみにくいと考えられています。とはいうものの、優秀な銀行員はベンチャーや中小企業、コンサルティング会社などから求められており、新規事業、IPO、資金計画など、スキルや経験があり、柔軟な発想ができれば転職も可能でしょう。

また、公務員も特殊な職種です。公益性・公平性を重視し、保守的で閉鎖された環境です。そのため民間で必要とされる発想力や改革力、柔軟性などはあまり必要とされず、職場環境も大きく異なるため、潰しが効きにくい職種だと言われています。実際はそうではない人も多くいると思いますが、転職時の世間の評価はこのようなものです。

業界事情はキャリア形成に大きな影響を与える

スキルセットの意味

スキルセットとは、「自身が保有している知識や能力」や「各職業や役職に必要な知識や能力」のことで、転職時に希望する職業や役職に対しアピールできる「持ち運び可能な能力」とも言います。

【スキルセットの種類】

①「言語化しやすい」スキルセット:OAスキル、語学、運転免許、資格、職務経歴など。誰が見てもその人が「保有」していることが分かる資格やスキルであり、転職先でも同様に発揮できるものを指します。

②「言語化しにくい」スキルセット:コミュニケーション、人柄、チームでの貢献、職種独特のスキル・経験、マネジメント経験など。これらも「保有」している能力ではありますが、持っているだけではあまり意味はなく、積極的に発揮してこそ周囲の評価につながるものです。

多くの人は、転職時に①のスキルセットをアピールしようとします。しかし、仕事を進める上で大切なのは、②に含まれる「その人の個性、また組織人としてのふるまい方」ではないでしょうか。①のスキルセットを、一般的には「潰しが効く」といいますが、②のスキルセットこそ、自分の得意を活かし、会社に貢献して、充実した人生を歩むためには重要です。

また、①のスキルセットは、ITやAI(人工知能)の進出が目覚ましい分野です。総務省は、「人工知能(AI)の進化が雇用等に与える影響」として、一部のタスクがAIに代替される可能性に触れており、その中には、銀行の融資担当者や法律関係の事務業務も含まれます。

「潰しが効く」と思われがちなスキルは、「機械化しやすい」ため「代替できる」というわけです。
(
参考:人工知能(AI)の進化が雇用等に与える影響 – 総務省)

「潰しが効く」より大切なこと

「潰しが効く」の視点だけで仕事を選ぶと、人を動かしたり、夢を実現するには弱いでしょう。もし、転職する機会なく1社だけで勤め上げたとしたら、「潰しが効く」意味はありません。

つらい時や危機の際に「転職しやすい」のは素晴らしいことですが、それだけだと、日々の仕事を楽しめないかもしれません。「現在」の仕事に集中し、その結果の転職であれば、転職活動でアピールしやすく、共感してくれる転職先も多いはずです。

もしあなたが、ボートに乗る際に常に片足を陸地に置く、というような感覚で「潰しが効く」「転職しやすい」と考えているならば、一度ボートにしっかり乗ったほうがいいでしょう。全身全霊をかけて仕事をするという経験をしてから、転職について考えても遅くはありません。

あなたにしかできない仕事がある

まとめ

学生の皆さんが、転職するとすれば3~10年後くらい先のことだと思います。どんな変化があるか分からない時代、仕事選びを「潰しが効く」という観点で見るのは良いことだと思います。しかし、「潰しが効く仕事」が、「好きで、ワクワクして、一生やっていけるもの」なのか、についてはよく考えてみましょう。

困難なことに立ち向かった経験、その結果得た成功体験や失敗体験により、働き方や考え方も変わります。たとえ、AIに仕事を奪われそうになっても、あなたが持つコミュニケーション能力や、危機を乗り越えた経験は失われません。これこそ、AIが持ちえないものなのです。

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上沢 聡子

上沢 聡子

大学卒業後、戦略系コンサルティング会社に勤務。MBA留学後、中国関連の書籍を上梓。外資系メーカーやベンチャーを経て2011年にライター活動を開始。 得意分野はビジネス、法律、旅、中国。 これまでに外国機関広報誌コンテンツ、行政委託のNPO団体取材、就職記事などの執筆経験多数あり。 現在はライターの他、翻訳・社会人向け教材制作なども手掛けている。 乳幼児親子向け防災講座を行うNPO団体の代表で、一児の母でもある。趣味はヨガと旅行。(中国・広州在住)

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