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西繭香

西繭香

「どんな人にも優しい記事」を目標に、多角的な物事を等身大の視点から執筆するフリーライター。長いこと自分をマジョリティだと思ってたタイプのセクマイでアライ(あと腐女子)。ディズニーシーと猫が好き。Twitterを猫アカにするのが夢。 Twitter: @Nishi_mayuka

2020年1月10日

【働き方レポート】イベント21が取り入れるカルチャーコーディネーターとは?企業理念・コアバリューを文化にする取り組み

企業インタビュー「イベント21」

「企業理念」とはなんだろうか。それは、企業がなんのために活動をしているのか、その大きな目的のようなものだ。しかし“理念”という漠然とした言葉を、社員全員が意識し続けることは難しい。

では、「企業理念が浸透している会社」とは、どのような会社なのだろう。従業員は働きやすいのだろうか。今回は、積極的に企業理念の浸透を図っている株式会社イベント21の社長と、同社にてカルチャーコーディネーターという職に付く社員に取材を行った。求職者や従業員にとって企業理念とはなんのためにあるのか、その価値を探る。

企業理念と、企業文化、そしてコアバリューとは

その3つは、互いに作用し合い会社を形作る

一般的に企業理念とは“会社の価値観と存在理由・目的”のことであり、企業文化とは“企業独自の価値体系や行動規範”を意味する。分かりやすくいえば、企業理念は「会社の目的」、そして企業文化は「社内の常識」となるだろう。

似たような言葉にコアバリューというものもある。コアバリューとは、社員の大多数が共有する「指針となる価値観」だ。企業理念のように大きなものを、日常的に実現することは難しい。そこで、企業理念に基づいたいくつかのコアバリューを具体的に、簡単な言葉で設定することにより、社員として進むべき方向性が明確になり、業務をする上での身近な指針となる。

Airbnb、トヨタから見る、コアバリューを基盤とした企業文化の事例

宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサイトを運営する、Airbnb(エアビーアンドビー)は、コアバリューを用いた経営の成功事例として有名な企業だ。2008年の設立以来、世界192カ国・33,000の都市で80万以上の宿を提供している世界企業である。

Airbnbの創業者は「会社を永続させるために必要なこと」を、はっきりとしたミッションとコアバリューがあること、としている。社員全員がそれらを意識することにより企業のイメージが確立し、結果それがブランディングになり、競争優位の獲得へと繋がる。また社員が自分で判断し行動ができるようになるため、社員満足度が向上し、離職率も低くなるのだ。

そんなAirbnbは次の4つをコアバリューとして定めている。

・Champion the Mission
明確なミッション・目的を持つ

・Be a Host
一緒にはたらく全員を大切にする

・Embrace the Adventure
不確実なことを歓迎する

・Be a Cereal Entrepreneur
大胆な野心を現実にする

また、日本最大の企業、トヨタ自動車でも企業文化の育成に力を注ぎ、2001年には「トヨタウェイ」を発表している。それまであった「豊田綱領」や「トヨタ基本理念」などをもとに、暗黙知として培われてきた価値観や手法を明文化し企業文化として根付かせる行動指針だ。

その内容は、「知恵と改善」「人間性尊重」という2つのテーマを柱に、「チャレンジ」「改善」「現地現物」「リスペクト(尊重)」「チームワーク」の5つのキーワードで構成され、ステークホルダーを尊重することで、会社の成果と従業員の成長に結びつける内容となっている。

他にもZappos、Adobe Systemsなど、多くの企業がコアバリューを基盤として企業文化を築き、大きな成長を遂げている。

つまり「企業理念が浸透している会社」とは、コアバリューを基盤とした企業文化(社内常識)がある会社のこと、といえるのだ。

コアバリューを社内のあたりまえに。カルチャーコーディネーターとは

企業理念に基づいた社内の「あたりまえ」作りは、簡単なものじゃない

この考えのもと、コアバリューを重要視した経営を行っているのが株式会社イベント21(トゥエンティ・ワン)だ。事業内容を「ハッピークリエイト業」とし、イベント用品レンタルやイベント会場の設営・装飾・施工、イベントの企画・運営・手配などを行う企業である。

設立は1991年。現在全国17拠点を展開し、海外ではベトナムにオフィスを構え、2021年3月にはニューヨーク支店の設立も予定されているようだ。

イベント21には、「カルチャーコーディネーター」(以下、CC)という職種がある。これは「企業文化を全社員に広め、共有していく役割」とのこと。コアバリューがベースになる社内文化をつくり、企業理念を実現するためのさまざまな仕組みや社内行事をサポートする業務を行っている。

イベント21の理念は「you happy,we happyである。そしてコアバリューは「感謝」「挑戦」「行動」「成長」など、現在14あるという。わかりやすい言葉で設定された価値観の指針ではあるが、日々の業務に追われて忘れることもあるだろう。つまり、入社時や年に数回行われる研修だけでは、コアバリューを企業文化として定着させることは難しいのだ。

しかし、企業理念が浸透している会社とは、社員全員がコアバリューを常に意識している会社のことだ。ではどうすればよいのだろうか。イベント21は、CCという“職種”を設置することで、この課題を解決している。

イベント21インタビュー。企業理念が浸透している会社とは、その実情を探る

企業インタビュー「株式会社イベント21」

インタビューに応じてくれた、中野社長(左)、三坂氏(右)

「企業理念を浸透させること」を積極的に実施している企業の実情を知るため、株式会社イベント21の中野愛一郎社長、同社のCC 三坂明日花氏にインタビューを行った。(順不同、以下敬称略)

イベント21社員インタビューカルチャーコーディネーターとは、その意義と価値観。

インタビュー風景/三坂氏(イベント21)

イベント21は何でも屋さん。CCは、さらにその中の何でも屋さんなんだと教えてくれた

ーーCCの業務内容を教えてください。

三坂:まずコアバリューの研鑽、プロジェクトのコアバリューに沿った軌道修正、最先端の企業文化を学ぶ海外企業訪問など、企業文化に関わることをなんでもします。メンバーは私を含め3人なので、分担して行っています。

「会社のためになる」「人材育成になる」など、コアバリューを意識した目的を持つ「委員会」という組織があるのですが、そのサポートはとくに毎日行う業務です。委員会は18あって、たとえば大学で会社説明会を開催するなど、会社にとっての中長期成長に関わることを行う組織なんです。

ーーCCとして一番難しいことはなんですか?

三坂:そうですね、「委員会」は直接の業務とは別の組織です。そのため、どうしても目の前の業務を優先して、委員会を後回しにしてしまう社員もいます。でも、入社時にイベント21の理念に賛同してくれた社員たちです。なんのために仕事をしているのか、常に考えてもらえるように、根気強くCCの業務を行っています。最終的には「社員全員がCC」となることを目指しているんですよ。

インタビュー風景/三坂氏(イベント21)

入社2年目にして、既に4回の海外企業訪問に行っているという

ーー三坂さんはイベント21に新卒で入社して現在2年目とのことですが、就活時に大切にした価値観などありましたか。

三坂:最近の就活生は同じことを感じている人が多いかもしれませんが、就活時に「どうせ働かなきゃ生きていけないのなら自分の好きなことをしたい」と思っていました。自分にとってそれができる会社がイベント21だと感じ、入社を決めたんです。

自分と会社が目指す先が一緒じゃないから、入社してから「違った……」って思うんです。自分と会社の考え方が合っていれば、入社後に多少ギャップがあっても、変化についていけます

ーーイベント21と三坂さんの価値観が合ったんですね。

中野:全く違う人って入らないんです、うちの会社って。価値観を分かりやすくしているから。そうすると、自然と会社の価値観に合った人が集まってきます。価値観を曖昧にしない、つまり「とんがってる会社」じゃないと、これからの時代は生き残っていけないと思うんですよ。

イベント21社長インタビュー就活中に、企業文化を知る方法はあるのか。

インタビュー風景/中野氏(イベント21)

はつらつとしたトークと、飾らない姿勢が印象的だった。

ここからは経営者としてのコアバリューの捉え方、そして入社前に企業文化を知る方法と、その意味ついて伺った。

ーーコアバリューは、企業や働き手にとってどのようなものですか?

中野:ボクはよく、綱引きに例えるんです。どれだけ力持ちのメンバーが集まっても、みんなが自分の好きな方向に好き勝手に綱を引けば、負けてしまいますよね。左利きもいれば、背負って引っ張るのが得意な人もいる。ただ、引っ張る方向だけは揃えなければならない。その方向性が、コアバリューなんです。綱引きに勝つ、つまり理念を達成するために、コアバリューは社員全員が意識しなければならないんです。

インタビュー風景/中野氏(イベント21)

夢が11837個あるという。みんなの夢を集めて叶える会社にワクワクを感じると話してくれた

ーー求職者が、就活中に企業文化を知るためにはどうしたらいいのでしょうか。

中野:社員とのできるだけ深いコミュニケーションを、やればやるほど分かっていきます。自分がお客さんとなってサービスを提供される側になる、OB・OG訪問をするなど、人事担当者以外にも積極的にコミュニケーションを取ろうとしてください。

イベント21では、社員の匿名アンケートを、入社前の内定者に見せるイベントを行っています。匿名だから、悪いことも書いてある。そして、その意見をどうすれば解決できるのか、みんなでディスカッションするんです。

実際に参加した新卒内定者の感想はポジティブでしたが、それが原因で内定辞退になっても仕方ないと思っています。もちろんコストをかけて採用した内定者たちです、辞めてほしくはない。でもそこでやる気をなくすのであれば、入社してもすぐに辞めてしまうでしょう。入ってから辞められるのが、企業としては一番いやなんです。だから、さらけ出して新卒採用を行っています。

ーーなぜ、自社のいいことしか言わない企業があるのでしょうか。

中野:自社に自信がなかったり、いいことを言わないと人がとれないと思っていたりするからでは。あるいは、人材に余裕がなくて何が何でも人を採用しなければならないこともあると思います。でも勘違いさせた状態で人を採れば、早期退職を招きます。それをするくらいなら、悪いことも納得済みで入ってもらった方が100倍良いとボクは思いますね。

企業理念と企業研究。志望動機を決める前にするべきこととは

人事以外の社員とのコミュニケーションを。遠慮してちゃ、企業文化はわからない

就職活動を行うとき、その会社がどのような会社なのか調べることを、企業研究という。企業理念は、その企業の考え方を知る上で非常に大切な項目だ。企業がどのような考え方をしているのか知ることで、自分の考えとより近い会社を選ぶことができるからだ。

しかしインターネットで得られる情報だけでは、実際に企業内に理念の伴った文化があるかどうか知ることは難しい。立派な企業理念に共感して入社したのに、実際の文化はまったく理念に準じていなかったなんてことは残念ながら多々あり、せっかく時間をかけて就職・転職活動をしたのに、早期退職、そして新卒カードを失う新社会人もいる。

企業理念が浸透している会社は、入社前と入社後のギャップが少なく、だから早期退職となってしまうリスクも低い。そしてその企業理念が、実際の文化に反映されているかを求職者が判断する方法は、入社を考えている企業との“できるだけ深いコミュニケーション”にあるのだ。

あなたの「行きたい場所」はどこ?

あなたと企業の進む道

中野社長はよく、採用をヒッチハイクに例えるという。日本に何百万もある企業を車に例え、それがすべてあなたの目の前の道路を走っている。

一台の車が止まる、確認すべきはその車(企業)の行き先だろう。ここで大切なのが、あなたの「行きたい場所」がどこかを、あなた自身が分かっているかどうかだ。

行きたい場所とは、あなたの人生の目的、常識、指針となる価値観のことだ。つまり、あなた自身の理念、文化、コアバリューとなる。まずそれが分かっていないと、企業理念も企業文化もコアバリューも、あなたにマッチする企業を探すことはできないのではないだろうか。

目の前の車が、もしあなたの行きたい場所と同じ目的地であれば乗るといい。しかしそうでなかった場合、車は他にもたくさんある。

あなたはなんのために働くのだろう。いま一度、あなたがどこに向かいたいのか深く考えてみてほしい。あなたの行きたい場所と、企業の行きたい場所、それがマッチすることにより、ハッピーな就職は実現するのだ。

出典:AirbnBの成功要因は”コアバリュー”がはっきりとしていることだ 
出典:Airbnbが企業文化を守るために続けてきた、たった一つの「キークエスチョン」とは?

ンタビュイープロフィール

三坂明日花/カルチャーコーディネーター(イベント21)
三坂明日花
2代目カルチャーコーディネーターとして、企業文化構築、推進に取り組む。いろいろな挑戦をしたい!と思い、いろいろなことに新卒から取り組めるCCとして入社。アメリカ・バルセロナへの長期留学の経験あり。留学経験を活かし、国際事業部にも参画。

中野愛一郎/株式会社イベント21代表取締役社長
中野愛一郎
株式会社イベント21 代表取締役社長。日本最大級の経営者団体、全国7,300名の同友会青年経営者の代表。前職は旅人。株式会社イベント21を13年で売上1億から15.1億円へ、社員数を4名から169名、拠点はベトナムを含む全国17拠点展開へと成長させる。

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