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トイアンナ

トイアンナ

慶應義塾大学卒。P&Gジャパン、LVMHグループでマーケティングを担当。独立後は主にキャリアや恋愛について執筆しつつマーケターとしても活動。新著『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』が2万部を突破。 ブログ:「トイアンナのぐだぐだ」 http://toianna.hatenablog.com/ Twitter: https://twitter.com/10anj10

2021年6月16日

婚約破棄。離婚。死。最悪の瞬間に人はキャリアをどう生きるか【キャリアの傷痕】第49回

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トイアンナさんによる連載「キャリアの傷痕」第49回。この連載では「キャリアに傷がない人間なんていない。でもそこから得る“ジョイ”があるはず」という観点で分析・取材を進めていきます。第49回は「最悪のタイミングを、人はどう乗り越えていくか」について、トイアンナさんが解説します。

最悪の日にも、仕事はやって来る

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プライベートでつらい日も、私達は働いている

婚約破棄が決まった日、泣きながら発注作業をしていた。働いていたのはドラッグストア。私は週に10時間以上働いていて、まあまあシフトが多い方だった。

働いていたのは、彼の学費を稼ぐため。学生でありながら、パートナーを養う暴挙に出たのだ。当然、普通の労働量では足りずに朝から晩まで働いていた。

そんな中で、彼が浮気をした。その数なんと4人。そして、浮気相手の1人と結婚するという。私はキレうるかぎり最大限のキレを見せ、さらに彼の心を冷めさせた。そしてついに、もう無理だ……と、別れを決めるタイミングが来たわけだ。

何のために働いているんだろう。

彼の学費はもう払わなくていい。それでもシフトはやってくる。それを申請したのは先月の私だ。まだ彼の学費をどうにかしようとしていた、過去の自分だった。

と、センチメンタルに語っても結局そこにいたのは、ズビズビ泣きながら発注作業をしている、気持ち悪い店員だ。クレームが来なかったのは、偶然その日が空いていたから……というだけ。普通にバイト失格だった。

最悪の日には、仕事が支えになる

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つらい日に、仕事が自分を支えてくれる

ここまでオーバーな感情表現はしないにせよ、人生にはしんどい日がいくつもある。大事な家族が亡くなった日も、離婚した日も、私は働いていた。

「そんな日くらい、休めばいいじゃん」

と、声をかけてくれる友達はいた。仕事を減らしてもらった時期もある。責任感でもなんでもない。仕事がある方が、楽だったのだ。

つらい日は、仕事をしていないと過去が蘇って心がズキズキと痛む。婚約破棄のときは、彼が土下座して「もう浮気しないから!」と言いながら、実は別の女性とやりとりを続けていたことや、帰宅したら浮気相手の女がいてもみ合いになった記憶が侵入してきた。

その侵入を防ぐくらい、集中できることがあればよかった。けれど、趣味でゲームを始めて手は止まってしまうし、友達と会っていても「あの彼がさ、」と話し始めてしまう。私は傷に取り憑かれていた。そして仕事だけが、私を傷つきから引き剥がしてくれたのだ。

仕事があるのは苦痛かもしれないけれど

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そしてつらい仕事もまた、報われることがある

そして、仕事には報いがある。給料だ。不毛な恋愛、家族を喪うプロセス、そして離婚。これらはもう「何かを得る」ために行うものではない。数年してから、「得るものもあったかな」と反芻することはできても、その場では悲しみしかない。

けれど、労働は確実に結果を出してくれる。筋トレマニアがよく、「筋肉は裏切らない」と言うが、仕事も裏切らない。こうして、つらい過去を契機に私はワーカホリックになった。つらい。仕事をする。報われる。

仕事でも、思うようにいかないときはある。けれどそういうとき、決まって裏切るのは職場の人間関係であって、仕事そのものではない。必死に仕事へ打ち込んだ記録は、賃金となって帰ってくる。

目がチカチカするほど働いて、泣いたり呻いたりする時間を潰すために仕事へ全力投球して。その結果、前より仕事に自信を持てるようになった

キャリアでうまる傷痕、キャリアの傷を埋める私生活

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キャリアの傷は、私生活で埋めれば傷痕になる

私生活の傷はキャリアでうまる。では、キャリアの傷は?

その答えが、今度はプライベートにあるのだろう。仕事で行き詰まったとき、友人や家族にいつも助けられてきた。偉い人の脇の下のニオイを嗅がされたセクハラの相談とか、差別用語バリバリで詰めてくる相手とか。人との相性はどうしようもない。どんな会社にも、合わない人がいて、ハラスメントの加害者がいる。

そんな、本当にしょうもなくて、何の利益にもならない愚痴を聞き続けてくれた友達には感謝しかない。

身近な人間関係に疲れたときは、キャリアが心を満たしてくれる。そして、キャリアで傷ついたときは仲良しの人たちが傷を「傷痕」へと変えてくれる。この循環が、人を明日も仕事へと駆り立てるのだろう。

私は仕事が好きだ。一方で仕事でもたくさん傷ついてきた。けれどどれも、今は「傷痕」だ。いま苦しんでいる人がいるならば、私もまたその人の傷が傷痕に変わるよう、少しでも話を聞いていきたい。

そうして巡り巡って、私たちは明日も働いていく。

トイアンナさんの連載コラム

自身の体験談や取材など、トイアンナさんが実話を元に届けるキャリアコラム。性別職種問わず、様々なキャリアの傷痕話とそこから得られるジョイを紹介します。

トイアンナの連載コラム「キャリアの傷痕」

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