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秋田

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「戦略コンサルティングファーム勤務。中期経営計画策定、組織改編業務などに様々な案件に従事。就活生時代に戦略コンサル、投資銀行(IBD)等に内定した経験から、息抜きに就活生からの質問も受ける。アイコンは知らない人(フリー素材)。Twitter:@akita_consul

2020年9月30日

少数精鋭か規模か。入社すべきコンサルティングファームの選び方【コンサルキャリアの回想】第5回

秋田さんによる連載「コンサルキャリアの回想」。当連載では秋田さんのこれまでのキャリアを参考にタイミング毎にコンサルタントについて知るべき/考えるべきだった事をご紹介します。コンサル業界を目指す方はもちろん、そうでない方々もコンサル業界を知るきっかけにして頂ければと思います。

第5回では就職や転職を考えの方に向け、入社すべきコンサルティングファームの選び方についてご紹介します。

はじめに(コンサル就活の現状)

戦略系コンサルティングファームの採用増が持て囃されて久しい。各ファームの年間採用者数が一桁だった十数年前から大きく窓口が広がり、「一社受かれば御の字」という就活環境から、複数内定を得る猛者が続々と現れるよう状況にまで変化した。

コンサルタントの増加に伴い、世にはコンサルティングファーム入社に向けた選考対策メソッドが溢れ、内定者が家庭教師の様に後輩に面接方法を教える。コンサル就活対策塾のようなプレイヤーも増え、コンサル就活市場はさながら受験市場のような様相を呈している。

しかし選好対策メソッドが世に出回る一方で入社すべきファームの選び方に関してはあまり語られていないとも感じる。戦略系ファームは従業員数数十名~数百名程度の中小事業者であり、求められるコンサルタント像も少数精鋭を維持するファーム(以下、少数精鋭ファーム)と急激にコンサルタント数を拡大させ規模を拡大するファーム(以下、規模化ファーム)で分かれつつある

これらは付加価値の提供という面で良し悪しが取り沙汰される事が多いが、個人的には現時点において提供価値に優劣はあまり存在しないと理解している。むしろコンサルタント個人が何を目指すかによって大きく見え方が変わる分類だと考えている。

今回は、そんな入社すべきファームの選び方について考えたい。

まずは入社志望のコンサルティングファームへの”期待”を整理する

期待事項で選ぶべきファームは変わる

何よりも重要なのが、自身がファーム会社に何を期待するのかを整理し、明確化しておかなければならない。

少々乱暴な言い方だが、労働契約とは「ギブアンドテイク」の一種である。ファーム選びにおいて何を得るのかはまずは「自分はファームに何を期待するのか」を問う事から始まる

自分はコンサルタントとしてどのような案件に注力したいのか、どのような能力を養いたいのか、どのような影響を世に与えたいのか、そしてどのような事には興味が無いのか。複数の要素が思いつくと思うが、それらの点を確りと整理し、腹落ちさせておかないと選ぶべきファームも曖昧になってしまう。

「自身の期待に適うファーム」は自身の中にしかない期待事項を整理する事によってでしか見えてこない。

比較すべき点は様々であり究極的には人次第であると思うが、今回は中でも大きく異なる少数精鋭ファームと規模化ファームについて考えたい。

少数精鋭ファームはクラシックな戦略コンサルタントを志向する人間が向く

幅広くビジネス領域に接することができる

少数精鋭ファームは、伝統的なコンサルティングを複数業界に跨って提供する、”クラシックな”戦略コンサルタントを強く志望する人間が向く

これは少数精鋭ファームは実行案件やデジタル関連案件の比率が低く、クライアントの業界も流動的であるために戦略案件を広く浅く経験する事が出来ることが大きい。(コストカットに強い、製造業に強い等と多少色がついているプレイヤーは存在するものの、実態としては似た案件を手掛けており、あまり差は無い印象である。)

シニアが案件を受注するという独特のモデル上、コンサルティング業界においてはシニア層の対応領域がそのファームの幅を規定するのだが、少数精鋭ファームのシニア層は規模化を進めるファームのシニア層に比べて守備範囲を広くPRするケースが多い。

ジュニアにおいてもアサイン前は案件領域知識が皆無のコンサルタント達がファクトアンドロジックを武器にその道数十年のクライアントに勝負を仕掛ける”クラシック”なコンサルティングを今も行っている場合が多い。

手法もオーソドックスなものが中心であり、既に書籍等で業界外の方にも知られているようなリサーチ&アナライズ、ドキュメンテーション、プレゼンテーション等で案件を進めていくというものであるが、業界知識が浅いながらも急速に業界情報を吸収し、ニュートラルな頭で論点を捉え、解く事で価値を発揮していく。

コンサルタント個人の経験としては比較的短期な戦略案件を数多くこなしていく傾向にあるため、入社後一定数以上の複数業界に携わる事が可能である点や事業戦略全般を俯瞰的に考えられる人材へ近付きやすい点等のメリットがある。

しかし戦略案件特化という都合上、ファーム経営の安定性や大成するまでの時間は選ぶ前に特に気を払っておきたい。

安定性に関しては、経営計画策定等の戦略案件は実行案件やデジタル関連案件に比べて期間が短いために案件受注の波が立ちやすく、案件パイプライン数が少ない点や案件受注の突発性という業界全体の課題も相俟ってファーム経営自体が不安定になりやすい。

こうした面を受けて長期的にコンサルタントをアサインできる常駐案件の比率向上や定常的に収益を得られる非コンサルティング事業を試みているファームも存在する。

また、経営自体が不安定になりやすいという事は労働分配率の高い事業である点も踏まえると、スタッフの待遇・処遇にも跳ね返ってきやすいという事でもある。「戦略コンサルタントたるもの、事業戦略を策定してナンボ」と考える方も多いと思うが、不安定なファーム運営の波を乗り切る意志が必要であろう。

後者の大成するまでの時間だが、戦略コンサルティングのコモディティ化が進むこの時世、専門とする業界を絞り込まないという事は他ファームの業界特化コンサルタントや手法を知る優秀なクライアントに伍する/勝るための能力を全方位的に養う必要がある

これは非常に長く険しい道のりを必要とする。規模化ファームが分業化・各コンサルタントの専門特化を進める中、複数業界を転々として引けを取らないアウトプットを出し続けるというのは非常に困難な事である。

それでもなお、クラシックなコンサルティングをしたい、という方にこそ推奨すべきファーム群が少数精鋭ファームである。

規模化ファームは領域特化型の戦略コンサルタントを志向する人間が向く

特定領域の知識を短期間で身につけることができる

規模化ファームは予め領域特化型の戦略コンサルタントを志向する人間が向いている

少数精鋭ファームの裏返しにもなるが、規模化ファームは対応案件数の増加・多様化を図るために近年コンサルタントを大量に採用しており、結果として社内競争が激化しつつある。そのためコンサルタント各人にとっても何かしらの武器を持つ必要性が高まってきている。

クラシックなコンサルタントの道を歩むことも不可能ではないが、東大・海外MBA卒の優秀な若者がひしめく中で知見も無いまま頭のキレだけで勝負するのは少数精鋭ファーム内で目指す事と同等かそれ以上に大変な事であろう。

勿論、ベーススキルを培うという目的から短くとも入社後3年前後は複数業界を見る機会に恵まれるが、前述の背景から結果として多くのコンサルタントは個性を立たせる事で生存を図るようになっていく。

規模化を進めるファームは若きグレイヘアコンサルタント候補を多数抱える多士済々なファームへと変貌しつつあるというのが現状なのである。しかし裏を返せば既に手掛けたい領域が定まっている人にとっては名をはせる機会が多い、非常に恵まれた環境にもなり得る。

領域特化型のコンサルタントはコンサルティングのベーススキルを持ちながらも併せてナレッジ蓄積を元に複雑化しつつある案件への柱として機能するためである。既に一部の案件ではクラシックなコンサルタントではどうしても追い切れない部分も認識されつつあり、そのようなニーズに安定して打ち返せる領域特化型のコンサルタントの需要は今後も見込める。

また、ナレッジ蓄積と付加価値の提供は名をあげる事において好循環を生み出し、クラシックなコンサルタントが大成した姿よりは小さくまとまるものの、名をあげるまでの期間が比較的短くなる
規模化ファームはキャリア上のモラトリアム的な側面においては少数精鋭ファームに軍配が上がるものの(そもそもモラトリアムとして目指す業界でもないが)、その分領域を定めた人間にとっては自身のキャリアを固めやすい恵まれた環境である。

最後に中の人間を見て選ぶ

決める際には入念に確認する

志によって明確に向き不向きが分かれる少数精鋭ファームと規模化ファームであるが、やはり最終的には中の人間との相性も非常に重要であり、可能な限り多くの人間と会うべきである。

基本的にこれらのファームは数十人~100名規模である事が多く、戦略系ファーム最大規模のBCG(ボストン コンサルティング グループ)ですらコンサルタントの人数は500名程度の小さな業界である。

従業員を全社で何万人、本社に何千人と抱える大企業に比べると異動等も出来ないため、社風や人材のミスマッチは働くうえで致命的な問題になり得る業界なのだ。

田舎の村に引っ越す機会があれば誰しもその村の住人の雰囲気等を入念に掴み行くと思うが、それと同等以上には気を払って入社する先を選ぶ必要があるだろう。

まとめ(編集後記)

外部からは一見同じに見えるコンサルティングファームもいちコンサルタントの視点では大きくキャリアの方向性が変わっていく世の中。コンサルタンティング業界だけに留まらず他業界でも同様の視点は重要なのかもしれませんね。

次回以降も就活生・転職志望者向けに秋田さんのコンサルティング経験に基づいて、コンサルタントのキャリアを回想してもらいます。
お楽しみに!

秋田さんがお届けする連載企画【コンサルキャリアの回想】全記事はこちら

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