この記事を書いたライター

伊藤璃帆子

伊藤璃帆子

芸術大学で美術、写真を学び、ITマーケティング会社を経て、独立。現在フリーでライター、編集、撮影、イラスト、フードスタイリングなどを手掛ける。

2019年5月9日

ドラマBiz『スパイラル~町工場の奇跡~』から学べる“営業の極意”とは?1話から4話までをおさらい

4月15日から放送が開始されたテレビ東京ドラマBizの新シリーズ『スパイラル~町工場の奇跡~』。一週間の始まり、月曜日の夜、自宅でホッと一息つきながら視聴しているビジネスパーソンも多いだろう。私たち社会人は、現代に生きながらどのように仕事に向き合うべきなのか。仕事する上でもっとも大切だと言える“働く意義”を再確認しながら、週初めの活力にしていただきたい!現在まで第4話まで放送されているが、見逃している方のためにも第1話から改めておさらいしてみよう。

大企業から負債3億の町工場へ転職

“恩義”のために職を変えた男の物語が幕を開ける

転職という大きな決断をするとき、あなたならどういった条件を選ぶだろうか。将来性か、収入か、それともやりがいか。

本ドラマの主役、芝野(玉木宏)は一部上場企業のCRO前回の記事でもお伝えしたが、CROとはChief Risk Officerの略で『最高リスク管理責任者』を意味する。

芝野は一企業のCROとして実績をあげ、仕事のやりがいや収入面、将来性も申し分ない立ち位置にいる、はずだったのだが――

彼が新天地に選んだのは、小さな町工場だった

第一話は町工場マジテックの創業社長・藤村(平泉成)の急逝シーンから始まる。

パソコンの基板やプラモデル、生活製品の金具を製造していた小さな町工場は大黒柱を失い窮地に立たされていた。

天才発明家だった藤村が遺したのは、数々の特許と多額の負債。実家の家業が自転車操業を続けていた事実を知り途方にくれる娘の浅子(貫地谷しほり)は、借金返済のために特許を売却し会社をたたもうとする。

そのような状況の町工場に芝野が飛び込んだ理由は、藤村に対する恩義だった。

かつて銀行員だった芝野に、藤村が教えたこと――それは、仕事の意義

利益や効率を無視し、発明に没頭する藤村は、弱い人、困っている人のために仕事をしているときに銭金のことを口にすべきではないと芝野に諭したのだ。

藤村の言葉に打たれた芝野は、日本が大切にしてきたモノづくりの魂を、自分が培ってきた金融の知識で取り戻そうと一念発起。弱者をはじく仕事ではなく、救う仕事をしようと考えたのである。

そして芝野はマジテックの社員となった

芝野の強い後押しにより、藤村の娘・浅子はマジテック新社長に就任。息子・望(戸塚純貴)は営業部主任となることを決意し、父が残した町工場の再生に乗り出す。

仕事は金を得るための手段である。しかし、芝野はマジテック社の借金返済目処が立つまで無給で働くことを約束したのだった。なかなかできない決断だが、何のために働くのかを改めて考えさせられる第一話だった。

「諦めない」営業の極意とは?

やる気は充分の望。その結果はいかに?

父親の負債3億円を背負う決意をした浅子と望だったが、経営と営業のノウハウはゼロ。

まずは芝野が借金の借り換えによって返済計画を見直し、その間に営業主任となった望に新規取引先の開拓を行わせ、売り上げを伸ばす作戦に出るが――新規取引先はもとより、既存取引先ですら望の話に耳を傾けてはくれない。

たくさんの菓子折りを持って、肩を落とす望の後ろ姿に、思わず共感してしまうセールスパーソンも多かったのではないだろうか。

さて、営業としての初仕事商品は小さな工業部品

あなたなら、どうやって売りこむ?

営業の極意はないのか、という望の問いに、芝野は「ある」と答えた。

新社会人で営業部配属が決まった方にとって大切なことを4つ紹介しよう。

芝野直伝「営業の極意」とは?

1. 訪問はアポの5分前

新入社員であれば、初めのうちに先輩社員から教えてもらうことの一つが、取引先への訪問マナーだ。約束の時間に遅れるのは厳禁。余裕を持って到着するようにし、早めについたからといってすぐに訪問しないように。

会社によって時間の目安は様々だが、芝野は「アポイントの5分前に行くこと」と教えている。

2. 商品ではなく、人を売る

営業=商品を売り数字を伸ばすこと。これは間違いではない。しかし、いくら魅力的な製品であっても売れるかどうかはセールスの腕にかかっている。自分が顧客であれば、どのような人物から製品を購入したいか、よく考えてみよう。

セールスは会社の顔」と芝野はいう。顧客は商品の良し悪しを知る前にセールスパーソンに会う。ということは、セールスが信用できなければ商品も信用できないのである。

まずは、自分の顔を売り、顧客との信頼関係を築くことが大切だと教えている。

3. 諦めないこと

これは芝野だけが教えていることではない。亡き父や、その右腕である工場長・桶本(國村隼)も事あるごとに望に諭している言葉がある。

諦めないこと。諦めなければ終わりはない

セールスパーソンの数だけ方法があるが、諦めず、体で自分の営業スタイルを確立していくことが大切なのだ。

4. 現場100回

セールスパーソンとして、顧客に何ができるのだろうか。

考えてもわからないときは、体を動すことだ

芝野は、難航していた取引先『えびすや』の実店舗へ望を連れて訪問する。スマートフォン片手に行き交う客同士のカートがぶつかり合う店舗の問題点を見つけ、カートに取り付ける手荷物フックとスマホホルダーの提案書を作成する望。

それまで自社製品の良さと情熱をアピールしていた望だが、顧客側にとってのニーズを読むことにより、初の試作品受注獲得に成功した

「現場100回」というのは、芝野の前職場で言われていたもので、元は警察用語だったという。

取引先に相手にされなくても、成績が出なくて落ち込んでも、諦めずに前を向いて自分にできることを考える望の姿に、勇気をもらった視聴者もいるはずだ。

リスクヘッジから一歩踏み出す勇気へ

小さな女の子の勇気が、大人たちの英断を後押しする

第二話、三話のハイライトとなったのは、先天性の障害を持つ正木希実(宝辺花帆美)とその母親(野波麻帆)だった。

希実は筋力が弱く通常の運動能力を持たないため、マジテックが開発した補助器具を使って生活していたのだが、成長に伴い亡き博士が開発した器具では対応できなくなってきていた。

器具を体の成長に合わせると重量が増し、希実の筋力では動かすことができない。かといって軽量化を図るには莫大な開発コストがかかってしまう。

そんな最中に舞い込んできたのが生命保険難病特約のコマーシャルの話だ。スタジオ撮影は予想以上にハードではあったものの希実は笑顔で乗り切り、無事CMが放送されることになったのだが――。

このCMが原因で、SNSで風評被害に遭う。マジテック社はこれによって取引中止が相次ぎ、債権者からの風当たりも強さを増す。

発注に向けて前向きだった企業の態度も一変…

実は、この炎上を画策したのは、芝野の銀行員時代の同僚・村尾浩一(眞島秀和)だったのだ。村尾はマジテック社のメインバンクに勤めているが、前職で芝野から辞職に追い込まれ、一家離散になった過去をもつ。

芝野への復讐のために、マジテック社の再建を阻もうと目論んでいるのだった。

そんな最中、まさに風前の灯だったマジテック社に希望の光がさす。

マジテックが保有する特許に注目した外資企業からのオファーだ。傘下のキャピタルファンドがマジテックの負債を低金利ローンに組み替え、さらには大規模製造ロット対応のための新工場の経費を一部負担するという申し出である。

「良い話すぎる」

芝野はこの話に慎重になっていた。徹底した合理主義で躊躇なく中小企業を切り捨てる大手企業に賭けることへのリスクを考えてのことだった。

芝野に決断の勇気を奮い立たせたのは、希実だった。

風評被害に遭っても、悲しむ母親を喜ばせたい一心でリハビリに専念する希実の姿に、諦めないことと、リスクを恐れず前進することを決意したのだった

希実の笑顔を守るために、大人たちは立ち上がる

マーケティングやリスクヘッジも大切だが、時には大胆な決断をしなければ前へ進めない場面がある。そんなときに勇気を奮い立たせてくれるものは、思いもよらない身近な人かもしれない。

先進化か、町工場との共存か

久万田(福士誠治)が登場し、物語は新たな局面を迎える

第四話ではかつて藤村と共にロボット開発をしていた久万田(福士誠治)が登場する。生前の藤村から資金投資を受け、ボストン工科大学留学を果たした人物だ。久万田の技術力をマジテックガードの開発に応用できると見込んで協力を仰ぐのだが、工場長・桶本の職人気質と衝突してしまう。

先進技術を活用した生産性を優先させるか。それとも、町工場の職人魂か

アメリカで最新テクノロジーを扱っていた久万田は桶本のやり方を「古い」「効率的ではない」と一蹴していたが、交流のあった製作所の機械に不具合が発生した際、最新機器ではなく職人の手が危機を救うのを目の当たりにする。

マジテック社が毎年参加している産業振興組合での業者との交友。共に生存共栄していくための暗黙のルールなど、効率的とは言い難い町工場の伝統に、久万田は職人魂を徐々に取り戻していく

効率が全てではない。忘れていたモノづくりのスピリットが蘇る

このような話は町工場の技術屋だけの話ではない。私たちが務めるあらゆる職種にも『効率化』『オートメーション化』『機械化による人員削減』が課されている。現代に働くすべての人に共通する課題なのである。

まとめ

天才発明家の意思を受け継ぐ者たちによって、難題を乗り越えながら一歩ずつ歩みを進めるマジテック社の未来はどうなるのか。


芝野を失脚させようとするメインバンクの村尾や、マジテック社の買収を水面下で目論む外資系ファンド。

手強い相手が次々と登場するなか、人を幸せにするために、自分たちの仕事を諦めない町工場の一人ひとりの信念に、心打たれる第四回までのストーリーだった。

第五話は、いよいよ外資系ファンドのナオミ・トミナガ(真矢ミキ)との対決となるが、マジテック社の運命やいかに。スリリングかつハートウォーミングなドラマBizから後半も目が離せない!

作品紹介

ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」
テレビ東京 月曜夜10時 放送中
公式サイト

主演:玉木宏
原作:真山仁 『ハゲタカ4.5/スパイラル』 (講談社文庫)
監督:井坂聡 松田礼人 棚澤孝義
脚本:羽原大介
主題歌:SING LIKE TALKING「Spiral」
音楽:遠藤浩二
プロデューサー:田辺勇人(テレビ東京) 大高さえ子(スパークル)
制作協力:スパークル
製作著作:テレビ東京

スパイラルの放送開始前、作品の全体像をまとめた特別記事はこちら!

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伊藤璃帆子

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芸術大学で美術、写真を学び、ITマーケティング会社を経て、独立。現在フリーでライター、編集、撮影、イラスト、フードスタイリングなどを手掛ける。

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