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トイアンナ

トイアンナ

慶應義塾大学卒。P&Gジャパン、LVMHグループでマーケティングを担当。独立後は主にキャリアや恋愛について執筆しつつマーケターとしても活動。新著『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』が2万部を突破。 ブログ:「トイアンナのぐだぐだ」 http://toianna.hatenablog.com/ Twitter: https://twitter.com/10anj10

2020年6月3日

「自分を仕事にする生き方」の限界とその先・前編【キャリアの傷痕】第23回

トイアンナさんによる連載「キャリアの傷痕」第23回。この連載では「キャリアに傷がない人間なんていない。でもそこから得る“ジョイ”があるはず」という観点で分析・取材を進めていきます。

前後編でお届けする今回は、「自分を仕事にする生き方」を始めたはずの齋藤駿さん(仮名)に、思わぬ落とし穴にはまった経験を教えていただきます。

「同じ仕事を何十年もやるなんて絶対嫌だ」

疲れたサラリーマンにだけは、なりたくなかった

齋藤駿さん(仮名)は、高校生のころから「普通の就職をして、サラリーマンになるなんて嫌だ」と思っていたそうだ。「新卒は大手に就職して安泰の人生を歩みた~い」なんてヌルいキャリアプランを描いていた私とは大違いである。そこから「好きなことで生きていく」道を選んで現在22歳になった齋藤さんが歩んだ道を、共に追って行こう。

齋藤さん(以下、齋藤):親がいわゆるサラリーマンで。営業でヨレヨレのスーツ着て遅くに帰って来て。いいお父さんだったんですけど、靴もシャツも汗クサイ。そういうダサい職業になりたくないって、思っちゃったんですよ。

――汗、なるほど、汗はイヤですね。サラリーマンでも、外回りが少ない会社員の道は考えなかったんですか?

齋藤:うーん。そのときは高校生だったんで、会社にいろんな部署があるとか、そういうところまで思いつかなかったですね。ただ、片っ端から「就職しない 生き方」とかをTwitterで調べました。

――GoogleじゃなくてTwitterで検索するあたりに、ジェネレーションギャップを感じます(笑) そこでどんな情報を得ました?

齋藤:「会社員になることは、40年の懲役だ」と言ってる人がいて。すごく感動しました。同じことを思ってる人がいたー! って。その人はすごい頭のいい大学に進学した人なんですが、会社員なんてうんざりだ、って中退して、ライターになったっていう人でした。

――確かに、プロライターになる方には就活を前に社会へ迎合するのが嫌になって、志す方も一定数いらっしゃいますね。

齋藤:そうなんです。で、そんなにライターってすごいのか! って思って。調べたら1か月で50万円稼いでる方とか、年収7ケタの人とかいっぱいいて。「そんな生き方があるんだ! 俺もライターになるぞ!」って思いましたね。

ライター講座を受講して満足するも、ブログの設定すらうまくいかず心折れる

理想に描いたライターは、おしゃれカフェでタイピングする姿

ここでネタバレだが、現在の齋藤さんはライターではない。齋藤さんはライターを目指した過去を「キャリアの傷痕」だと話す。ではなぜ、齋藤さんはそう感じているのだろうか。

――齋藤さんは、ライターになりたいと思ってまず何をしましたか?

齋藤:オンラインサロンに入りました。ライターとして活躍されている方のサロンです。その方はランサーズやクラウドワークスなどで書き始めたんですけど、お仕事がなかなかもらえなくて最初は月収3,000円にもいかなかったそうです。それが、今では月50万円以上を稼げるようになった……って。

――そこで教わったことを、差し支えない範囲で教えていただけますか。

齋藤:はい。まず、ブログ記事を300本書けって言われました。今ならnoteやBrainですね。「書けば書くほどうまくなる」「思っているだけじゃ、夢はかなわない」と言われて。それでまずは月に100本書くことを目標にしました。

でも、なかなか書けなくて……。というか、ブログの設定がうまくできなくて心折れて、1か月目はなんもしなかったんですよね。アクセス数を計測するツールを導入するようにオンラインサロンの師匠に言われたんですけど、設定ができなくて。調べても全然わからなくて。

――調べてもわからなかったら、ブログの会社にお問い合わせするのもありですよね。あ、でも、高校生だったからその辺は機転が回りにくい年齢でもありますよね。

齋藤:そうなんですよ。ブログの会社に問い合わせるなんて怖くてできなかったですし。それで、ようやくブログ登録できた後も、たくさんの文章を書くのがつらくて。「自分が買っておいしかったお菓子」とか「ライターを目指すならおすすめの講座」とか書いてみたんですが、全然反響ももらえないし。仕事にも、もちろんつながらなかったですね。

書くことが嫌いになるが、辞められない

得意なことと、やりたいことが重なるとは限らない

齋藤:それからは、毎日が地獄でした。サロンでできる人はどんどん本数書いていくし、自分は500字(筆者註:普通の人が1分間で読めるくらいの分量)書くにも1時間かかっちゃって。クラウドソーシングの仕事って、文字数単価で仕事を貰うじゃないですか。

――そうですね。たとえば時速500文字として、1文字0.5円で仕事をもらうと10時間働いても2,500円になっちゃいますよね。

齋藤:そうなんです。で、親には「俺はお父さんみたいな人間にはならない! 高校も辞める!」って言ってたんで、もう大ゲンカで。大学受験やめて、お年玉をくずしてオンラインサロン受講して。それなのに(月収が)2,500円で。でも、親にそんなこと言っちゃったしもう辞められないじゃないですか。そのとき俺、もう高3だったんですよ。

――受験勉強をする時間もあまり残されてなかったんですね……。

齋藤さんがライターを志して6か月。ついに、転機が訪れた。

……後編へ続く

※個人情報保護のため、一部情報を編集してお届けしています。

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