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トイアンナ

トイアンナ

慶應義塾大学卒。P&Gジャパン、LVMHグループでマーケティングを担当。独立後は主にキャリアや恋愛について執筆しつつマーケターとしても活動。新著『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』が2万部を突破。 ブログ:「トイアンナのぐだぐだ」 http://toianna.hatenablog.com/ Twitter: https://twitter.com/10anj10

2020年7月1日

男性が見落としがちな「キャリアと結婚」4つの罠・後編【キャリアの傷痕】第26回

トイアンナさんによる連載「キャリアの傷痕」第26回。この連載では「キャリアに傷がない人間なんていない。でもそこから得る“ジョイ”があるはず」という観点で分析・取材を進めていきます。

今回は前後編をとおして、20代男性が想像する「理想の30代」に潜む5つのワナについて、就活支援を長年しているトイアンナさんが解説します。


前編:転勤族は結婚できないけど、総合職は転勤前提。があるから「普通の家庭を築きたい」なんて無邪気に言えない……。

男性のキャリアプランに潜む落とし穴2:子どもがいる普通の家庭がほしい?でも3組に1組の夫婦が悩む不妊

「普通の家庭像」に含まれがちな子育て。でも、それって「普通」なの?

3組に1組。

これは子どもができず悩む夫婦の割合だ。

周囲のSNS を見ていると、結婚~子どもができる流れは、あたかも普通の家庭で簡単に起きるように見える。だが、その背景には多数の夫婦が子どもができず悩み、不妊治療を決断している現実がある。

不妊治療というと、男性は女性の問題だと考えがちだ。だが、不妊の原因の半分は男性由来とされている。精子の数が少なかったり、数は多くても奇形が多かったり、活発に動いていなかったりと、さまざまな事情から男性も不妊に悩んでいる。

しかも、男性は自分がまさか不妊だとは考えないので、治療にたどり着くまで何年もかかるケースが多い。不妊に悩む妻が一人で病院に通い、それでも妊娠せず、夫が最後に検査を受けて初めて男性由来だと分かる事例がある。

結婚前に「自分に妻を妊娠させる能力があるか」を調べる男性は、女性よりかなり少ないだろう。そして、結婚する時点で「自分には子どもができないかも」とは考えない。

だが、この記事にたどり着いたからには「自分の人生に、子どもはいないかもしれない」という可能性もしっかり考えてほしい。また、その結果「子どもが欲しい女性と結婚できない可能性」もある。子どもは人生の流れで自然に授かるものではなく、夫婦が努力し、さらに運に身をゆだねてできるものだ。

男性のキャリアプランに潜む落とし穴3:妻のためにキャリアダウンできますか?

自分が専業主夫になる可能性を、考えたことがあるだろうか?

経済的に自立した女性と結婚したい男性は、徐々に増えている。仕事の話が対等にできるからリスペクトできるという理由に加えて家事を女性と分担できる男性が増えたからだ。

一方、進化する日本の男性に比べ、会社はまだそのシステムが整っていない。結婚していようが子どもがいようが、30代で転勤を命じられる総合職は多い。そして、女性の総合職も増えている。その結果、出てくるのは「女性の転勤のために自分がキャリアダウンする可能性」だ。

あなたは、数年間職場を離れて、彼女の転勤についていけるだろうか? その転勤に付き合った結果、自分の経歴に空白期間が生まれて年収ダウンせざるを得ない可能性も受け入れられるだろうか。できないならば、経済的に自立した、総合職で働く女性との結婚は本当に現実的だろうか? 本音では「自分のキャリアは譲れない」と思っていないだろうか。

(それがいい、悪い話ではない。ただ、2人ともバリバリ総合職・転勤ありで、何年も遠距離で過ごす想定ができていないなら、現実的ではないというだけのことだ)

男性のキャリアプランに潜む落とし穴4:キャリアの「身内ストップ」耐えられますか

妻は言った。「出世のために、そんなに頑張ること、ないんじゃない」と。

最後にキャリアの「身内ストップ」について語っておきたい。世間のゴシップでは、よく「稼がない夫をなじる妻」が出てくる。

あなたが「年収が低いけれどやりがいのある仕事」に就いていたとしよう。 妻は「子どもの学費のために、高年収が得られる仕事に転職してほしい」と言い出すかもしれない。

その逆もある。「出世なんて、もうやめたら」という妻からのストップだ。出世を目指すなら、家庭を犠牲にするかもしれない。労働時間が長い業種に就いていれば、子どもの顔もろくに見れず仕事へ没頭するだろう。パワハラ上司に当たって病むこともあるだろうし、業績が傾くこともある。

そういったときに、「もう見ていられない。仕事を辞めて」と言う妻に、あなたは耐えられるだろうか。自分がアイデンティティにしてきた仕事を失うことに怯え、仕事にしがみついたりしないだろうか。

結婚するなら、キャリアは自分だけのものではなくなる

キャリアは、結婚や子育てで制限される

パートナーを持つと、キャリアが自分のものだけではなくなる。相手が要介護状態になったら、子どもが受験でどうしても引っ越せなかったら、転勤先で適応できず家族が病んでしまったら……。さまざまな事情から、柔軟にキャリアを変えねばならない。ときには、望んでいた出世を手放したり、もっと働くことになる可能性だってある。

そのリスクは、あなたの「理想の30代」に含まれているだろうか。今回はとくに「転勤で結婚できない、男性不妊、妻由来のキャリアダウン、キャリアの身内ストップ」の4つに触れた。

理想を描くな、ということではない。無理のある理想は、いつか破綻するというだけのことだ。

人生はどんどん変わっていく。そこで理想から優先順位をつけて、欲しいものを残していくことになるだろう。そのとき、「こんなはずじゃなかった」と嘆かないためにも、リスクはあらかじめ掴んでいてほしい。知って迎えるリスクと、知らずに出くわすトラブルは、まったく別物になるのだから。

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